ドル円 今週は横方向のもみあいへ(週報2月第2週)

先週のドル円は、週初から日銀人事で振らされる展開となりました。

ドル円 今週は横方向のもみあいへ(週報2月第2週)

今週は横方向のもみあいへ

〇先週のドル円、週初は雨宮副総裁のニュースでギャップアップして始まり132.90レベルの高値つける
〇金曜には植田元審議委員の名前が出たことで一時130円割れを見た後に、行って来い
〇2023年内のYCC撤廃、24年にマイナス金利解除で金融政策を戻していく流れの可能性高いとみる
〇2022年の最高値から始まった円高への転換は長期的には継続していくという見方
〇今週は米国CPIに注目、予想は年率5.5%だが計算方法変更で予想より高い数字になるか
〇今週は130.50レベルをサポートに、132.50レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初から日銀人事で振らされる展開となりました。週初は雨宮副総裁に打診というニュースでギャップアップして始まり米金利上昇も手伝って132.90レベルの高値をつけましたが、翌日にはパウエルFRB議長講演で再びディスインフレプロセスに言及したことから130円台半ばへ下押す場面も見られました。

そして週後半は木曜に自民党筋の話として日銀総裁候補として雨宮副総裁以外の名前が出て、難航する可能性も指摘され上下に振れ、金曜には植田元審議委員という名前が出たことで一時130円割れを見た後に、行って来いでの週末クローズと、日銀総裁人事に関心が深いことを確認した週となりました。

週初の時点では雨宮副総裁の昇格人事は緩和継続という判断から円安で反応したわけですが、週後半の反応を見ると雨宮副総裁以外の候補は人物像に関係なく円買い戻しという動きになり、その後の植田総裁候補の審議委員時代のゼロ金利解除反対票や本人が緩和を支持する発言をしたことで、いったんは落ち着きを取り戻したと考えられます。

しかし、誰が総裁になっても短期的には緩和を継続し、長期的には緩和を縮小していくという方向性は変わりません。問題はその時期だけということになりますが、海外投機筋は引き続き緩和縮小を目論んでの催促相場を演じそうですし、10年債のYCC(イールドカーブコントロール)は長短金利の歪みを生じさせ、日銀の金融政策を難しくさせていることを考えると、おそらく2023年内のYCC撤廃という可能性はかなり高いと思われます。

その後2024年にはマイナス金利を解除し下限をゼロにするという可能性も含め、これまでの異次元緩和で広げてきた金融政策を少しずつ戻していくという流れになりそうです。おそらくゼロ金利解除までの道のりはすぐでは無いのでしょうが、YCC撤廃に向けた動きだけでも12月会合以上に大きなインパクトがあると言えるでしょう。2022年の最高値から始まった円高への転換は長期的には継続していくという見方でよさそうです。

今週は経済指標も要人発言も多いのですが、注目度が最も高い経済指標は米国CPIです。予想は年率では5.5%(前回5.7%)ですが、今回から計算方法(ウェイト付け)が変わることから予想よりも高い数字になるのではないかという見方もあり、やや判断が難しい発表となりそうです。短期的には前月比では上昇となりそうですが、長期的な低下傾向は今後も続くと見られ、逆に金利上昇でドル買いとなればカウンターで売る方が面白そうな気もします。

またFOMCメンバー、ECB理事会メンバーの講演も連日続きますので、3月の会合に向けて現在はFRBが0.25%利上げ、ECBが0.5%利上げコンセンサスとしていますが、何かヒントがあるかどうかも見ておきたい材料です。

次にテクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

現在大きくは年初来安値127.21をサポートに、昨年高値と年初来安値との23.6%戻しとなる133.04をレジスタンスとする流れにあります。下降チャンネルを上抜け、上昇というよりは横方向のもみあい局面入りと見る方が妥当でしょう。このレンジの中で今週はどの水準での動きになるかと考えることとなりますが、金曜の動きを見ても130円の大台は強いサポートとなりそうです。

いっぽうで上値は133円というのがシンプルではありますが、中長期的に円高の流れが続きやすいことを考えると132円台後半では売りが出てくると見られます。今週は130.50レベルをサポートに、132.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月13日(月)
16:00 トルコ12月経常収支
**:** ユーロ圏財務相会合

2月14日(火)
08:30 豪州2月消費者信頼感
08:50 本邦10〜12月期GDP速報値 ☆
09:30 豪州1月企業景況感
16:00 英国1月失業率
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値
22:30 米国1月CPI ☆
25:00 ダラス連銀総裁講演 ☆
28:05 NY連銀総裁講演 ☆
**:** EU財務相会合

2月15日(水)
16:00 英国1月CPI ☆
17:00 南ア1月CPI
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産、貿易収支
20:00 南ア12月小売売上高
22:30 米国1月小売売上高 ☆
22:30 米国2月NY連銀製造業景況指数 ☆
23:15 米国1月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国2月NAHB住宅指数
24:00 米国12月企業在庫
24:30 週間原油在庫統計

2月16日(木)
08:50 本邦1月貿易収支(通関)
09:30 豪州1月失業率
18:40 パネッタECB理事講演 ☆
22:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
22:30 米国1月PPI ☆
22:30 米国2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
22:30 米国1月住宅着工・建築許可
22:30 米国新規失業保険申請数
22:45 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
24:00 レーンECB理事講演 ☆
27:30 (セントルイス連銀総裁講演)

2月17日(金)
07:30 豪中銀総裁議会証言
08:15 クリーブランド連銀総裁講演
16:00 英国1月小売売上高
16:45 フランス1月CPI ☆
18:00 ユーロ圏12月経常収支
20:30 フランス中銀総裁講演 ☆
22:30 (リッチモンド連銀総裁講演)
22:30 米国1月輸入物価
24:00 米国1月景気先行指数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月6日(月)
週明けの東京市場では、週末に次期日銀総裁として雨宮副総裁に打診したとの報道があり、黒田総裁路線が継続されることで早期の緩和縮小には動かないとの思惑から週明け早朝の為替市場は円売りで反応しました。金曜終値は131.17レベルでしたが、1月日銀会合後のドル高値131.57レベルを上抜け132.43レベルとギャップアップでのスタートとなりました。その後NY市場までは高値圏でのもみあいを続けていましたが、NY市場に入り米金利上昇の動きも手伝って132.90レベルまで上昇後に132円台半ばへ押して引けました。

2月7日(火)
ドル円は前日NY後場の流れを継続しじり安の動きがNY市場まで続きました。NY市場ではパウエル議長が講演で改めてディスインフレプロセスについて言及、米金利低下によるドル一段安となり、ドル円は月曜安値を下抜けギャップ埋めの動きへとつながり、NY昼過ぎには130.47レベルの安値をつけました。引けにかけて米金利は1月6日以来の水準へと上昇したもののドル円は金曜以降に積み上がったポジション調整が上値を抑えたままでした。

2月8日(水)
ドル円は1円未満のレンジで方向感がはっきりしないもみあいを続けました。最近のドル円にしては静かな1日となりましたが、NY市場では複数のFRB関係者がタカ派な発言をしたことで若干ドルが底堅くはなったものの方向感は出ないままで終わりました。
ユーロドルはさらに動きが鈍く終日のレンジは52pipsに留まりました。テクニカルにチャンネル下限まで下げたこともあって底堅い印象ですが、上値も重く前日高値は超えられず、海外市場ではじり安での展開となりました。

2月9日(木) 
ドル円は前日NY市場の流れを受けドル買いが先行し、仲値過ぎには131.83レベルの高値をつけました。後場に入り日銀総裁人事をめぐる報道での乱高下を挟んだものの、米金利が低下気味だったことから全般的なドル売りが続きました。NY朝方に130.34レベルの安値をつけ、引けにかけては米金利が上昇したことから東京朝方の水準へと戻して引けました。
ユーロドルも基本はドル円と似たような動きをたどりました。NY朝方までユーロ買い・ドル売りその後はユーロ売りへと転じほぼ行って来いの値動きを見せました。

2月10日(金)
ドル円は東京市場では動意薄でほとんど動きが見られませんでしたが、欧州市場序盤に植田元審議委員が日銀総裁に起用されるとの速報に円は急騰。それまでの131円台半ばでのもみあいから129.80レベルの安値をつけましたが、その後の同氏の過去の発言、さらには当日の緩和を支持する発言を受けて行って来いとなりました。その後は米金利の動きと歩調を揃え、130円台半ばへの押しを挟んで、東京市場の水準に戻して引けました。

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