ドル円 引き続き日米金融政策などに一喜一憂か(週報2月第2週)

先週のドル/円相場は結果ドルが小安い。週間を通した値幅も3円程度と決して小さくなかったが、上下に大きく振れる局面も多く、見た目以上に荒っぽい値動きだった。

ドル円 引き続き日米金融政策などに一喜一憂か(週報2月第2週)

引き続き日米金融政策などに一喜一憂か

〇先週のドル円、週間高値132.90まで値を上げるも、週末に一時130円を割り込む局面も
〇10日に「岸田首相が植田元審議委員を日銀総裁起用の意向」と伝えられ金融市場は荒れ模様に
〇ドル円相場は方向性が定まらず、値動きは活発だが130-132円台を中心とした往来相場が中心
〇今週は1月消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、129.50-134.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果ドルが小安い。週間を通した値幅も3円程度と決して小さくなかったが、上下に大きく振れる局面も多く、見た目以上に荒っぽい値動きだった。

前週末は、米国で発見された謎の気球をめぐり情報が交錯。政治問題にまで発展する大騒ぎとなった。一方、日経新聞が報じた「日銀総裁人事」報道が思惑を呼び、週明け早々から円絡みの相場は波乱含みに。
そうした状況下、前述日経報道を受け、ドル/円は下方向に大きなギャップを空ける132円台で寄り付いた。そののち週間高値である132.90円まで値を上げるも、高値示現後は各種材料に振り回されて激しい上下動。週末にドルは下値をトライすると一時130円を割り込む局面も観測されている。落ち着きどころを探る動きをたどるなか週末NYは131.40円前後、先週のレンジのちょうど中間地点で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日銀総裁人事」と「中国偵察気球」について。
前者は、週明け6日の日経新聞が「政府、雨宮氏に日銀総裁就任を打診」と報じ、同日早朝の時間外取引から思惑を呼ぶ。ただ、鈴木財務相が「聞いていない」と早々に火消しに動いたこともあり、取り敢えず一旦は沈静化した。しかし、その後も「アベノミクス転換示唆なら日銀総裁人事は難航」や「政府、日銀総裁らの人事案を14日に国会提示する方針」といった観測記事が取り沙汰されるなか、週末10日の東京夕方、突然「岸田首相が植田元審議委員を日銀総裁起用の意向」などと伝えられ、金融市場は再び荒れ模様に。ちなみに、10日のドル/円は結局「行って来い」。一時2円下落したが、そのほとんどを取り戻すという乱高下をたどっていた。

対して後者は、米国で中国のものとされる「偵察気球」が発見され大騒動に。自国の一部を気球が通過したことを問題視したカナダでは「中国大使の召喚」を発表したほか、米国では5-6日に予定されていた米国務長官の訪中が延期となるなど、外交問題にまで発展している。そののち、米国は気球を海上で撃墜。落下物を回収し詳細に分析する旨を明らかにしたうえで、同盟国やパートナー国と情報共有する見通しを表明したことに中国が猛反発。「米国の主張は国際世論を動かすための情報戦だ」などと強く批判したうえで「損害賠償を求める」旨の発言や「落下物の返還要求」も。さらには、対抗措置を示唆するコメントも発せられていた。今週は米国発で詳細な分析結果がおおやけとなる可能性もあり、それらニュースなどには要注目だ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル円相場は方向性が定まらず。値動きそのものはなかなか活発ながら、130-132円台を中心とした往来相場が中心だった。実際、週央8日以降の日足はというと3日連続で寄り引き同時線に近く、上下にヒゲを残す格好だ。予断を許さないものの、今週も引き続き130-132円台を中心とした上下動、一進一退をたどる可能性も考えられる。ただし、2月安値128.09円を起点とした上げ幅に対するフィボナッチからすると、129.20-25円を下回ると月間安値が視界内に。

材料的に見て当初は、NY時間に「米消費者物価指数が発表される」うえ、「日銀正副総裁人事の提示」が予定されている14日の値動きがとくに要注意と考えていた。しかし、後者については先週末に「植田元審議委員を日銀総裁起用の意向」と複数メディアで伝えられるなど材料を先食い。興味が若干殺がれた感を否めないだろう。とは言え、植田次期総裁が果たしてどんな政策をとるのか、さらに根本的な話をすれば、野党を中心に植田総裁候補が本当に承認されるのかという問題もある。たとえば、この週末に立憲民主党の泉代表は「いまの大規模な金融緩和を見直すかどうかなどを見極め人事案への賛否を判断する」との考えを示しており、一抹の先行き懸念もなくはない。

テクニカルに見た場合、ドル/円はおおむね下値を130円前後で推移する移動平均の21日線に支えられる反面、上値は133円レベルに位置する一目均衡表の先行帯の雲の下限に抑制される展開。そうした意味では、先週推移した130-132円台での値動きはなかなか居心地が良いと言える。今週は、先週のレンジを上下どちらに放れるのかにまずは注目。上方向なら135円台を目指す展開が見込まれる反面、底割れすれば2月安値や年初来安値127.22円などが視界内に。

今週は、1月の消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表される予定だ。3日発表された米雇用統計が予想以上の好数字を示したことの余韻はいまだ残っており、再び好数字の指標が発表されるのか否かを注視したい。そのほか週間を通して米通貨当局者らの発言機会も多いだけに、そちらも一応要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、129.50-134.00円。ドル高・円安については、一目均衡表の先行帯の雲の下限も近い先週高値である132.90円の攻防にまずは注目。上値は重そうだが、しっかり抜ければドル一段高も。
対してドル安・円高方向は、130円前半から半ばに弱いサポートがあり、割り込めば先週安値129.80円を目指す。

引き続き日米金融政策などに一喜一憂か

ドル円日足

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