『国家非常事態宣言発動で南アランドは約1年1ヵ月ぶり安値圏へ』
今週のレビュー(2/6−2/10)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週を通して軟調推移が継続しました。週初7.55円で寄り付いた南アランドの対円相場は、(1)ドル円相場の急騰(前週末金曜日に発表された米1月雇用統計のポジティブサプライズ+日本経済新聞社による「日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診。政府・与党が最終調整」とのサプライズ報道)に連れる形で、週明け早々に、週間高値7.58円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)米金利上昇に伴う新興国から米国への資本流出懸念の高まりや、(3)米金融大手モルガン・スタンレー社による南アフリカのユーロボンドに対する「like」評価の撤回発表、(4)南ア12月製造業生産(結果▲4.7%、予想▲3.6%)の冴えない結果、
(5)南アフリカのラマポーザ大統領による「国家非常事態宣言」発表、(6)南ア株の軟調推移、(7)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の冴えない動き(交易条件悪化懸念)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.30円(昨年1/6以来、約1年1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/10午前3時00分現在)では、7.35円前後で推移しております。尚、対ドル相場も週を通して軟調推移が継続し、週末にかけて、昨年12/1以来の安値圏へと下落しました。
来週の見通し(2/13−2/17)
南アランドの対円相場は、約1ヵ月に亘り続いた7.40ー7.60レンジを下方ブレイクすると、週末にかけて、昨年1/6以来、約1年1ヵ月ぶり安値となる7.30円まで急落しました。ローソク足が主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」の全てが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)慢性的な電力不足に伴う南アフリカの国家非常事態宣言発動(国営電力会社エスコムによる過去最悪の計画停電が長期化)や、(2)上記1を背景とした南ア経済の先行き懸念(南ア中銀は1/26に2023年の同国経済成長率見通しを+1.1%から+0.3%へ下方修正)、(3)南アフリカランドの金利先高観後退(1/26に開催された南ア中銀会合で市場予想の50bpを下回る25bpの利上げを実施→利上げサイクル終了を想起)、
(4)南アフリカを巡る政局不透明感(与党・アフリカ民族会議の支持率低下→来年の次期総裁選に向けて、与党・アフリカ民族会議の分裂リスクや左派政党躍進リスクに繋がる恐れ)、(5)日銀による金融緩和の修正観測(円売り材料と見られていた雨宮氏の次期総裁就任が見送られ、代わりに植田和男氏が次期総裁に就任する見通し)、(6)米FRBによる金融引き締め長期化観測(新興国から米国への資金流出懸念)、(7)南アフリカの交易条件悪化懸念など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア1月CPIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.15ー7.45
南アランド円日足
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