トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて夜の下落から持ち直す(23/2/10)

トルコリラ円の2月9日は概ね7.00円から6.92円の取引レンジ、10日早朝の終値は6.98円で前日終値と変わらずだった。

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて夜の下落から持ち直す(23/2/10)

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて夜の下落から持ち直す

〇トルコリラ円、ドル円の騰落に合わせた動き継続、2/9午前には7.00へ上昇
〇夜にかけてドル円下落で6.92へ失速、その後ドル円反騰に伴い2/10早朝6.99まで切り返す
〇対ドル、2/9は概ね18.84から18.81の取引レンジ、史上最安値近辺での推移続くが地震反応は限定的
〇大地震による死者が2万人超える、被害対策と復興へ向けてエルドアン政権への重圧高まる
〇6.95以上での推移中は上向きとし、7.01超えからは7.03前後への上昇を想定する
〇6.95割れからは、2/9夜安値6.92試しとする

【概況】

トルコリラ円の2月9日は概ね7.00円から6.92円の取引レンジ、10日早朝の終値は6.98円で前日終値と変わらずだった。
トルコ大地震被害拡大を気にしつつもドル/トルコリラの動きは限定的なものに留まっており、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けている。
ドル円は2月7日未明高値132.90円から8日未明安値130.46円へ下落した後はやや持ち直し優勢で推移し、9日午前には131.82円まで戻り高値を切り上げ、午後は日銀人事報道で小波乱を見せたものの夜にかけては米長期債利回り低下を見て下落に転じて130.33円の安値をつけて2月8日未明安値を割り込んだが、深夜からは米長期債利回りの反騰を見て上昇に転じ、10日早朝には131.64円まで戻した。

トルコリラ円は2月7日未明高値7.06円から8日未明安値6.93円まで下落したところから持ち直し、9日午前にはこの日の高値となる7.00円へ上昇したが、夜にかけてのドル円の下落で6.92円へ失速、その後にドル円が反騰したことで10日早朝には6.99円まで切り返している。
ドル円は米FRBによる利上げペース減速度合や利上げ継続期間等を見極めたいところであるとともに、来週にも人事案が国会提出となる日銀新総裁を巡り異次元金融緩和の出口戦略が勢い付くのか緩やかなものに留まるのかを思惑する状況だが、131円を中心にややレンジを拡張する持ち合いで騰落しており、トルコリラ円もドル円の風向きを見ながら反応してゆく展開だ。

【対ドルでは史上最安値近辺での推移続くが地震反応は限定的】

ドル/トルコリラの2月9日は概ね18.84リラから18.81リラの取引レンジ、10日早朝の終値は18.82リラで前日と変わらず。
2月10日午前序盤には18.856リラの安値をつけており、2月3日につけた取引時間中の史上最安値18.860リラに迫っている。終値ベースでの史上最安値は1月24日、2月8日、2月9日の18.82リラで、小数点下四桁では2月8日の18.8232リラが最安値となっている。
2月6日に発生したトルコ大地震の被害が深刻化しており、イスタンブール証券取引所が8日から15日までの間の取引停止を決めたが、為替市場におけるリラの動向には大きな異変は見られない。現金化としてのリラ需要とハードカレンシーへの逃避が交錯する市場心理と思われるが、トルコ中銀によるリラ安抑制も効いている印象だ。
2月9日夜に発表された週次の外貨準備高は2月3日時点のグロスで779.3億ドルとなり1月27時点の762.1億ドルから増加、ネットでは270.9億ドルで1月27日時点の258.1億ドルから増加した。市場の反応は限定的だったが、大地震後の数値がどうなるか気になるところだ。

【トルコ大地震、死者2万人を超え、被害対策と復興へ向けてエルドアン政権への重圧高まる】

2月6日に発生したトルコ大地震による被害実態が日々拡大している。トルコの死者は1万7000人を超え、シリアでは少なくとも3000人を超えており、両国合わせて2万人を超えてきている。
大震災級の被害であり、救助、被災者収容、破壊されたインフラ等の復興を海外からの支援を伴いながら大規模な財政支出を発生させつつ取り組んでゆくことになるが、5月の大統領選挙での再選を狙うエルドアン政権にとっては対応を失敗すれば再選も危うくなる。

今回の大地震により今後懸念される問題は概ね以下の通り。
(1)数十億ドル規模の被害対策、長期にわたる被災者支援、インフラ復旧等による財政支出が急増する。
(2)ツイッターが一時停止したことでの批判等も含め、政府の初動対応への批判が強まっているが、20年間権力を握ってきたエルドアン大統領の耐震政策への批判も掘り起こされる。
(3)金融経済政策への不満やバイデン米大統領にかつて独裁者呼ばわりされたエルドアン大統領の強圧政治により若者の海外逃避が続いてきたが、今回の震災も新たな人材流出のきっかけとなりかねない。

(4)世界経済が主要国のインフレ対策と金融引き締めにより景気減速感を強めている中でトルコの製造業・輸出にも陰りが見え始めているところでの震災発生でトルコの成長率が大幅に鈍化する可能性がある。
(5)財政悪化と外貨準備高減少等を招く場合は株安・債券安・リラ安のトリプル安を招きかねない。
(6)トルコ・シリア国境におけるシリア政府実効支配地の外での被害状況がつかみ切れていないが、新たな難民の発生がトルコ及びEUにおける大問題となりかねないが、トルコもすでに難民受け入れの限界に近い状況のため、欧州への影響も大きくなると思われる。また民族間に政府支援の差が出れば新たな民族間紛争の火種となりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月7日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を8日未明安値を含めて9日夜にかけての間と想定していたが、2月9日午前時点では8日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。しかし、2月9日夜に8日未明安値をいったん割り込んでから7.00円まで反騰したため、直近のサイクルボトムを9日夜安値とした強気サイクル入りと改めて10日の日中から14日未明にかけての間への上昇を想定する。
6.95円を上回るうちは上昇余地ありとし、6.95円割れからは9日夜安値試しとする。弱気サイクル入りは9日夜安値割れからとし、その際は14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月9日夜安値からの反騰で先行スパンを上抜きつつあるため、先行スパンを上抜くところからは遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、乱高下が続く可能性もあるので先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月9日夜に30ポイントを割り込んだが、8日未明の30ポイント割れと共に指数のダブルボトムを形成している。50ポイント以上での推移中は70ポイント台を目指す上昇余地ありとみるが、乱高下が続く可能性もあるので50ポイント割れからは再び30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.95円を下値支持線、7.01円を上値抵抗線とする。
(2)6.95円以上での推移中は上向きとし、7.01円超えからは7.03円前後への上昇を想定する。7.03円以上は反落注意とするが、6.97円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.95円割れからは2月9日夜安値6.92円試しとする。6.92円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、6.92円割れから続落に入る場合は6.90円前後試しとし、6.95円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 10.2%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.1%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -1.3%、予想 -1.35%)
2月13日
 16:00 12月 経常収支 (11月 -36.66億ドル、予想 -57.0億ドル)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.5%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.1%)


注:ポイント要約は編集部

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