トルコリラ円見通し 2月8日未明安値からの持ち直しを試す、大地震の為替市場への影響は限定的(23/2/9)

トルコリラ円の2月8日は6.99円から6.93円の取引レンジ、9日早朝の終値は6.98円で前日終値の6.96円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 2月8日未明安値からの持ち直しを試す、大地震の為替市場への影響は限定的(23/2/9)

2月8日未明安値からの持ち直しを試す、大地震の為替市場への影響は限定的

〇トルコリラ円、8日は6.99から6.93の取引レンジ、大地震の為替市場への影響は限定的
〇ドル円の修正安入りと共に8日未明6.93まで安値切り下げ、その後ドル円の持ち直しに合わせ戻す
〇ドル円の動向を見ながら一段安へ進むか、ドル高再開により7円台回復へ向かうのか試される局面
〇対ドルでは18.8232で終値ベースでの最安値をわずかに更新
〇イスタンブール100株価指数は7日に8.62%安の暴落となり8日もさらに大幅下落で開始
〇6.96以上での推移中は上向きとし7.01超えからは7.03前後への上昇を想定
〇6.96割れからは2/8未明安値6.93試し、6.93では買い戻しも入りやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の2月8日は6.99円から6.93円の取引レンジ、9日早朝の終値は6.98円で前日終値の6.96円からは0.02円の円安リラ高だった。
2月6日に発生したトルコ大地震の影響が懸念されるが、ドル/トルコリラは史上最安値近辺での小動きにとどまり、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けている。
ドル円は2月3日夜の米雇用統計をきっかけとしたドル全面高と日銀新総裁人事関連報道により128円台序盤の水準だったところから2月7日未明高値132.90円へ急伸したが、上昇一巡で修正安に入り2月8日未明のパウエル米FRB議長発言をきっかけとしたドル安局面で130.46円へ急落、早々に131円台中盤へ戻した後は131円を挟んだ揉み合いで推移しており、急落調整が落ち着いて持ち直しを試し、8日深夜には131.53円へ上昇し、9日午前も戻り高値を切り上げている。

トルコリラ円は2月2日夜安値6.80円から2月7日未明高値7.06円へ急伸し、ドル円の修正安入りと共に8日未明には6.93円まで安値を切り下げたが、その後はドル円の持ち直しに合わせて8日未明安値割れを回避し、8日夕刻に6.93円を試したところを買われて深夜には6.99円まで戻した。2月9日午前にはドル円の上昇をみて7.00円を試している。
2月2日夜からのドル全面高が落ち着き、ドル円もいったん修正安を入れたところだが、この先の方向性を探りつつきっかけをつかめずにいるため、トルコリラ円もドル円の動向を見ながら2月8日未明安値割れから一段安へ進むのか、ドル高再開により7円台回復へ向かうのか試される局面だ。

【対ドルでは終値ベースで史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの2月8日は概ね18.86リラから18.80リラの取引レンジ、9日早朝の終値は18.82リラで前日終値の18.81リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
トルコ大地震の影響が懸念されるが、2月3日に付けた取引時間中の史上最安値である1ドル18.860リラに対して2月8日は18.8585リラを付けて迫った。終値ベースでの史上最安値は1月24日の18.8230リラだったが、2月8日は18.8232リラで最安値をわずかに更新している。
トルコ統計局は2月8日に金融市場動向についての最新レポートを発表しており通常に機能している。
2月8日未明のパウエル米FRB議長の対談発言をきっかけとしてドル円の下落が一服、ユーロドルも議長発言から乱高下したものの、2月7日深夜安値割れを回避して2月2日夜からの大幅下落一服となり、為替市場は方向感を探る展開に入っているが、8日夕刻からはややドル高優勢の動きが見られユーロドルは上値が重く豪ドルが失速気味となっている。トルコリラは災害時の投機マネーの現金化や安全資産への逃避等の混乱も発生していると思われるが、年初からのジリ安基調の範囲で推移している。

【トルコで大地震、復興への財政負担、エルドアン政権の対応への評価で不安感拡大】

2月6日にトルコ南部で発生したマグニチュード7.8の大地震とその後に続いたマグニチュード7.5の大地震の連発により、トルコ南部・南東部、シリア北部に甚大な被害が広がっており、既に死者は1万2000人を超えている。阪神淡路大震災を超える規模の震災であり、今後もさらに被害の深刻さが表面化してくると思われる。
イスタンブール証券取引所は2月8日に寄り付き直後に成立していた取引全てを取り消して無効扱いとし、2月15日まで休場すると発表した。イスタンブール100株価指数は2月6日に1.35%安だったが7日には8.62%安の暴落となり8日もさらに大幅下落で開始していたようだ。株安による資産既存・時価評価急減も今後の復興と共にトルコ経済には大きな重石となってくると思われる。

エルドアン大統領は2月8日に被災地を初めて訪問したが、初動対応には問題があったことを認める発言もしている。大統領は「日を追う毎に状況は改善する」としたが、政府の対応への批判が強まっていることに対しては「今は結束する時。政治的利益のためにネガティブキャンペーンを行うのは我慢ならない」と不満を述べている。5月の大統領再選に向けて被害対策と復興計画で手腕を発揮して国民の信頼を得られるのか、不手際を批判されて支持率を落とすのか、明暗も分かれるところだ。2月8日にはトルコ内でのツイッターが制限され、野党議員や学者をはじめ政府への批判が増している。

被害救済と復興には莫大な財政出動も必要になるが、トルコの財政基盤を脆弱とし、輸出関連等に影響が出るようだと2023年第1四半期から第2四半期にかけての景気後退も懸念される。また政局不安感が増したりリラ安が一段と進行する場合にはトルコ売り型の株安・債券安・リラ安のトリプル安発生をもたらしかねないと思われる。
またシリアがEUへの支援要請を行ったが、地震からの避難民がシリア政府管轄内で30万人近く、政府の実行支配地以外でも多数の被災者が見られることから、国際レベルの難民問題がトルコにとっても大きな負担になってくると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月8日未明への下落で7.00円を割り込んだために2月7日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を8日未明安値を含めて9日夜にかけての間と想定した。またすでに反騰注意期にあるとし、6.99円超えからは強気サイクル入りとした。
2月9日午前に6.99円を超えてきたため、8日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9日深夜から14日未明にかけての間への上昇を想定する。6.96円以上での推移中は上昇余地ありとし、6.96円割れからは弱気転換注意として2月8日未明安値6.93円試しとするが、弱気サイクル入りは8日未明安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では2月8日未明への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからの転落を試したがその後の持ち直しにより2月9日午前には遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜き始めているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は2月8日安値割れからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月8日未明に30ポイントを割り込んだところで下げ渋り、9日午前の上昇で60ポイントへ戻している。50ポイント以上での推移中は70ポイント乗せを試す上昇を想定するが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.96円を下値支持線、7.01円を上値抵抗線とする。
(2)6.96円以上での推移中は上向きとし、7.01円超えからは7.03円前後への上昇を想定する。7.03円以上は反落注意とするが、6.96円以上での推移なら10日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.96円割れからは2月8日未明安値6.93円試しとする。6.93円では買い戻しも入りやすいとみるが、6.93円割れから続落に入る場合は6.90円前後試しとし、6.93円以下での推移なら10日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月9日
 20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 グロス (1/27時点 762.1億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 ネット (1/27時点 258.1億ドル)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 10.2%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.1%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -1.3%)
2月13日
 16:00 12月 経常収支 (11月 -36.66億ドル)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.5%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.1%)

注:ポイント要約は編集部

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