ドル円見通し 2月8日未明安値から下げ渋りで持ち直しを試すが勢い鈍い(23/2/9)

ドル円は2月8日未明のパウエル米FRB議長の対談発言を前後して7日夜の132円を挟んだ揉み合い水準から130.46円へ急落。

ドル円見通し 2月8日未明安値から下げ渋りで持ち直しを試すが勢い鈍い(23/2/9)

2月8日未明安値から下げ渋りで持ち直しを試すが勢い鈍い

〇ドル円、8日未明のパウエル議長発言を前後し132円を挟んだ揉み合い水準から130.46へ急落
〇深夜に131.53まで高値を若干切り上げたがその後は131円台前半での動き
〇ドル高継続かドル安再開へ進むか判断しかねるところ、2/14米CPIまで方向感探りが続きやすい局面
〇8日の米長期債利回りは総じて低下、10年債利回りは前日比0.07%低下の3.61%で連騰一服
〇NYダウは前日比207.68ドル安、ナスダック総合指数も203.27ポイント安と下落
〇131.60超えからは131.75から132円手前にかけての水準を試す上昇を想定
〇130.80割れからは下げ再開を警戒し2/8未明安値130.46試し

【概況】

ドル円は2月8日未明のパウエル米FRB議長の対談発言を前後して7日夜の132円を挟んだ揉み合い水準から130.46円へ急落し、直後に131.47円まで戻した後は131円を挟んだ持ち合いの様相となっている。2月8日夕刻に130.59円まで反落したところは買い戻され、深夜には131.53円まで高値を若干切り上げたが、その後は131円台前半での動きとなり、方向性の決め手に欠いた状況で様子見が続いている。

【週をまたいだ急騰の半値押し手前で下げ渋りに】

2月3日夜の米1月雇用統計で就業者増加数が市場予想の3倍近い急増となり、失業率が改善して平均時給もやや低下したものの高い水準を維持したことでドルが全面高、ドル円は128円台から131円台へ急伸し、2月6日の日銀新総裁に雨宮副総裁起用との観測記事から132.56円へ一段高、7日未明にはドル全面高が継続したことで132.90円まで上昇して2月2日夜安値128.07円からの上昇幅は4.83円となったが、2月8日未明安値130.46円まで2.44円の下落幅となり週末からの急騰幅に対して半値近くを解消する反落となったところでひとまず下げ一服となっている。

一方でユーロドルは2月2日午前高値1.1033ドルで昨年9月28日底0.9534ドル以降の最高値としたところから2月7日深夜にかけてのドル全面高により1.0665ドルまで急落してからは下げ渋っている。インフレ鎮静化と利上げ期間短縮への期待と共にインフレ高止まりによる利上げ期間長期化への懸念が交錯する状況であり、為替市場もドル高継続へ進むのか、ドル安再開へと進むのか判断しかねているところであり、2月14日の米CPIまで方向感探りが続きやすい局面と思われる。

【FRB高官による利上げ継続支持発言相次ぐ】

2月8日未明のパウエルFRB議長の対談における発言では、「強い労働市場を損なわずにインフレが低下し始めているのは良いことだ」「2023年に大きく低下し、2024年にはFRBの目標とする2%に近づく」と述べてインフレ沈静化へ期待を示したが、「当面は利上げ継続が適切で経済指標次第では12月時点の予想を上回る利上げも検討される」と述べたため、ハト派的な内容とタカ派的な内容が混在しているとして金融市場の反応はまちまちとなった。

2月8日もFRB高官の発言が相次いだが、NY連銀のウィリアムズ総裁は「FFレートを5.00-5.25%に引き上げることが妥当」「FRBにはまだ利上げが控えており、今後しばらくは金融政策を制約的な水準に維持する必要があると」述べた。またウォラーFRB理事は「インフレ抑制の試みが報われ始めているがさらに進めなければならない」「予想よりもより長期間にわたって一層高くする可能性がある」と述べるなどタカ派姿勢を意識させた。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も「政策金利ピークを年5.25-5.50%と想定し、イールドカーブ全体で実質金利をプラスにする必要がある」と述べ、「雇用統計については大きなサプライズだった」とし「より多くの利上げが求められるが、どのくらいの利上げが必要なのかは分からない」として利上げ回数の増加や政策金利ピーク水準の引き上げの可能性も示唆した。いずれの発言も決め手に欠いたが8日深夜以降はややドル高優勢の動きが見られた。

【米10年債利回りは連騰一服、ダウとナスダックは下落】

2月8日の米長期債利回りは総じて低下した。指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の3.61%で終わったが、2月3日に前日比0.12%上昇、6日に0.11%上昇、7日に0.04%上昇と3連騰したが連騰一服の様相。パウエル議長発言についてはタカ派部分に反応していたが、8日は10年債の入札が堅調だったこともあり低下したようだ。
30年債利回りは0.04%低下の3.67%で2月2日の3.50%まで低下したところからの持ち直し基調にあるものの上昇一服の様相。利上げに敏感な2年債利回りは0.04%低下の4.43%で終了、2月3日の0.18%上昇、6日の0.18%上昇から7日は変わらずとして上昇一服に入っている。

一方でNYダウは前日比207.68ドル安と下落、ナスダック総合指数も203.27ポイント安と下落した。8日未明のパウエル議長発言に対しては乱高下後に上昇して7日は265.67ドル高だったが、8日夜のFRB高官らの発言も踏まえて利上げ継続期間の短縮への楽観が再び後退している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月3日夜からの急伸が2月7日未明高値で一巡して下落に転じたが、2月8日未明安値で目先の底を付けて持ち直しを試している。上昇の勢いは鈍いために下げ一服の持ち合いという印象であり、2月8日未明安値割れからは持ち合い下放れによる新たな下落期入りとして15日未明にかけての下落が想定されるが、8日未明安値割れを回避するうちは14日未明にかけての上昇余地を残すとみる。

60分足の一目均衡表では2月8日未明安値からの下げ渋り持ち合いにより遅行スパンは好転しているものの再び悪化しやすい位置にとどまっている。遅行スパン好転中は戻りを試すとみて先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、遅行スパン悪化からは下げ再開を疑い、2月8日未明割れからは一段安に入るため遅行スパン悪化中の安値試しが続きやすくなるとみる。

60分足の相対力指数は2月8日未明の下落時に20ポイント台へ低下したが、その後は指数が底上げをして50ポイント台を回復している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント台への上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開として20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、130.80円を下値支持線、131.60円を上値抵抗線とする。
(2)131円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、131.60円超えからは131.75円から132円手前にかけての水準を試す上昇を想定する。132円手前は戻り売りにつかまりやすいと注意するが、131円台を維持しての推移なら10日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)130.80円割れからは下げ再開を警戒して2月8日未明安値130.46円試しとし、底割れからは129円台後半(130.00円から129.50円)への下落を想定する。129.70円以下は反騰注意とするが、130.50円を下回っての推移なら10日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/9(木)
EU首脳会議特別会合(2/10まで)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数(CPI)速報値 前月比 (12月 -0.8%、予想 0.8%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数(CPI)速報値 前年同月比 (12月 8.6%、予想 8.9%)
18:45 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.3万件、予想 19.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 165.5万人、予想 165.8万人)
27:00 (米) 財務省30年債入札

2/10(金)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前月比 (12月 0.5%、予想 0.4%)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前年同月比 (12月 10.2%、予想 9.7%)
09:30 (豪) 豪中銀、四半期金融政策報告
10:30 (中) 1月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (12月 1.8%、予想 2.2%)
10:30 (中) 1月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (12月 -0.7%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・速報値 前期比 (7-9月 -0.3%、予想 0.0%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・速報値 前年同期比 (7-9月 1.9%、予想 0.4%)
16:00 (英) 12月 月次GDP 前月比 (11月 0.1%、予想 -0.3%)

16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -5.1%、予想 -5.2%)
16:00 (英) 12月 貿易収支・物品 (11月 -156.23億ポンド、予想 -173.00億ポンド)
16:00 (英) 12月 貿易収支・全体 (11月 -18.02億ポンド、予想 -28.00億ポンド)
23:00 (英) ピル英中銀理事、講演
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (1月 64.9、予想 65.0)
26:30 (米) FRBウォラー理事、暗号資産関連講演
28:00 (米) 1月 月次財政収支 (12月 -850億ドル)
30:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、暗号資産関連講演

注:ポイント要約は編集部

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