トルコリラ円見通し ドル円の急落で前日の上昇分を解消(23/2/8)

トルコリラ円の2月7日は7.05円から6.93円の取引レンジ、8日早朝の終値は6.96円で前日終値の7.04円から0.08円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落で前日の上昇分を解消(23/2/8)

トルコリラ円見通し ドル円の急落で前日の上昇分を解消

〇トルコリラ円、1/7はドル円の修正安入りに合わせて失速、深夜には7円を割り込む
〇パウエル議長発言で6.93へ一段安の後6.98まで戻すが再び売り優勢、2/8午前は6.95を割り込んでいる
〇目先はドル円と共に、トルコリラ円も修正安の落ち着きどころを探る局面か
〇ドル/トルコリラ、中長期的なリラ安基調を継続しつつも日々は小幅なレンジでの推移
〇6.98以下での推移中は一段安警戒、6.93割れからは6.90前後への下落を想定する
〇6.99を超える場合は7.00ー7.02への上昇を想定するが、7.00以上は反落警戒とする

【概況】

トルコリラ円の2月7日は7.05円から6.93円の取引レンジ、8日早朝の終値は6.96円で前日終値の7.04円から0.08円の円高リラ安となった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開を続けているが、ドル円は2月3日夜の米雇用統計をきっかけとしたドル全面高により128円台から131円台序盤へ急伸し、週明けの2月6日は日銀新総裁に雨宮現副総裁起用との憶測報道から132.56円へ続伸、さらにドル全面高が継続したことと日銀新総裁・副総裁人事が来週にも国会に提示されるとの報道から2月7日未明には132.90円へ一段高となっていた。しかしやや過剰な上昇だったことにより2月7日は修正安に入り、8日未明のパウエルFRB議長発言に先行して131円台序盤まで下げ、パウエルFRB議長発言をきっかけに130.46円へ一段安、いったん130.47円まで戻してから再び131円を割り込む乱調な推移となった。

トルコリラ円は2月2日夜安値6.80円から4日早朝に6.97円へ大幅上昇し、6日朝に7.04円へ続伸、7日未明に7.06円へ一段高となり1月18日高値7.00円を超えたが、7日はドル円の修正安入りに合わせて失速し、深夜には7円を割り込み、パウエル議長発言から6.93円へ一段安した。いったん6.98円まで戻したものの再び売り優勢となり、2月8日午前は6.95円を割り込んでいる。

先週末の米雇用統計とISMサービス業景況指数が予想を大幅に超える改善を示したことで、米FRBによる利上げ状態継続期間の短縮期待が後退し、利上げペースが再び加速するのではないかとの懸念も生じていたが、パウエル議長の8日未明発言では利上げ継続姿勢と共にインフレの顕著な低下見通しが示されたことでドル高に対しては若干のブレーキとなったようだ。しかしドル円としては週をまたいでの急騰に対する修正が続いている印象であり、トルコリラ円も目先はドル円と共に修正安の落ち着きどころを探る局面と思われる。

【対ドルでは前日比変わらずだが最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの2月7日は概ね18.84リラから18.78リラの取引レンジ、8日早朝の終値は18.81リラで前日終値と変わらずだった。
為替市場全般は先週のFOMCからECBにかけてのドル全面安が一巡し、週末の米雇用統計をきっかけとしてドル高がぶり返す乱調な展開となっているが、ドル/トルコリラは中長期的なリラ安基調を継続しつつも日々は小幅なレンジでの推移を続けている。
手元のデータでは2月3日に1ドル18.86リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新したが、ベンダーによっては2月6日安値18.85リラで最安値更新としたところや、既に18.90リラ台の安値提示も見られる。
トルコの大地震発生によるリラ売りの殺到等は見られないが、大震災級の災害のため、安全資産確保のための外貨やゴールドへの逃避買いや、逆に震災被害対策としての預金引き出しや外貨やゴールドのリラ転換等が交錯していることも推察される。

【トルコで大地震、被害甚大】

2月6日未明にトルコ南部でマグニチュード7.8の大地震が発生し、その後にもマグニチュード7.5の大地震が発生した。トルコ南部・南東部、シリア北部に被害が広がっており既に7千人以上が死亡したとされる。
エルドアン大統領は2月7日に被害の発生した10県に対して3か月の非常事態を宣言した。米国やロシア、日本等からの支援隊も向かっており国際的な援助が進んでいるが、死者負傷者数は今後も確認が済めば増えてゆくと思われる。

トルコの株式市場は震災発生により2月7日は前日比8.62%安と大幅下落した。1月23日から2月1日まで8営業日続落し、2月2日と3日に戻したところから再び失速した状況での急落だが、復興期待よりも当面は被害の深刻さを反映して売りが続きやすい状況と思われる。トルコ株安がリラへの売り圧力を増すことも懸念されるが、今のところは中銀のリラ安抑制政策等もあり大きな動きには至っていない。
エルドアン大統領にとっては国際支援を受ける中で外交的な孤立から国際協調姿勢をアピールし、復興へ尽力することで国民の信認を回復したいところだが、エルドアン政権による圧政や経済的な混乱を嫌って優秀な若者たちの国外逃避も続いてきた傾向が震災をきっかけにさらに拡大することも懸念される。また震災被害と復興にためにインフレが一層深刻化することも懸念すべき問題と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月2日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、2月7日午前時点では既に前回サイクルトップから5日を経過していることと急騰に対する高値警戒感から反動安入りを警戒すべき局面ととし、7.00円割れからは弱気サイクル入りとした。
2月8日未明への下落で7.00円を割り込み6.93円まで失速したため、2月7日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は8日未明から9日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、6.98円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.99円超えからは強気サイクル入りとして9日深夜から14日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月8日未明への急落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落をひとまず回避したものの8日午前の下落で転落しつつあるところだ。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、8日未明安値を割り込む場合は先行スパンからの転落も重なるので下げ足が速まりやすいと警戒する。強気転換は遅行スパン好転からとするが、その際は先行スパン上限が上値抵抗線となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は2月8日未明に30ポイントを割り込んだがその後も40ポイント近辺にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは反騰入りとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.93円を下値支持線、6.98円を上値抵抗線とする。
(2)6.98円以下での推移中は一段安警戒とし、6.93円割れからは6.90円前後への下落を想定する。6.90円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は6.87円前後へ下値目途を引き下げる。また6.95円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは9日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.96円から6.98円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。6.99円を超える場合は7.00円から7.02円への上昇を想定するが、7.00円以上は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

2月9日
 20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 グロス (1/27時点 762.1億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 ネット (1/27時点 258.1億ドル)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 10.2%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.1%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -1.3%)
2月13日
 16:00 12月 経常収支 (11月 -36.66億ドル)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.5%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.1%)


注:ポイント要約は編集部

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