トルコリラ円見通し ドル円の急伸により2連騰で1月18日高値を超える
〇トルコリラ円、ドル円の急騰に合わせ2/6朝7.04へ上昇、2/7未明7.06へ続伸し1/18高値7.00を超える
〇対ドル、2/6は18.85から18.79の取引レンジ、史上最安値近辺での推移続く
〇2/6未明にトルコで大地震発生、トルコ南部・南東部・シリア北部に甚大な被害、復旧に時間かかるか
〇7.02以上での推移中は上昇余地ありとし、7.06超えからは7.08前後への上昇を想定する
〇7.02割れからは弱気転換注意として、7.00前後試しとする
【概況】
トルコリラ円の2月6日は7.06円から6.98円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.04円で先週末終値の6.97円からは0.07円の円安リラ高だった。
2月3日の米雇用統計とISMサービス業景況指数が予想を大幅に超える改善となったことで米FRBによる利上げ継続期間の短縮期待が後退したとして米長期債利回りが急上昇となり為替市場はドル全面高となった。このためドル円は米雇用統計発表前の安値128.32円から131円台へ急伸したが、2月6日朝には日銀新総裁に雨宮現副総裁との報道をきっかけに132.56円へ続伸し、ユーロやポンド等の下落が続いてドル全面高も継続したことで7日未明には132.90円へと一段高した。
トルコリラ円はドル円の急騰に合わせて2月2日夜安値6.80円から4日早朝には6.97円へ大幅上昇していたが、ドル円がさらに高値を切り上げたことにより2月6日朝には7.04円へ上昇、7日未明には7.06円へ続伸して1月18日高値7.00円を超えた。
ドル円はすでに2月2日夜安値から5円近い急騰であり日銀人事も絡んでやや過剰な急伸だった側面もあるので急騰後の反動安にも注意がいるところであり、トルコリラ円もドル円の動向をみながら反動安に注意したいところだ。
【対ドルでは史上最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの2月6日は18.85リラから18.79リラの取引レンジ、7日早朝の終値は18.81リラで先週末終値の18.82リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
手元のデータでは2月3日の取引で1ドル18.86リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新したが、ベンダーによっては2月6日安値18.85リラで最安値更新としているところや、既に18.90リラ台の安値提示も見られる。
トルコからロシアへ向けてのマイクロチップ等の輸出がロシア制裁の規制対象であるとして米国がトルコの関連企業への制裁発動の可能性を示唆したことや、2月3日夜の米雇用統計が予想を大幅に上回る改善となったことによるドルストレートでのドル全面高がリラ安の背景となったが、2月6日はトルコでの大地震発生もリラ売り材料とされた。
2月7日午前は18.884リラから18.78リラの範囲で推移している。
【トルコで大地震、被害甚大】
2月6日未明にトルコ南部でマグニチュード7.8の大地震が発生した。被害はトルコ南部・南東部、シリア北部に広がっており、現時点までにトルコの死者は2379人、シリアでも1444人が死亡したとされる。数千棟の建物が倒壊しており、今後も死亡者が増える見込みだが、被害は震災級であり災害復旧にも時間がかかると思われる。トルコのエルドアン大統領は「2月12日までの7日間を服喪とする」と宣言した。
トルコは地震の多い国でありこれまでも繰り返しマグニチュード7.0から7.2クラスの大地震に見舞われており、最近では2020年にマグニチュード6.7の地震で40人以上が死亡している。しかし今回の地震規模はトルコの内陸型地震としては過去最大であり、同地での予想最大規模と想定されてきた7.4を超える規模となった。
トルコの地震被害に対してロシアや米国が支援を表明している。日本政府も国際緊急援助隊の先遣隊を派遣する模様。
トルコはこれまでにシリア難民を多く収容してきたが、今回の大地震によるシリア側の被害も大きく、新たな難民の流入も考えられるが、トルコにとってはこれ以上の難民受け入れは深刻な負担増となりかねない。今後の国際的な支援により、NATO加盟国として孤立しているトルコと米国の関係改善に寄与する場合には外交的なプラスとなるきっかけとなりえるかもしれないが、難民問題も含めて欧州との関係がさらに悪化することも懸念される。
エルドアン大統領にとっては5月の大統領選挙へ向けて復興支援でどれだけ人心をつかむことができるかという点が大事になるだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月31日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして1月31日夜から2月2日午後にかけての間への下落を想定していたが、2月3日午前時点では2月2日夕刻高値6.86円超えからは強気サイクル入りとして3日の日中から7日午前にかけての間への上昇を想定するとした。
2月3日夜の急伸から7日未明へと続伸したため、現状は2月2日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしている状況だが、既に前回サイクルトップから5日を経過していることと、2月3日夜から0.25円を超える急騰のため高値警戒感も出やすいところであり反動安入りを警戒すべき局面と考える。このため、7.02円以上での推移中は7日の日中から8日にかけて高値を伸ばす可能性があるとみるが、7.02円割れからは弱気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では2月3日夜からの急伸で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているが、相場が高値更新を続けないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。またその際は先行スパンの上限近辺が下値支持線となりやすいと考える。
60分足の相対力指数は2月6日朝への急伸から7日未明へ一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるために反動安入りを警戒する。65ポイント超えからは上昇継続とするが、50ポイント割れからは下落期に入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.02円を下値支持線、7.06円を上値抵抗線とする。
(2)7.02円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.06円超えからは7.08円前後への上昇を想定する。7.08円以上は反落警戒とするが、7.03円を上回っての推移なら8日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.02円割れからは弱気転換注意として7.00円前後試しとする。7.00円割れ回避で7.03円超えへ反騰する場合は上昇再開とするが、7.00円割れから続落に入る場合は6.97円前後、次いで6.95円前後を順次試す下落を想定する。また7.02円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは8日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月7日
23:30 1月 財務省現金残 (12月 -1082.7億リラ)
2月9日
20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 グロス (1/27時点 762.1億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 2/3時点 ネット (1/27時点 258.1億ドル)
2月10日
16:00 12月 失業率 (11月 10.2%)
16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.1%)
16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -1.3%)
2月13日
16:00 12月 経常収支 (11月 -36.66億ドル)
16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.5%)
16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.1%)
注:ポイント要約は編集部
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