ドル円見通し 日銀人事報道から一段高、全般のドル高も続く(23/2/7)

日銀が新体制から急激な政策変更へ向かう可能性が後退したということでドル円の上昇も勢い付いたといえる。

ドル円見通し 日銀人事報道から一段高、全般のドル高も続く(23/2/7)

ドル円見通し 日銀人事報道から一段高、全般のドル高も続く

〇ドル円、2/6早朝、日銀新総裁に雨宮副総裁との報道をきっかけに132.56へ続伸
〇その後2/6深夜にかけてドル高が続いたことと日銀人事報道続報で、2/7未明132.90へ一段高
〇米雇用統計の強い内容を受けドル上昇、ドル高がぶり返しに入っている印象
〇米長期債利回りは総じて大幅上昇、米株価は続落
〇132.90超えからは、133円台前半(133.00から133.50)を試す上昇を想定する
〇132円割れからは、131円台前半(131.50から131.00)への下落を想定する

【概況】

ドル円は2月3日夜の米雇用統計とISMサービス業景況指数が予想を超える改善となったことをきっかけとしたドル全面高に乗じて直前安値128.32円から4日未明高値131.21円へ急伸したが、週明けの2月6日は早朝に日銀新総裁に雨宮副総裁との一部報道をきっかけとして132.56円へ続伸、その後も132.50円台を買われて高止まりし、6日深夜にかけてドル高が続いたことと来週にも新総裁と副総裁人事が国会に示されるとの続報で7日未明には132.90円へ一段高となった。

政府は新総裁人事についてコメントを控えているが、雨宮現副総裁は比較的ハト派的とみられており、黒田総裁による異次元金融緩和政策の出口戦略についてはより柔軟な姿勢になるのではないかとの見方が強まった印象だ。政府がアベノミクスから脱却し、日銀が異次元金融緩和の修正へ進む流れは既定路線と思われるが、日銀が新体制から急激な政策変更へ向かう可能性が後退したということでドル円の上昇も勢い付いたといえる。
2月6日は米雇用統計が強かったことによるドル高が続いているが、FOMCとECB理事会等のドル売りイベントを通過したことにより2月2日夜からドル高が再燃しており、ドル円としては日銀人事問題と全般的なドル高により押し上げられやすい状況と思われるが、週末からのやや過剰な急騰に対する反動安も警戒すべきところか。

【米雇用統計後のドル高続く】

2月3日夜に発表された1月の米雇用統計において失業率が12月の3.5%から3.4%へ低下して1969年5月以来53年8か月振りの低水準となり、非農業部門就業者数が前月比51万70000人増となり、市場予想の18万5000人増の3倍近い急増となったことから労働市場の力強さが示され、インフレ指標となる平均時給伸び率も前月比で0.3%上昇、前年同月比で4.4%上昇と高水準を維持した。
2月2日のFOMCにおける0.25%利上げへのペースダウン、2月2日夜のECBと英中銀による0.50%利上げ決定へのプロセスでは、米FRBの利上げ継続期間の短縮期待によるドル安が進行したものの、重要イベント通過によりドル高がぶり返し、雇用統計の強さから利上げ継続期間短縮期待がそがれた印象だ。

アトランタ連銀のボスティック総裁は2月6日に雇用統計の強い内容を踏まえて「もっとやるべきことがある」とし、「FRBが想定以上の利上げを行う可能性が高まった」「利上げ幅を再び0.5%へ拡大することも検討しうる」と述べた。
ユーロドルは2月2日に1.1033ドルをつけて昨年9月28日底0.9534ドル以降の最高値としたところから下落に転じたが、2月6日も1.0721ドルまで安値を切り下げた。ポンドドルも昨年9月26日底1.0382ドルから大上昇してきたが12月13日高値1.2443ドルを1月23日高値1.2447ドルでわずかに超えたところでダブルトップ形成となり2月6日は1.2002ドルへ失速している。豪ドル米ドルも昨年10月13日安値0.6169ドルからの大上昇が2月2日高値0.7157ドルでピークとなり、2月6日は0.6853ドルまで安値を切り下げている。ドル安を好感して大上昇してきたゴールドもそれらと同様に急落しており、ドル高がぶり返しに入っている印象だ。

【米10年債利回りは大幅上昇、米国株式市場は冴えず】

2月6日の米長期債利回りは総じて大幅上昇した。長期金利指標の10年債利回りは0.11%上昇の3.64%で終了した。2月2日に3.33%をつけて1月19日につけた昨年10月21日の4.34%以降の最低である3.32%に迫ったところからの反騰を継続して上昇再開感を強めた。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.68%、利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.18%上昇の4.47%で終了したが、2月3日の0.18%上昇からの大幅続伸となった。
米財務省は2月7日から9日にかけて3年債、10年債、30年債の入札を実施するため、利回り急反騰状況にあっては入札が低調となり債券安・利回り上昇を継続しやすくなると思われる。

一方で、NYダウはFRBの利上げ継続期間短縮への期待が後退したことが響いて前日比34.99ドル安と下落、2月2日から3営業日続落した。ナスダック総合指数も119.51ポイント安に終わり2月3日の193.86ポイント安からの続落となった。2月6日は上海総合株価指数が0.76%下落するなどアジア株の下落が目立ち、株安によるリスク回避的なドル買いを助長しやすい状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月2日夜安値128.07円から下げ渋りに入り、2月3日夜の米雇用統計をきっかけに急伸している。1月31日未明高値から5日を経過していることと既に5円近い急騰幅であり、日銀総裁人事報道に関するやや過剰な反応に対する反動に注意すべきところと思われる。
131.50円以上での推移中は133円台を試す可能性が残るとみるが、急騰後の反動安を警戒すべき時間帯とみて132.00円割れからは弱気転換注意とし、131.50円割れからは修正安局面入りとみて9日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月3日夜からの急騰で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いた。その後も両スパンそろっての好転が続いているが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすい位置に来ると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンの上限が上値抵抗線となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は2月6日朝の急騰時から7日未明への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので反落警戒とする。70ポイント超えからは一段高へ進む可能性があるとみるが、60ポイント割れからは40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、132.00円を下値支持線、2月7日未明高値132.90円を上値抵抗線とする。
(2)132.90円超えからは133円台前半(133.00円から133.50円)を試す上昇を想定する。133.50円以上は反落警戒とするが、132円台を維持するか、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは8日の日中も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)132円割れからは131円台前半(131.50円から131.00円)への下落を想定する。131.25円以下は反騰注意とするが、132円を下回っての推移か直前安値から1円を超える反騰が見られないうちは8日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/7(火)
バイデン米大統領、一般教書演説
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 3.10%、予想 3.35%)
14:00 (日) 12月 景気先行指数CI・速報値 (11月 97.4、予想 97.1)
14:00 (日) 12月 景気一致指数CI・速報値 (11月 99.3、予想 98.9)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.2%、予想 -0.7%)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -0.4%、予想 -1.6%)
18:00 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
19:15 (英) ピル英中銀理事、講演
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -615億ドル、予想 -685億ドル)
26:00 (米) パウエルFRB議長、ワシントン経済クラブでインタビュー
26:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) 財務省3年債入札
28:00 (米) バーFRB副議長、講演
29:00 (米) 12月 消費者信用残高 前月比 (11月 279.6億ドル、予想 250.0億ドル)

2/8(水)
08:50 (日) 12月 経常収支・季調前 (11月 1兆8036億円、予想 1060億円)
08:50 (日) 12月 経常収支・季調済 (11月 1兆9185億円、予想 1兆2493億円)
08:50 (日) 12月 貿易収支・国際収支ベース (11月 -1兆5378億円、予想 -1兆1158億円)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー現状判断 (12月 47.9、予想 48.3)
14:00 (日) 1月 景気ウオッチャー先行判断 (12月 47.0、予想 47.8)
23:20 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、WSJイベント参加
23:30 (米) クックFRB理事、討論会参加
24:00 (米) 12月 卸売売上高 前月比 (11月 -0.6%、予想 -0.2)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) バーFRB副議長、ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
26:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省10年債入札
27:45 (米) ウォラーFRB理事、講演


注:ポイント要約は編集部

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