ユーロ 反転下落を経てチャンネル内での動きに回帰(週報2月第1週)

先週のユーロドルは、FOMC後のパウエル議長会見でディスインフレプロセスへの言及からユーロ買い(ドル売り)となりました。

ユーロ 反転下落を経てチャンネル内での動きに回帰(週報2月第1週)

反転下落を経てチャンネル内での動きに回帰

〇先週のユーロドル、FOMC後のパウエル議長会見でディスインフレプロセスへの言及からユーロ買いに
〇ECB総裁会見では3月での利上げ打ち止めとも取れる慎重な発言となったことでユーロ売りに
〇米国雇用統計の予想外の数字にドル大幅高でテクニカルにもユーロの上値が重たい地合い
〇今週は雇用統計後の一週間で通常あまり目立った経済指標はなし
〇今週は1.0650レベルをサポートに、1.0950レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、FOMC後のパウエル議長会見でディスインフレプロセスへの言及からユーロ買い(ドル売り)となりましたが、ECB理事会も声明はタカ派であったもののラガルドECB総裁会見では3月での利上げ打ち止めとも取れる慎重な発言となったことでユーロ売りと、主要な中銀は声明ではタカ派、会見ではハト派と結局のところどちらとも取れるような言い回しを選んでいます。

これは、インフレはピークアウトし着実に下げてきているものの絶対的な水準が高いことに懸念がありと、中銀としてもいつから引き締めの終了段階に移るのか現段階では決められないというところです。おそらく、3月の利上げを行った後に様子を見て、もう1回利上げするのか利上げ打ち止めかを判断するということになるでしょう。

そして、おまけにしては荒れたのが米国雇用統計で、失業率は予想(3.6%)よりも低い3.4%、NFPに至っては予想+18.5万に対して+51.7万とそれこそ予想外の数字が出たことで、ドルは大幅高となりました。ユーロドルは1.10の大台示現後に反落したこともあって、テクニカルにもユーロの上値が重たい地合いになってきました。

今週は雇用統計後の一週間で通常あまり目立った経済指標はありません。しかも先週はECB理事会もあり、今週は先週の動き(=最終的にユーロ安)を継続しやすいと考えられますが、ラガルドECB総裁の会見で出た次回以降は経過を見て行くという部分をどのように考えるか、引き続き思惑は出やすそうです。

またユーロドルについてはテクニカルな要因も結構大きかったと言えます。日足チャートをご覧ください。

反転下落を経てチャンネル内での動きに回帰

11月中旬以降は上側2本の平行ラインの中での上昇を継続し、2021年高値と2022年安値との半値戻し1.0941(赤の水平線)も先週は同水準に位置していました。結果としては1.10台前半までの上昇はあったものの、オーバーシュート気味の買いで終わり、反落したことを考えると、引き続き1.09台半ばがレジスタンスとなりやすい地合いは続くと見られます。

いっぽうで下値については平行チャンネルの下限が今週は1.06台半ばを上昇中で同水準がサポートとなりやすいと見ています。今週は1.0650レベルをサポートに、1.0950レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。

反転下落を経てチャンネル内での動きに回帰 2枚目の画像

週末の雨宮副総裁に次期日銀総裁就任の打診をしたとの記事で、ドル円だけでなくクロス円でも全般に円安でスタートしました。しかし、ドル円が132円台では売りが出たことから、クロス円も東京前場は売りが目立っています。

ユーロ円のチャートを見ると今朝の高値142.84レベルは、12月下旬の戻し高値142.94レベル、1月高値142.85レベル、と徐々に下げてきている水準となりピンクのラインで示したレジスタンスラインで止められた格好となっています。多少の上抜けが無いとは言えませんが、143円水準がレジスタンスとなりやすいと見てよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月6日(月)
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
17:15 オーストリア中銀総裁講演 ☆
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
26:00 英中銀チーフエコノミスト講演 ☆

2月7日(火)
09:01 英国1月小売売上高
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
16:45 フランス12月貿易収支
26:00 シュナーベルECB理事講演

2月8日(水)
(特になし)

2月9日(木)
09:01 英国1月住宅価格
18:45 英中銀総裁議会証言 ☆

2月10日(金)

16:00 英国10〜12月期GDP速報値 ☆
16:00 英国12月鉱工業生産、貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月30日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってからは米金利上昇とともにドイツ金利も上昇したことで、そちらに注目が集まってのユーロ買いとなりました。NY市場では月末実需のユーロ売りが出たことから反落し、1.0839レベルまで下押しし安値圏での引けとなりました。

1月31日(火)
ユーロドルは前日海外市場で下げた動きを受けて上値の重たい流れが続いていましたが、欧州市場に入りドイツ国債の利回りが低下したことから一段安、ストップも出た様子で一時1.0802レベルの安値をつけました。しかしドイツ国債の利回りはすぐに低下前の水準へと戻し、NY市場ではドル売りの動きからユーロは引けまでじり高を続け1.0875レベルまで戻し、高値圏での引けとなりました。

2月1日(水)
ユーロドルは基本的にはドル円と同様に、東京市場では下がり切らずにユーロ上昇へと転じFOMC前には1.0925レベルの高値をつけていました。FOMC後のパウエルFRB議長会見でディスインフレプロセスへの言及があったことからドル売り・ユーロ買いが進み高値1.1002レベルと大台に乗せた後に若干押して引けました。

2月2日(木) 
ユーロドルは前日のFOMC後の買いの流れが続き東京朝方には1.1033レベルの高値をつけました。大台に乗せたことで達成感が出たことやECB理事会を前にしたポジション調整からその後はじりじりと水準を下げ、1.09台後半での発表待ち。英中銀に続いてECBも0.5%利上げと事前予想通りだったものの、声明では次回も0.5%利上げを示唆するややタカ派的な内容でした。しかし、ラガルドECB総裁の会見で次回以降は経過を見ていくとしたことで、3月利上げ打ち止めも意識され、ユーロドルは急速に水準を下げ、1.0885レベルまで水準を下げる動きとなりました。

2月3日(金)
ユーロドルは東京市場では若干上値が重かったものの、欧州市場では予想よりも若干強かったサービス業PMI改定値をきっかけにポジション調整の買い戻しが出て雇用統計前には1.0940レベルの高値をつけていました。しかし失業率、NFPとも強すぎる雇用統計の結果を受け1.0793レベルまで売られて安値引けとなりました。

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