『大統領選に向けての利下げ観測再浮上。来週はCPI・PPIに注目』
〇今週のトルコ円、週明けドル円の上昇につれ週間高値6.99を示現
〇その後は、週後半にかけて、週間安値6.83円まで下落、対ドルでは史上最安値更新
〇トルコ指標不冴え、スウェーデンとの関係悪化、中銀インフレ見通し据え置き等が重石
〇トルコ円、テクニカルの地合い極めて弱く、トルコのファンダメンタルも売り材料多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.70ー7.05
今週のレビュー(1/23−1/27)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初6.90円で寄り付いた後、(1)トルコ1月消費者信頼感指数(結果79.1、前回75.6)の良好な結果や、(2)対主要通貨での円売り再開(日銀が共通担保資金供給オペを実施→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、翌1/24にかけて、週間高値6.99円まで上昇しました。しかし、心理的節目7.00円をバックに伸び悩むと、(3)トルコ1月設備稼働率(結果75.3%、前回76.4%)の冴えない結果や、(4)トルコとスウェーデンの対立懸念(前週末にストックホルムで行われた抗議デモの際にイスラム教の聖典コーランが燃やされた事件を受けて、エルドアン大統領はスウェーデンのNATO加盟を支持しない見解を発表)、
(5)トルコ中銀・四半期経済報告での「インフレ率が急速に鈍化する」との予測据え置き(トルコ中銀カブジュオール総裁は四半期経済報告の中で2023年末と2024年末の物価上昇率見通しを各々22.3%、8.8%で据え置くことを決定)、(6)上記5を背景としたトルコ中銀の追加利下げ観測が重石となり、週後半にかけて、週間安値6.83円まで下落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/28午前2時45分現在)では、6.90円前後で推移しております。
来週の見通し(1/30−2/3)
トルコリラの対円相場は、昨年10/21に記録した戻り高値8.17円をトップに反落に転じると、1/16に、約1年1ヵ月ぶり安値となる6.75円まで急落しました。今週は幾分持ち直す動きとなりましたが、上方より複数のレジスタンスラインが垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。事実、対ドル相場は今週も史上最安値を更新しました。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済を巡る先行き不透明感や、(2)経常収支・財政収支の赤字幅拡大(トルコリラを買い支える体力低下)、(3)エルドアン大統領による利下げ圧力再開懸念(直近で発表されたトルコのインフレ指標が軒並み鈍化傾向を示したことや、今週発表された四半期経済報告でもインフレ鈍化見通しを変えなかったことから、エルドアン大統領が本年5/14に前倒しした大統領選に向けて、政策金利の引き下げをトルコ中銀に求める可能性あり)、
(4)日銀による次回3月会合での金融緩和の修正観測(円キャリートレード逆流懸念→ドル円下落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ12月貿易収支や、トルコ1月製造業PMI、トルコ1月消費者物価指数、トルコ1月生産者物価指数に注目が集まります。特にインフレ指標への注目度が高く、市場予想を下回る場合には、上記3で示したエルドアン大統領の利下げ圧力再開の想起に繋がることから、トルコリラの下落要因として細心の注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.70ー7.05
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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