来週の為替相場見通し:『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』(1/28朝)

ドル円は今週は幾分持ち直す動きとなりましたが、130円アッパーでの戻り売り圧力が根強く、結果として上値の重さを再確認する展開となりました。

来週の為替相場見通し:『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』(1/28朝)

『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』

〇今週のドル円、WSJの2月にFRBが利上げ停止検討の可能性との記事に週初129.04に下落
〇売り一巡後は日銀の共担資金供給オペの活況米PMIの好調に131.12まで反発
〇その後米指標の不冴え等に再度129.02まで下落するも踏みとどまり、129円台後半で越週
〇ユーロドル1.08台前半から1.09台前半の高値圏でもみ合い
〇米欧金利差縮小観測根強く1.0930まで直近高値更新
〇ドル円、130円アッパーでの戻り売り圧力強く、上値の重さ再確認、テクニカルの地合いも極めて弱い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測根強くドル円の下落材料に
〇来週は1/31-2/1のFOMC要注視、0.25%への利上げ縮小がコンセンサス、パウエル議長の発言に注目
〇来週は週央以降のドル円急落をメインシナリオとして予想、
〇来週の予想レンジ(USDJPY):126.50ー131.50、(EURUSD):1.0650−1.1100

今週のレビュー(1/23−1/27)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初129.51で寄り付いた後、(1)米ウォールストリートジャーナル紙のニック記者による「2月FOMCで利上げ幅を縮小すると共に、今春に利上げを停止するかどうか検討し始める可能性がある」とのハト派的な記事掲載や、(2)上記1を背景とした対主要通貨でのドル売り圧力が重石となり、週明け早々に、一時129.04まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)日銀による共通担保資金供給オペの実施通告(1兆円の通告に対して3.1兆円の応札)や、(4)上記3を背景とした海外勢の円売り再開、(5)米1月製造業PMI(結果46.8、予想46.4)および米1月非製造業PMI(結果46.6、予想45.2)の良好な結果(米金利上昇→米ドル買い)が支援材料となり、翌1/24にかけて、週間高値131.12まで反発しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)短期間で上昇した反動や、(7)米1月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲11、予想▲4、前回+1)の冴えない結果、(8)CPI刈り込み平均値(12月CPIから変動の大きな品目を除いた数字)の前年同月比3.1%の急上昇、(9)米債務上限問題を巡る先行き不透明感、(10)日米金利差縮小に伴うドル売り・円買いが重石となり、週後半にかけて、週間安値129.02まで急落しました。しかし、週初と同様、心理的節目129.00をバックに続落が阻まれると、(11)米第4四半期GDP速報値(結果2.9%、予想2.7%)の良好な結果や、(12)米12月耐久財受注(結果5.6%、予想2.4%)の力強い結果、(13)来週の米FOMCを控えたポジション調整が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間1/28午前2時45分現在)では、129.88前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0860で寄り付いた後、(1)米ウォールストリートジャーナル紙のニック記者によるハト派的な記事掲載や、(2)フィンランド連銀レーン総裁による「冬および春に大幅利上げする根拠がある」との先週末のタカ派発言、(3)上記1、2を背景とした欧米金利差縮小観測、(4)心理的節目1.0900の上方ブレイク(仕掛け的なユーロ買い・ドル売りを誘発)が支援材料となり、週明け早々に、一時1.0927まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)短期間で上昇した反動(利食い売り)や、(6)ドイツ2月GFK消費者信頼感調査(結果▲33.9、予想▲33.2)の市場予想を下回る結果、(7)米1月製造業PMIおよび米1月非製造業PMIの市場予想を上回る結果、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、翌1/24に、週間安値1.0834まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(9)米1月リッチモンド連銀製造業指数の冴えない結果や、(10)米金利低下に伴うドル売り再開、(11)ECB当局者による相次ぐタカ派発言(リトアニア中銀シムクス総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁、アイルランド中銀マクルーフ、スロベニア中銀バスレ総裁)、(12)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、週後半にかけて、昨年4/20以来、約9ヵ月ぶり高値となる1.0930まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(13)来週の米FOMCおよびECB理事会を控えたポジション調整が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/28午前2時45分現在)では、1.0864前後で推移しております。

来週の見通し(1/30−2/3)

<ドル円相場>
ドル円は昨年10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに下落に転じると、1/16に約7カ月半ぶり安値となる127.22まで急落しました。今週は幾分持ち直す動きとなりましたが、130円アッパーでの戻り売り圧力が根強く、結果として上値の重さを再確認する展開となりました。この間、上値と下値を交互に切り下げるダウ理論の下落トレンドが成立している他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。向こう2週間以内には、90日移動平均線と200日移動平均線のデッドクロスと、それに伴う弱気のパーフェクトオーダー点灯が見込まれることから、地合いの一段の悪化が警戒されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め早期休止観測や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測(1/27に発表された1月東京都区部消費者物価指数が市場予想を上回る結果となったことで、黒田総裁最後の次回3/10会合で緩和修正が決定されるとの思惑残存)、

(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード逆流懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記1を見極める上で、1/31ー2/1に予定されている米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見に注目が集まります。直近で発表された米経済指標および米インフレ指標の結果や、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁やウォラーFRB理事などの発言を見る限り、今会合で利上げ幅が25bpに縮小されることは織り込み済みと考えられます。この為、市場の関心は、金融政策の先行き(利上げサイクルの最終到達点および到達時期)に移っています。市場では、今会合で25bpの利上げに踏み切った後、次回3月会合でも25bpの利上げを行い、そこをターミナルレート(4.75ー5.00%)に暫く据え置きスタンスを続けるのではないかとの見方がコンセンサスとなっていますが、カナダ中銀が今週の会合で利上げ停止の可能性を滲ませたことから、一部でFRBも今会合で利上げサイクル終了の可能性を滲ませるのでは無いかとの見方が出てきています。

この為、今回はFOMC声明文以上に、パウエルFRB議長の記者会見に注目が集まりそうです(当方では次回3月に公表されるドットチャートに向けた地均しとして、パウエルFRB議長がやや慎重なトーン=経済データ次第で3月の据え置きもあり得るとの見方を滲ませると予想)。尚、来週は米FOMC以外にも、米1月ADP雇用統計や、米1月ISM製造業景況指数、米1月雇用統計、米1月ISM非製造業景況指数など、重要イベントが目白押しとなります。米FOMCで慎重なニュアンスが示される場合や、米経済指標が市場予想を下回る場合などには、米金利低下→米ドル売りの経路でドル円に強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週は週央以降のドル円急落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):126.50ー131.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は昨年9/28に記録した約20年ぶり安値0.9535をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、約9ヵ月ぶり高値となる1.0930(昨年4/20以来の高値圏)まで急伸しました。この間、ローソク足が主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「90日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスとそれに伴う強気のパーフェクトオーダー」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め早期休止観測や、(2)ECBによる積極利上げの継続方針(エネルギーや食料品など変動の大きな項目を除いたコアベースのCPIが引き続き過去最高水準で高止まり→複数のECB当局者が積極利上げの必要性を主張)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(利上げ最終局面に立っている米国と、利上げ長期化が見込まれる欧州との金融政策格差→欧米名目金利差縮小→ユーロ買い・ドル売り)など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記1、2を確かめる上で、1/31−2/1に予定されている米FOMCと、2/2に予定されているECB理事会に注目が集まります。前者については、前項のドル円見通しのパートでご説明している通り、25bpの利上げ幅縮小に留まらず、金融政策の先行きについて、パウエルFRB議長よりハト派的なコメントが出てくる可能性が高いと見ています。

一方、後者については、直近で発表されたECB当局者による相次ぐタカ派発言や、欧州経済指標の堅調さ、コアCPIの高止まりに鑑み、今会合で50bpの利上げが決定されると共に、次回3月会合での追加利上げ(50bp)の道筋が示される可能性が高いと考えられます。以上を踏まえると、来週は米金利に低下圧力が加わり易く、また欧州金利に上昇圧力が加わり易いと見られることから、当方では引き続き、ユーロ買い・ドル売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はECB理事会以外にも、ユーロ圏1月企業景況感指数や、ユーロ圏10−12月期GDP、ユーロ圏1月HICP速報値、ユーロ圏12月失業率など、注目イベントが目白押しとなります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0650−1.1100

注:ポイント要約は編集部

『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』

ドル円日足

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