『慢性的な電力不足と金利先高観後退を背景に下落トレンド再開か』
〇今週のランド円、南ア経済の先行き不透明感が重石となり週初7.51まで下落
〇その後週後半にかけ7.63まで持ち直すも、南ア中銀の予想比小幅な利上げ実施に7.52まで反落
〇南ア円、上方より複数のレジスタンス垂れ下がり、売りシグナルも点灯、テクニカルの地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料揃う
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.70
今週のレビュー(1/23−1/27)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.56円で寄り付いた後、(1)国営電力会社エスコムによる計画停電の延長決定や、(2)上記1を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感が重石となり、翌1/24に、週間安値7.51円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)南ア11月景気先行指数(結果123.1、前回123.0)の良好な結果や、(4)南ア中銀会合を控えたポジション調整(南アランドのショートカバー)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.63円まで持ち直す場面も見られました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)南ア12月生産者物価指数(結果13.5%、予想14.1%、前回15.0%)の伸び率鈍化や、(6)南ア中銀による市場予想を下回る小幅な利上げ実施(結果+25bp、予想+50bp)、(7)南ア中銀による経済成長率見通しの下方修正、(8)上記6、7を背景とした南ア中銀の利上げサイクル終了の思惑(2021年11月より始まった利上げサイクルが今会合を以って終了するとの思惑)、(9)プラチナ価格の軟調推移が重石となり、週末にかけて、一時7.52円まで反落しました(1/24に記録した週間安値7.51円まであと一歩届かず)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/28午前2時45分現在)では、7.55円前後で推移しております。
来週の見通し(1/30−2/3)
南アランドの対円相場は、一目均衡表基準線および21日移動平均線に続伸を阻まれる形で、週末にかけて反落しました。上方より複数のレジスタンスラインが急ピッチに垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ国内における慢性的な電力不足(国営電力会社エスコムによる計画停電長期化の思惑)や、(2)南アフリカ経済の先行き不透明感(南ア中銀は2023年の経済成長率見通しを+1.1%から+0.3%へ下方修正)、(3)南ア中銀による利上げサイクル終了の思惑(南ア中銀は今週発表された会合で市場予想の50bpを下回る25bpの利上げを実施)、(4)南アフリカの政局不透明感(来年の総選挙に向けて、与党・アフリカ民族会議の支持率が低下し続ける恐れ)、
(5)来月予定されている南アフリカ・中国・ロシアの合同軍事演習計画を巡る西側諸国との対立懸念、(6)日銀による金融緩和の修正観測(対主要通貨での根強い円買い圧力)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカ国内に目立った経済イベントが予定されていないことから、同国と経済的な結び付きの強い中国の経済指標(中国1月製造業PMIや同1月非製造業PMI)や、米国の経済指標(米FOMCや米1月雇用統計)に振らされる神経質な1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.70
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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