トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しに合わせて6.90円台前半へ戻すも再び失速気味
〇トルコリラ円、1/26は6.94ー6.86の取引レンジ、1/27午前序盤はドル円の反落により6.90を割り込む
〇ドル/トルコリラは、1/26は18.82ー18.79の取引レンジ、史上最安値近辺での推移が続く
〇トルコ中銀、金融機関の為替デリバティブ取引に担保保有義務導入検討との報道、リラ売り抑制が目的
〇中銀と政府によるリラ防衛への動きは、かえって海外投機筋の挑戦的リラ売りを呼び込む可能性もあるか
〇6.95超えからは6.97前後への上昇を想定、6.93以上での推移中は週明けも高値試しへ向かいやすいか
〇6.86割れからは6.80円台序盤(6.82ー6.80)目指す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の1月26日には6.94円から6.86円の取引レンジ、27日早朝の終値は6.92円で前日終値の6.89円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル円の騰落に合わせた動きをつづけているが、ドル円は1月18日の乱高下でつけた18日夜安値127.55円から持ち直しを続けてきたものの1月24日夜高値131.11円で戻り一巡となり26日午後には129.01円へ失速した。129円割れをひとまず回避して買い戻され、26日夜の米10-12月期GDP速報値が市場予想を上回ったことなどにより米長期債利回りが上昇したために27日未明には130.61円までいったん戻したが、その後は勢いが続かずに27日午前序盤には130円を割り込んできており、戻りは短命の可能性が懸念される。
トルコリラ円はドル円に合わせ1月18日午後高値7.00円から18日夜安値6.79円まで反落したところから持ち直しに入り、1月24日には6.98円をつけた。その後の反落で26日午後には6.86円まで下げたところからドル円の反発に合わせて27日未明には6.94円まで切り返したが、27日午前序盤はドル円の反落により6.90円を割り込んでいる。
トルコリラ円は引き続きドル円の動向に左右される展開だが、今夜は米個人消費支出デフレーターの発表もあり内容次第では波乱に注意がいる。
【対ドル、引き続き史上最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの1月26日は18.82リラから18.79リラの取引レンジ、27日早朝の終値は18.80リラで前日終値の18.78リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
史上最安値近辺での推移が続いており、日々トルコ市場開始時間前後や米国市場終了前後にリラ買いが入ってリラ安を抑え込もうという動きが繰り返されているものの、取引中心レート及び終値ベースでは徐々にリラ安が進行している。
手元のデータにおける取引時間中の史上最安値は1月20日の18.84リラ、終値ベースでは1月24日終値18.82リラが最安値となっている。
1月26日夜に発表されたトルコ中銀の週次外貨準備高は1月20日時点のグロスで791.5億ドルとなり1月13日時点の791.8億ドルからわずかに減少したが、ネットでは267.1億ドルとなり1月13日時点の248.9億ドルから増加した。
【トルコ中銀が為替取引に規制導入検討との報道】
トルコが為替市場におけるリラのヘッジに制限を検討していると1月26日にブルームバーグが報道した。報道によると、トルコ中銀が金融機関の為替デリバティブ取引において担保保有を義務づける新たな規則を策定しているとされる。外貨取引(リラ売り外貨買い)を抑制することを目的としているというが、まだ立案の段階で最終決定されていないという。為替デリバティブ取引に担保義務が導入されるとデリバティブ取引がやりづらくなり、結果としてドル買いリラ売りなどの取引量が減ってリラ安抑制効果をもたらすと思われる。
トルコ中銀はこれまでも国内金融機関に対して通常営業時間外の為替取引の制限を求める等の取引規制を行ってきた。またトルコ財務省は為替差損を補填するリラ預金保護制度を昨年末に1年間延長し、輸出企業等による外貨保有に規制をかけ、海外から持ち込まれた外貨の40%をトルコ中銀に売却して為替差損補填のあるリラ預金とすることを半ば義務付けている。1月26日には補填付きのリラ預金に対して2%を付利することで外貨売りを促進することを決めたようだ。
しかし世界全体の為替市場をコントロールできるはずもなく、トルコ中銀及び政府によるリラ防衛への動きはかえって海外投機筋の挑戦的なリラ売りを呼び込みかねないのではないかと思われる。
エルドアン大統領は1月21日に大統領選挙を凡そ1か月前倒しして5月14日に実施する意向を示した。予定を早めることで野党の対立候補擁立への時間を減らし自身の再選に有利な状況を作ろうということと思われるが、高インフレ等に対する国民の批判が時間と共に拡大してゆくことへの対策という側面もあると思われる。インフレ抑制のために小売業界へ価格凍結や値下げを要請し、最低賃金や年金・公務員給与の引き上げで国民の支持を引き上げ、インフレを加速させかねないリラ安を抑制して批判をかわしたいというところだろう。昨年11月時点の世論調査では与党支持率40.3%に対して野党支持率は44.9%であり、エルドアン政権が終わる可能性もまだあるのだろうが、現職の強みをとことん活用して再選に持ち込むつもりだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日深夜安値と19日午後安値をダブル底として1月20日夜から25日にかけての間への上昇を想定してきたが、25日夜への下落で弱気転換目安とした24日夕安値を割り込んだために26日午前時点では24日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日夕から31日夕にかけての間への下落を想定し、強気転換は6.93円を超える反騰からとした。
1月26日午後へ続落したものの27日未明に6.94円まで戻したところから27日午前序盤に6.90円割れへと反落しているため、1月26日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて26日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は27日夜から31日夜にかけての間とするが、既に下落期入りしている可能性もあると注意し、26日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして31日午後から2月2日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月26日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも僅かに上抜けたが、27日午前序盤の反落で先行スパンから転落しつつある。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月26日夜に70ポイントに迫ってから50ポイント割れへ失速しているので戻り一巡から下落再開に入っている可能性がある。55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.86円を下値支持線、6.93円を上値抵抗線とする。
(2)6.93円から6.95円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみるが、6.95円超えからは6.97円前後への上昇を想定し、6.93円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.86円割れからは6.80円台序盤(6.82円から6.80円)を目指す下落を想定する。6.90円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1月30日
16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
16:00 12月 貿易収支 (11月 -88億ドル)
16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 179.5億ドル)
17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)
注:ポイント要約は編集部
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