1月18日の乱高下レンジ内推移で方向感を探る
〇トルコリラ円、27日未明に6.94まで戻したもののその後は軟調な推移
〇6.90割れを買い戻されつつ戻り高値が徐々に切り下がる展開
〇対ドルではリラの先安感根強く、全般状況にさほど左右されず史上最安値近辺での推移続く
〇2/3に1月トルコCPI発表予定、12月に続いて低下する可能性も
〇6.92手前は戻り売りにつかまりやすい、6.92超えからは6.95前後への上昇を想定
〇6.88割れからは6.85前後への下落を想定、6.85前後は買い戻しも入りやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の1月27日は6.93円から6.89円の取引レンジ、28日早朝の終値は6.90円で前日終値の6.92円からは0.02円の円高リラ安だった。週間では1月20日終値6.91円から0.01円の円高リラ安だった。
1月12日から16日にかけてドル円が大幅下落した際にトルコリラ円は7円を割り込んで1月16日安値6.77円へ下落し、1月18日の日銀金融政策現状維持発表からドル円が乱高下した局面では1月18日午後高値7.00円へ急伸してから18日夜安値6.79円へ反落し、乱高下が落ち着いたことでその後は持ち直しに入って1月24日には6.98円まで戻り高値を切り上げたが、ドル円の戻り一巡と同調して下落に転じて1月26日午後には6.86円まで下げた。いったん27日未明に6.94円まで戻したもののその後は軟調な推移で6.90円割れを買い戻されつつ戻り高値が徐々に切り下がる展開となっている。
ドル高リラ安基調がジワジワと進行する中でドル円の騰落に合わせた動きを続けているが、今週は2月2日未明のFOMC、2月2日夜の英中銀とECBの金融政策会合、2月3日には米雇用統計と重要イベントが続く。ドル円は日銀による追加政策修正が無かったとしたサプライズ感からの乱高下が落ち着いたものの、1月18日の高安レンジ内にとどまって方向感を探る状況にあるが、円高材料が一巡してのリバウンド入りという印象には至らずにいる。トルコリラ円もドル円と同様に1月18日の乱高下レンジ内での推移を続けており、今週の欧米重要指標等を見ながら春へ向けての方向性を探るところと思われる。
【対ドルでは最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの1月27日は18.82リラから18.76リラの取引レンジ、28日早朝の終値は18.81リラで前日終値の18.80リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。週間では1月20日終値18.76リラから0.05リラのドル高リラ安。
1月27日は米12月個人消費支出(PCE)デフレーターの発表があり、前月比は11月のマイナス0.1%から12月はマイナス0.2%と低下、前年同月比も11月の5.5%から12月は5.0%へと低下しており、1月31-2月1日開催の米FRBによるFOMC(連邦公開市場委員会)においては利上げペースが0.25%へ減速するとの見方が強まっている。FOMCを控えた状況だったために市場の反応は鈍かったものの、昨年9月末以降のドル安基調は継続しており、ユーロドルは1月26日に昨年9月28日以降の最高値を更新、豪ドル米ドルも1月26日に昨年10月13日以降の最高値を更新し、いずれも中期的な上昇基調の範囲で推移している。しかしトルコリラは先安感が根強いために全般状況にはさほど左右されずに対ドルにおける史上最安値近辺での推移を続けている。
ベンダーによってレートのばらつきや極端な高安提示も見られるが、手元のデータにおける取引時間中の史上最安値は1月20日の18.84リラ、終値ベースでは1月24日終値18.82リラが最安値となっている。
【2月3日に1月トルコCPI発表予定】
今週は米FOMC、英中銀MPC、ECB理事会と主要国の政策金利発表が続き、2月3日の米1月雇用統計まで米主要経済指標の発表も相次ぐが、トルコ指標では2月3日の1月CPI上昇率が重要となる。
トルコの消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で2022年10月に85.51%まで高進したところから11月に84.39%、12月に64.27%へと2か月連続で低下した。12月の大幅低下については2021年12月のリラ暴落時との比較であり、2021年12月のCPIは前月比で13.58%上昇、前年同月比では36.8%へと急伸していたため、その反動を反映したことで低下したという見方もある。2022年1月も前月比11.1%上昇、前年同月比で48.69%へと急伸が続いていたため、2023年1月のCPI上昇率が12月に続いて低下する可能性もあるだろう。
トルコ中銀は1月26日のインフレ見通しにおいて、2023年末の前年比を22.3%、2024年末を8.8%とし、世界経済の減速によりインフレは大幅に低下するとの見通しを示している。かなり楽観的な見方でもあるが、欧米の金融引き締めによる景気減速とインフレ率の高止まりないし低下傾向を踏まえれば、リラ安による高インフレ状態から脱却できないとしてもある程度の低下へ進む可能性はあると思われる。
ただし、インフレ率の低下が続けばエルドアン大統領による追加利下げ圧力が再燃することも懸念されるため、インフレ率の低下がトルコリラ買いを勢い付かせるという相関にはなり難いのではないかと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日の乱高下が落ち着いたことによる切り返しの上昇が24日深夜高値で一巡して弱気サイクル入りしていたが、1月26日午後安値からの反騰と26日深夜高値からの反落により1月27日午前時点では1月26日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、1月26日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
1月26日深夜高値の後は戻り高値が切り下がり基調で推移しているため既にサイクルトップを付けた可能性があると注意し、6.88円を上回るうちは6.92円超えから上昇再開として1月30日の日中から31日夜にかけての間への上昇を想定するが、6.88円割れからは弱気サイクル入りと仮定して1月31日午後から2月2日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月26日深夜以降を戻り高値切り下がり型の持ち合いで推移しているために方向感に欠ける。6.88円を上回るうちは上昇再開余地ありとし、6.92円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、6.88円割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月26日夜に70ポイントに迫ってから50ポイント割れへ失速し、その後は相場と共に指数の戻り高値が切り下がり基調で推移しているため、55ポイントを超えないうちは一段安警戒とし、40ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.88円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、6.92円超えからは6.95円前後への上昇を想定する。6.92円以上での推移が続くなら1月31日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.88円割れからは6.85円前後への下落を想定する。6.85円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、6.88円以下での推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。またドル円と同調して急落する場合には6.80円台序盤へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
1月30日
16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
16:00 12月 貿易収支 (11月 -88億ドル)
16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 179.5億ドル)
17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)
2月1日
16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 48.1)
2月2日
20:30 週次 外貨準備高 1/27時点 グロス (1/20時点 791.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1/27時点 ネット (1/20時点 267.1億ドル)
2月3日
16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 1.18%)
16:00 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 64.27%)
16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.24%)
16:00 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 97.72%)
注:ポイント要約は編集部
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