トルコリラ円見通し 1月18日の乱高下が落ち着くも安値圏にとどまる(23/1/20)

トルコリラ円の1月19日は6.87円から6.80円の取引レンジ、20日早朝の終値は6.84円で前日終値の6.87円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 1月18日の乱高下が落ち着くも安値圏にとどまる(23/1/20)

トルコリラ円見通し 1月18日の乱高下が落ち着くも安値圏にとどまる

〇トルコリラ円、1/19午後6.80までいったん下げてから6.85まで持ち直しすも、その後は上げ渋り
〇ドル円もトルコリラ円も1/18の乱高下は落ち着くが安値圏にとどまる、一段安入りへのきっかけ待ちか
〇対ドル、1/19は18.80から18.75の取引レンジ、トルコ中銀政策金利据え置き発表されるも反応薄い
〇1/16以降18.75近辺へ一時的なリラ高の動き続く、1/20早朝も18.75を試しその後18.80台へ失速
〇トルコ中銀、予想通り政策金利を9%で据え置く、12月以降据え置き続く
〇6.87超えからは、6.90前後への上昇を想定する
〇6.80割れからは下落再開とみて、6.75前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月19日は6.87円から6.80円の取引レンジ、20日早朝の終値は6.84円で前日終値の6.87円からは0.03円の円高リラ安だった。
1月18日の日銀金融政策決定会合では金融政策の現状維持とされ、事前に追加修正の可能性が高いとみていた市場にとっては何もしなかったとのサプライズ感から当初はドル円の急伸となり、トルコリラ円も直前安値6.83円から7.00円へ急伸したが、日銀が異次元金融緩和からの出口へ向かっている流れは変わらないとしてドル円が急落に転じたため、トルコリラ円も18日深夜に6.79円まで下落して日銀政策発表前の水準を割り込んだ。

1月16日安値6.77円割れをひとまず回避したことで急落商状は落ち着き、1月19日の日中はドル円が129円に届かない範囲の戻りにとどまりつつ午後に127.75円まで下げたところを買われて19日夜の米経済指標発表直後に128.79円まで戻したため、トルコリラ円も午後安値で6.80円までいったん下げてから6.85円まで持ち直したが反騰の勢いは鈍く、その後は上げ渋りに終わっている。
ドル円もトルコリラ円も1月18日の乱高下が落ち着いたものの安値圏にとどまっている状況であり、一段安入りへのきっかけを待っている印象もある。

【対ドルでは連日早朝にリラ買いが見られるものの早々に売られる】

ドル/トルコリラの1月19日は18.80リラから18.75リラの取引レンジ、20日早朝の終値は18.76リラで前日終値と変わらずだった。
1月19日20時にトルコ中銀の政策金利据え置きが発表されたが市場の予想通りだったために反応は薄く、発表後はややリラ高での推移となった。

ドル/トルコリラは1月16日安値で18.835リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新したが、その後は新たな安値更新を回避している。18.78リラから18.81リラまでのレンジを中心とした推移が続いているが、1月17日、18日、19日と早朝にかけて18.75リラ近辺へ一時的なリラ高の動きが繰り返されており、1月20日早朝にかけても同様の展開で18.75リラを試し、その後は18.80リラ台へ失速している。日足終値ベースでの安値更新を回避させたいとの思惑でトルコ中銀がリラ安抑止に動いていることも推察されるところだが、中長期的なリラ安トレンドには大きな変化は見られない。
1月19日夜に発表された週次のトルコ外貨準備高は1月13日時点のグロスで791.8億ドルとなり1月6日時点の796.6億ドルから若干減少、ネットでは248.9億ドルで1月6日時点の243.1億ドルから若干増加した。

【トルコ中銀は予想通りに政策金利を9%で据え置く】

トルコ中銀は1月19日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを現行の9.0%で据え置いた。昨年8月にエルドアン大統領の意向を受けて高インフレの進行中にもかかわらず利下げに踏み切り、11月までの4会合連続利下げで14%から9%まで引き下げてきたが、11月会合では当面の利下げサイクルを終了すると宣言し、12月、1月と据え置きを続けている。
エルドアン大統領は昨年夏から2022年末までに政策金利を一桁とすると繰り返し述べてきたが、大統領の意向通りに一桁まで利下げを実現したため、新たな大統領側からの利下げ要求が無ければ追加利下げには向かわないと思われる。しかし利上げを悪とする大統領の手前、高インフレ抑制のための利上げには踏み切れない状況もまた続くと思われる。

トルコリラ円見通し 1月18日の乱高下が落ち着くも安値圏にとどまる

トルコの12月CPI上昇率は前年同月比64.27%となり11月の84.39%から大幅に低下したために、大統領による追加利下げ要求が出てきても不思議ないが、今のところはそうした発言は見られないようだ。2021年12月はトルコリラの暴落が発生したことで通貨インフレが拡大したところであり、2022年12月はその反動を反映したための低下という見方もあり、実際のインフレは高水準のままで国民生活には厳しい状況が続いていると思われる。
今年6月には大統領選挙があるため、エルドアン大統領再選決定までは利上げはしないだろうと市場は見ているが、最近のメディア調査によれば今年後半にはリラ安がさらに進行することで利上げせざるを得なくなるのではないかとも見られている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日の乱高下が落ち着ており、1月18日午後高値を直近のサイクルトップとした下落が18日深夜安値と19日午後安値をダブル底で落ち着いて持ち直しを試しているところと思われる。1月19日午後安値6.80円割れを回避するうちは20日夜から25日にかけての間への上昇余地ありとするが、1月19日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして24日午後から26日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月18日の乱高下が落ち着いて持ち合い推移に入っているため、遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが先行スパンから転落した状況が続いている。先行スパンから転落しているうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先として一段安入りを警戒する。6.87円超えからは先行スパン上限の6.90円を試すとみるが6.90円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。

60分足の相対力指数は1月19日午後の40ポイント割れから50ポイント台序盤へいったん戻したが、20日午前には再び50ポイントを割り込んで上値の重い印象となっている。55ポイント超えからは60ポイント台前半への上昇へ進む可能性があるとみるが、45ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.80円を下値支持線、6.87円を上値抵抗線とする。
(2)6.87円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.87円超えからは6.90円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とする。
(3)6.80円割れからは下落再開とみて6.75円前後への下落を想定する。6.75円以下は反発注意とするが、6.80円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月20日
 17:00 12月 観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)
 23:30 12月 中央政府債務 (11月 390.8億リラ)
1月23日
 16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 75.6)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 97.8)
 16;00 1月 設備稼働率 (12月 76.4%)
1月26日 
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 グロス (1/13時点 791.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 ネット (1/13時点 248.9億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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