トルコリラ円見通し ドル円に合わせて乱高下、円高による先安感継続(23/1/19)

トルコリラ円の1月18日は7.00円から6.79円の取引レンジ、19日早朝の終値は6.87円で前日終値の6.82円からは0.05円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円に合わせて乱高下、円高による先安感継続(23/1/19)

ドル円に合わせて乱高下、円高による先安感継続

〇トルコリラ円、日銀の金融政策発表によるドル円急伸で、直前安値6.83から7.00へ急伸
〇その後ドル円が急落に転じ、深夜に6.79まで下げ急騰前水準を割り込む
〇対ドルではリラ高局面は早々に売られ18日は18.80まで下げる、中長期的なリラ安基調は変わらず
〇19日20時にトルコ中銀MPC、市場の事前予想は9%での現状維持
〇6.90超えからは6.95前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒
〇6.79割れからは下落継続で6.75前後への下落を想定、下げ足速まるなら6.70台序盤へ下値目途引き下げ

【概況】

トルコリラ円の1月18日は7.00円から6.79円の取引レンジ、19日早朝の終値は6.87円で前日終値の6.82円からは0.05円の円安リラ高だった。
1月18日はドル円の乱高下に振り回される展開。ドル円は、日銀が金融政策を現状維持として追加修正をしなかったことをサプライズ=逆日銀ショックとしてドル円が発表前安値128.38円から13時台高値131.57円へ3円を超える急伸となったが、買い一巡後は日銀の金融緩和政策終了へ向けた流れと円高基調は変わらないとして急落に転じた。18日夜の米経済指標が軒並み予想を大幅に下回ったことで米長期債利回りが急低下したことも重なり、深夜には127.55円まで下げて急騰前の水準を割り込んだ。NYダウが大幅下落したことでリスク回避的なドル買いが入ったために深夜からはやや戻したものの129円に届かない範囲にとどまった。

トルコリラ円はドル円の急伸により直前安値6.83円から7.00円へ急伸し、ドル円が急落に転じたことで深夜には6.79円まで下げて急騰前水準を割り込んだが、1月16日安値6.77円割れを回避して19日早朝にかけてのドル円の反発で6.87円まで持ち直したために前日比ではプラス圏となったが、19日午前序盤は再び円高により失速気味の推移となっている。

【対ドルでは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの1月18日は18.80リラから18.74リラの取引レンジ、19日早朝の終値は18.76リラで前日終値の18.71リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
日銀が市場予想に反して現状維持を決めたことで日本10年債利回りが低下したことをきっかけに米長期債利回りも低下。18日夜の米経済指標が軒並み市場予想を大幅に下回ったことで米10年債利回りが昨年10月のピーク4.34%以降の最安値を更新する大幅低下となりドル安要因に。しかし、NYダウが当初の上昇から一転して大幅下落に転じたことで金融引き締めによる景気減速がソフトランディングできずに深刻化するのではないかとのリスク回避感が強まったためにドルストレートではドル高がぶり返した。

ドル/トルコリラは1月16日に18.835リラへ取引時間中の史上最安値を更新したことの反動で1月17日は前日比0.09リラのドル安リラ高で終わったが、リラ高局面は早々に売られて18日は18.80リラまで下げた。19日早朝には一時18.74リラまで上昇しているが、17日から3営業日連続で早朝にはリラ高場面が見られており、トルコ中銀によるリラ安防衛の動きが背景にあるのではないかと憶測されるが、中長期的なリラ安基調は変わらないためにいずれも戻り売りされている。

【トルコ中銀金融政策委員会あり、政策金利は現状維持と予想】

1月19日20時にトルコ中銀のMPC(金融政策委員会)があり政策金利の発表と今後の見通しが示される。
エルドアン大統領が2022年末までに政策金利を一桁とするとの利下げ要請を受けてトルコ中銀は8月から11月までの4会合連続で利下げを強行、政策金利の週間レポレートは14%から9%まで低下した。11月会合では利下げサイクルの終了が宣言されて12月会合も9%で据え置かれており、今回も市場の事前予想は9%での現状維持で衆目が一している。

市場予想通りの据え置きなら市場反応も限定的と思われるが、1月3日に発表された12月のトルコCPI上昇率が11月の84.39%から64.27%まで大幅に低下したこと、欧米のCPI及びPPIが金融引き締め効果により低下傾向を示していることでトルコのインフレ率もさらに低下するとすれば、6月に大統領選挙での再選に臨むエルドアン大統領としては追加利下げによる企業融資の拡大と景気の底上げを行いたいところであり、トルコ中銀に対して追加利下げを要請するようなことにもなりかねない。今のところはその類の大統領発言は見られず、エコノミスト調査では2023年前半の低成長とリラ安進行により2023年後半には利上げせざるを得なくなるとの見方もあるため簡単には追加利下げ要請もし難いところではあるが、市場予想の斜め上を進む大統領なので、サプライズ的な発言にも注意したい。

【円高継続によるトルコリラの一段安懸念】

日銀金融政策決定会合での現状維持を受けたドル円の急伸は一時的なものに終わり、政策発表前水準を割り込む下落となったため、かえって円高の継続感が強まった。ドル円もトルコリラ円も今のところは1月16日安値を割り込んでいないが、日銀の金融緩和政策が終局へ進み米長期債利回りの低下も継続すればドル円が1月16日安値を割り込む一段安へと進み、トルコリラ円も1月16日安値を割り込んで2021年12月の史上最安値6.17円を目指す事も警戒すべき局面と考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月11日深夜高値からの下落が1月16日昼安値で一巡して強気サイクル入りしたとして1月16日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定してきた。
1月18日午後へ急伸したところから急落に転じたため、1月18日午後高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は19日の日中から23日の日中にかけての間と想定し、6.90円を超えないうちは一段安警戒とするが、乱高下が続く可能性もあると注意し、6.90円超えからは強気サイクル入りの可能性ありとみて6.95円前後への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月18日の乱高下により先行スパンから一時転落してから持ち直したが、19日午前時点では再び転落しやすい位置にある。先行スパンの上限が上値抵抗となりやすいところとし、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は80ポイントに迫ってから30ポイント台へ急低下した。55ポイント超えからは60ポイント台への上昇を想定するが戻りは短命の可能性ありと注意し、40ポイント割れからは下落継続として20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.79円を下値支持線、6.90円を上値抵抗線とする。
(2)6.87円から6.90円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.90円超えからは6.95円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とする。
(3)6.79円割れからは下落継続とみて6.75円前後への下落を想定し、下げ足が速まる場合は6.70円台序盤(6.73円から6.70円)へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

1月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 グロス (1/6時点 796.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 ネット (1/6時点 243.1億ドル)
1月20日
 17:00 12月 観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)
 23:30 12月 中央政府債務 (11月 390.8億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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