トルコリラ円見通し 日銀金融政策決定会合からの急変動に注意(23/1/18)

トルコリラ円の1月17日は6.87円から6.81円の取引レンジ、18日早朝の終値は6.82円で前日終値の6.84円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 日銀金融政策決定会合からの急変動に注意(23/1/18)

トルコリラ円見通し 日銀金融政策決定会合からの急変動に注意

〇トルコリラ円、ドル円騰落に伴う変動辿る、17日高値6.87まで上昇するが18日未明6.81へ下落
〇対ドル、前日までのリラ安一服感、18日早朝終値18.71でややリラ買いが優勢に
〇ロイター社によるエコノミスト調査、トルコ23年インフレ率42.5%、GDP伸び率3%と予想
〇対してトルコ政府見通しでは、同インフレ率24.9%、GDP伸び率5%、甘さ目立つ
〇本日の日銀会合、内容次第でドル円急伸或いは急落の可能性、リラも乱高下する展開に注意
〇6.87超えからは6.90前後への上昇を想定するが、6.90前後は反落警戒圏とみる
〇6.75以下は反騰注意とするが、円高進行の場合は6.70円台序盤へ下落する可能性もあるとみる

【概況】

トルコリラ円の1月17日は6.87円から6.81円の取引レンジ、18日早朝の終値は6.82円で前日終値の6.84円からは0.02円の円高リラ安だった。
トルコリラ円は1月11日夜から1月16日午前にかけてのドル円の大幅下落により1月11日高値7.08円から1月12日に6.86円へ下落して1月3日安値6.87円を割り込み昨年10月21日高値8.17円以降の最安値を更新したが、16日昼にドル円が一段安した局面で6.77円をつけた後はドル円の反発に合わせて持ち直しに入った。
1月17日昼と夜にドル円が129円台序盤へ上昇した局面でトルコリラ円も6.87円を二度つけたものの、ドル円が18日未明に128円を一時割り込むところまで失速したため、18日未明には6.81円へ下落、その後はやや買い戻されて下げ幅を削った。

【対ドルでは前日の最安値更新の反動でリラの買い戻し入る】

ドル/トルコリラの1月17日は18.80リラから18.71リラの取引レンジ、18日早朝の終値は18.71リラで前日終値の18.80リラからは0.09リラのドル安リラ高だった。
1月17日深夜にかけては18.78リラを中心とした小動きで、トルコ由来のリラ買い材料は報じられていないが18日未明にかけてはリラ買いが優勢となり、18日午前序盤も18.70リラから18.79リラを中心とした動きとなっている。
年初から徐々にリラ安が進行して1月16日には18.835リラの安値をつけて1月11日につけた18.826リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新し、1月16日終値18.80リラも終値ベースでは1月13日終値18.78リラを超えて史上最安値を更新した。18日未明からのドル安リラ高は前日までのリラ安に対する一服感でややリラ買いが優勢となっての動きと思われる。

【トルコの2023年成長率は3%程度?】

1月17日にロイター社はトルコの2023年のインフレ率は42.5%へ低下し、GDP伸び率は3%にとどまるとの調査結果を発表した。同社によるエコノミストに対する調査では、2023年末のインフレ率予想中央値は42.5%、予想レンジは28.5%から48.1%で、2024年には26.4%まで低下すると予想された。トルコ政府は2023年に24.9%、2024年には13.8%まで低下すると予想しているが、エコノミスト達の予想をみるとトルコ政府の見通しが甘すぎるというところか。トルコのCPIは11月の84.39%から12月には64.27%まで低下しており、欧米のインフレが峠を超えつつあるためにトルコにおいても低下してゆくことが見込まれているが、それでも主要国と比較すればかなりの高インフレ状態が当面は続きそうだ。

GDP成長率についてトルコ政府は2023年を5.0%、2024年を5.5%と予想しているが、ロイター調査では2023年及び2024年が共に年率3.0%と予想されており、トルコ政府の見通しを大幅に下回りそうな印象だ。
1月19日のトルコ中銀金融政策委員会では政策金利の週間レポレートは9%に据え置きとエコノミストの予想は一致しており、2023年前半は9%での現状維持が続くとの見方が優勢のようだが、2023年第3四半期からは利上げに向かう可能性が指摘されている。
エルドアン政権が6月の大統領選挙での再選を勝ち取って景気対策に成功できるかどうかがトルコ経済の明暗を分けてゆくことになるのだろうが、これまでのエルドアン政権による金融経済政策が継続する場合は経常収支の改善には至らずにリラ安と低成長に陥ることも懸念されるところだ。

【日銀金融政策決定会合からの急変動に注意】

本日は日銀金融政策決定会合の結果発表と黒田総裁会見が予定されている。日銀は12月20日に長期金利ゼロ%誘導のための許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げたが、新発10年債流通利回りは1月13日から17日にかけて一時的に0.50%を超えており、それに対して日銀は0.50%で無制限買い入れによる指値オペで合計9兆円分を買い入れて防戦している。
今回の会合で許容変動幅の上限がさらに上方修正されるのか、今回を現状維持としても次に上昇修正される可能性が高まるのか、長期金利操作そのものが大幅修正されてゆく流れとなるのか、内容次第ではドル円の急伸も急落もあり得、それによってトルコリラも乱調な展開となる可能性があると注意する。経験的には12時前の声明発表なら現状維持が多く、12時を過ぎると政策修正が多い印象もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月11日深夜高値からの下落が1月16日昼安値で一巡して強気サイクル入りしたとして1月16日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定した。17日昼と夜に6.87円を二度試してから失速しているのですでに弱気サイクル入りしている可能性が高いと思われ、17日昼高値を超えないうちは下向きとし、6.80円割れからは弱気サイクル入りとして19日午前から23日午前にかけての間への下落を想定する。ただし6.80円割れを回避して17日昼高値を超える場合は16日昼安値を起点とした上昇の継続として18日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月17日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しつつあるので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、1月17日昼高値を上抜き返す場合は上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は17日昼に60ポイント台序盤へ上昇したところから50ポイントを割り込んだが18日午前序盤は50ポイント台回復を試している。55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.80円を下値支持線、6.87円を上値抵抗線とする。
(2)6.85円から6.87円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.87円超えからは6.90円前後への上昇を想定するが、6.90円前後は反落警戒圏とみる。
(3)6.82円以下での推移中は下向きとし、6.80円割れからは6.75円前後への下落を想定する。6.75円以下は反騰注意とするが、円高進行の場合は6.70円台序盤へ下落する可能性もあるとみる。

【当面の主な予定】

1月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 グロス (1/6時点 796.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 ネット (1/6時点 243.1億ドル)
1月20日
 17:00 12月 観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)
 23:30 12月 中央政府債務 (11月 390.8億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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