ドル円見通し 日銀金融政策決定会合控えて129円台序盤から128円割れへ失速
〇昨日のドル円、日中129円台序盤まで上昇するが、米経済指標悪化で18日未明に128円割れまで反落
〇本日18日の日銀会合、異次元金融緩和政策の効果、許容変動幅上限の引き上げ有無について検証予定
〇急激な円高反応、或いは現状維持として円安となるケース、また日銀声明の解釈を巡る変動に要注意
〇本邦10年債利回り、許容上限0.50%を連日突破、日銀は国債買い入れで防戦
〇米長期債利回りは大幅低下に一服感、今後の指標次第では利上げ期間長期化の懸念も
〇128円以下での推移中は下向きとし1/16安値試し、底割れからは126円台前半への下落を想定する
〇日銀政策発表から円高加速の場合、125円台への下落及び19日以降の続落を警戒
〇発表後の円安で129.13を超える場合、130円台回復を目指す上昇を想定
【概況】
ドル円は1月17日昼129.13円へ上昇、夜も129.11円をつけて1月16日昼安値127.21円からの持ち直しを試したが129円台を維持できずに18日未明には128円を若干割り込むところまで反落した。
1月12日朝の「日銀が来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検する」との新聞報道をきっかけとして下落に転じ、1月12日夜の米CPI上昇率の鈍化と13日夜のミシガン大消費者調査による期待インフレ率の低下によるドル安を反映して128円を割り込み、1月11日夜高値132.87円から1月16日安値127.21円まで5.66円の円高ドル安、1月6日夜高値134.77円からは7.56円の円高ドル安となったが、その後は大幅下落一服による持ち高調整で買い戻されてきた。
1月17日夜はNY連銀の1月製造業景況指数がマイナス32.9となり12月のマイナス11.2から大幅に低下して市場予想のマイナス9.0を下回り2020年5月以来の低水準となったことでドル安感が再燃しため、ドル円も戻り売りにより失速した印象だ。
【日本10年債利回りの0.50%突破続く】
1月18日昼前後には日銀金融政策決定会合の声明発表、午後には黒田日銀総裁会見がある。
1月12日の読売新聞報道等にみられるように今回はアベノミクスと呼応して長期継続してきた異次元金融緩和政策そのものの副作用点検と共に、前回12月会合で決定された長期金利ゼロ%誘導のための許容変動上限の引き上げ効果について検証されることになる。
12月会合での長期金利許容上限の0.25%から0.50%への引き上げについて日銀は金融緩和政策の円滑化であり金融緩和政策自体は継続するとしたが、市場は事実上の利上げと大規模金融緩和が出口へ向けて修正局面に入ったと受け止めて長期債利回りが上昇、ドル円は日銀ショックとして急落した。
新発10年債利回りは12月20日に直前の0.25%から0.48%へ上昇、その後はやや落ち着いていたが許容上限の0.50%に張り付き始め、1月13日に一時0.545%へ上昇して7年7か月振りの高値水準とし、1月16日に0.510%。17日も0.505%の高値をつけて日銀の許容上限0.50%を連日超える状況が続いている。これに対して日銀は利回り0.50%で無制限に買い入れる「指値オペ」で1月13日に5兆円、1月16日に2兆1000億円、17日も9000億円を買い入れて防戦している。
本日の日銀金融政策決定会合で前回会合に続いて長期金利ゼロ%誘導のための許容変動幅上限をさらに引き上げるのかどうか、今回見送ったとしても黒田総裁退任(4月8日)までに引き上げがあるのかどうか、あるいはYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)そのものの見直しないしは撤廃が議論されるのかどうかにより急激な円高反応となるケースや大きな修正無しとしてひとまず円安反応となるケースが警戒される。また日銀声明や黒田総裁会見内容に対する解釈を巡って乱高下する可能性もあり、いずれにしても大きな変動に注意したい。
【米長期債利回りはまちまち、ダウは反落するもナスダックは連騰続く】
1月17日の米長期債利回りは休場明けの取引だったがまちまちの動き。指標の10年債利回りは先週末比0.04%上昇の3.55%、30年債利回りは同0.05%上昇の3.66%、利上げに敏感な2年債利回りは0.03%低下の4.21%だった。
10年債利回りは1月13日の前日比0.07%上昇からの続伸、30年債利回りも13日の0.04%上昇からの続伸でFRBによる利上げペース減速期待から大幅低下してきた流れに一服感が出ているが、2年債利回りは1月13日安値で4.11%をつけて11月4日につけたピークの4.88%以降の最安値を更新したところから17日高値で4.26%まで戻したものの失速してマイナス圏に終わっており下げ渋り程度の動きと思われる。
FRBの利上げについては通常ペースの0.25%へ落ち着くのではないかとの見方が優勢だが2023年末までは利上げ状態の維持も想定されており、今後のインフレ指標が高止まりするようだと利上げ期間の長期化懸念がぶり返す可能性もある。
1月17日のNYダウは前日比391.76ドル安と反落した。1月10日から13日まで4連騰の上昇だったが12月13日高値に迫ったところで上昇一服感が出ている。ゴールドマンの決算が不調だったこと等も影響したようだ。ナスダック総合指数は15.95ポイント高と小幅上昇だったが1月6日から7連騰しており、金融引き締めによる景気減速も深刻化せずにソフトランディングが可能との楽観的な見方で買われている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は1月11日夜高値132.87円からの大幅下落が1月16日昼安値127.21円で一服となり買い戻されてきたが、1月17日昼高値129.13円と17日夜高値129.11円がダブルトップ型となって下落に転じた印象だ。日銀金融政策決定会合に対する反応次第では急伸も急落もあり得るところだが、円高反応で1月16日安値を割り込む場合は19日午前から23日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月17日夜の反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し始めているので遅行スパンの悪化中は安値試し優先とする。強気転換は1月17日昼高値超えからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は60ポイント台中盤へ上昇したところから50ポイント割れへ失速しているので下落再開に入っている印象だ。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは20ポイント台への低下を想定するが、日銀金融政策決定会合から円高が加速する場合は10ポイント台への低下もあり得ると注意する。上昇再開には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持して高値を切り上げる展開が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月16日昼安値127.21円を下値支持線、1月17日昼高値129.13円を上値抵抗線とする。
(2)128円以下での推移中は下向きとして1月16日昼安値試しとし、底割れからは126円台前半への下落を想定する。日銀政策発表から円高が加速する場合は125円台への下落及び19日以降の続落を警戒する。
(3)128.80円から129.10円にかけての水準は戻り売り有利とみるが、日銀政策発表をきっかけとした円安で129.13円を超える場合は130円台回復を目指す上昇を想定する。
【当面の主な予定】
1/18(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -0.1%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -1.3%)
13:30 (日) 11月 設備稼働率 前月比 (10月 2.2%)
15:30 (日) 黒田日銀総裁、定例記者会見
16:00 (英) 12月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (11月 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (11月 10.7%、予想 10.5%)
16:00 (英) 12月 CPIコア指数 前年同月比 (11月 6.3%、予想 6.2%)
16:00 (英) 12月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (11月 14.0%、予想 13.6%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (速報 9.2%、予想 9.2%)
19:00 (欧) 12月 HICPコア指数・改定値 前年同月比 (速報 5.2%、予想 5.2%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前月比 (10月 1.3%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前年同月比 (10月 2.2%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -0.6%、予想 -0.8%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.4%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 0.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (11月 7.4%、予想 6.8%)
22:30 (米) 12月 PPIコア指数 前月比 (11月 0.4%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 PPIコア指数 前年同月比 (11月 6.2%、予想 5.7%)
23:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合挨拶
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.1%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 79.7%、予想 79.6%)
23:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、WSJ紙インタビュー
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 31、予想 31)
27:00 (米) 財務省20年債入札
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
1/19(木)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調前 (11月 -2兆274億円、予想 -1兆6533億円)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調済 (11月 -1兆7323億円、予想 -1兆6306億円)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 前月比 (11月 6.40万人、予想 2.25万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 3.4%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調済 (10月 -4億ユーロ)
19:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
21:30 (欧) ECB理事会議事要旨
1/19(木)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調前 (11月 -2兆274億円、予想 -1兆6533億円)
08:50 (日) 12月 通関貿易収支・季調済 (11月 -1兆7323億円、予想 -1兆6306億円)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 前月比 (11月 6.40万人、予想 2.25万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 3.4%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調済 (10月 -4億ユーロ)
19:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
21:30 (欧) ECB理事会議事要旨
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.5万件、予想 21.2万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 163.4万人、予想 166.5万人)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数・年率換算 (11月 142.7万件、予想 135.5万件)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 前月比 (11月 -0.5%、予想 -5.1%)
22:30 (米) 12月 建設許可件数・年率換算 (11月 134.2万件、予想 137.0万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 前月比 (11月 -11.2%、予想 1.4%)
22:30 (米) 1月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (12月 -13.8、予想 -11.0)
23:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
25:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) 10年インフレ指数連動債入札
27:15 (米) ブレイナードFRB副議長、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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