ドル円見通し 日銀金融政策発表後の乱高下が落ち着くも安値圏にとどまる
〇ドル円、日銀金融政策発表後の乱高下が落ち着き、1/19午後127.75まで下げるも前日安値割れを回避
〇1/19日夜の米経済指標発表直後128.79まで戻したものの129円には届かず、安値圏での推移
〇昨日発表の米経済指標はまちまち、住宅市況は悪化傾向だが米長期債利回りを低下させる程ではない
〇米長期債利回りは総じて小幅上昇、10年債は10月以降の最低を更新後に戻す、米株価は続落
〇129円手前は戻り売りにつかまりやすいところとみて、129円超えからは129円台中盤試しとする
〇1/19午後安値127.75割れからは1/16昼安値127.21試しとする
【概況】
ドル円は1月18日の日銀金融政策決定会合をきっかけとした一時的な急騰から急落が落ち着き、1月19日午後の下落時は127.75円にとどまって1月18日深夜安値127.55円割れを回避し、1月19日夜の米経済指標発表直後に128.79円まで戻したものの129円には届かず、乱高下は一服したものの安値圏にとどまっての推移となっている。
1月18日の日銀金融政策決定会合では、12月20日の前回会合に続いて追加の政策修正があるのではないかと市場が構えていたところを現状維持とされたため、何もしなかったとのサプライズ感によりいったん円安反応となり日銀声明発表前安値128.38円から13時台高値131.57円へ3円を超える急伸となったが、日銀が異次元金融緩和の出口へ向かう流れは継続するとして戻り売り優勢となり、18日夜の米経済指標が軒並み予想を下回り米10年債利回りが大幅低下したことで1月18日夜安値127.55円へ急落した。
1月16日安値127.21円割れをひとまず回避したことで1月19日の日中は乱高下商状が落ち着き、19日夜の米経済指標がまちまちの内容で決め手に欠いたため、128円割れを買われるも129円には届かない範囲での推移にとどまった。
1月19日の日本10年債利回りは0.01%低下の0.405%で、日銀の許容上限である0.50%を下回って落ち着いている。黒田総裁は市場政策修正への期待感は是正されたとして金融緩和継続を強調したが、4月8日の任期満了までの間は追加修正をしないとしても新総裁が就任からは黒田総裁時代の異次元金融緩和政策に対する是正が顕著に進むのではないかとの市場の見方は変わらず、10年債利回りも再び0.50%超えを繰り返し試して日銀を挑発し、ドル円も急落一服から一段安入りを伺う展開となるのではないかと思われる。
【1月19日夜の米経済指標はまちまち】
1月19日夜の米経済指標はまちまちの内容だった。
米商務省が発表した12月住宅着工件数(年換算)は138万2000件で市場予想の135万9000件を上回るも11月の140.1万件から1.4%減となった。先行指標である住宅着工許可件数は133万件で市場予想の137万件を下回り11月の135万1000件(速報の134.2万件から上方修正)からは1.8%減少した。
米労働省による新規失業保険申請件数は1月14日までの週間で前週比1万5000件減の19万件となり市場予想の21万4000件を下回り3週連続の改善だった。また失業保険受給者総数は1月7日までの週間で164万7000人となり前週から1万7000人増だったが市場予想の166万人を下回った。
米フィラデルフィア連銀による1月の製造業景況指数はマイナス8.9となり2か月連続の改善で12月のマイナス13.7から上昇して市場予想のマイナス11.0を上回った。
1月18日夜は米12月PPIが予想を大幅に下回ったほか小売売上高や鉱工業生産指数が軒並み予想を下回ったことで米FRBによる利上げペース減速感が強まるとして米長期債利回りが大幅低下したが、19日は住宅市況の悪化傾向が引き続き顕著だったものの米長期債利回りを一段と低下させる程ではなかったようだ。
【米10年債利回りは10月以降の最低を更新してから戻す、ダウは続落】
1月19日の米長期債利回りは総じて小幅上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.39%、30年債利回りは同0.02%上昇の3.56%、利上げに敏感な2年債利回りは同0.04%上昇の4.13%で終了した。
10年債利回りは1月18日に前日比0.17%の大幅低下となり12月7日の3.40%を割り込んで10月21日につけた2020年以降の最高値4.34%以降の最安値を更新したが、19日は米経済指標発表前の段階で3.32%までさらに安値を更新していたところからプラス圏まで戻した。30年債利回りは1月18日の0.12%低下からの下げ渋りとなり、2年債利回りは1月18日に0.12%低下の4.09%で11月4日につけた2020年以降の最高値4.88%以降の最安値を更新したが、19日は一時4.04%まで安値を更新してから戻している。
米長期債利回りはいずれも低下傾向の範囲内での推移であり、1月19日の米経済指標はまちまちの内容だたが最近は予想を下回る悪化も見られており株式市場ではソフトランディングへの楽観が後退気味となっている。
NYダウの1月19日は前日比252.40ドル安となり1月17日の同391.76ドル安、18日の同613.89ドル安から3営業日の続落となった。ナスダック総合指数は1月6日から1月17日まで7連騰してきたが1月18日に前日比138.10ポイント安、19日も同104.74ポイント安の続落となり11000ポイント以上で戻り売りにつかまった印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は1月18日の乱高下が落ち着いているが、127円台を買われるも129円には届かない範囲で安値圏の持ち合いとなっている。129円超えからはいったん戻り高値を試す流れとみて1月20日夜から25日にかけての間への上昇を想定するが、1月18日夜安値127.55円割れからは一段安へ進むとみて1月24日から26日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では乱高下一服での持ち合い推移に入っているため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、先行スパンから転落した状況が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、129円超えからは先行スパンの上限を試す上昇を想定するが、先行スパンの上限では戻り売りにつかまりやすいとみる。
60分足の相対力指数は乱高下一服での持ち合い推移のため、19日午後の40ポイント割れを買われたものの50ポイント超えでは売られて上値が重い。55ポイント超えからは上昇が勢い付く可能性があるが40ポイント割れからは下げ再開に入るとみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月19日午後安値127.75円を下値支持線、129.00円を上値抵抗線とする。
(2)129円手前は戻り売りにつかまりやすいところとみる。129円超えからは129円台中盤試しとするが129.50円以上は反落警戒とし、その後に128.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)1月19日午後安値127.75円割れからは1月16日昼安値127.21円試しとし、底割れからは126円台後半への下落を想定する。また128円以下で週を終える場合は週明けも続落しやすいとみる。
【当面の主な予定】
1/20(金)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -0.4%、予想 0.5%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -5.9%、予想 -4.0%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -0.3%、予想 0.4%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 -5.9%、予想 -4.4%)
16:00 (独) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 -3.9%、予想 -1.2%)
19:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算 (11月 409万件、予想 396万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 -7.7%、予想 -3.3%)
27:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
オーダー/ポジション状況
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