トルコリラ円見通し ドル円に合わせて7.00円台前半中心の揉み合い(23/1/11)

トルコリラ円の1月10日は7.07円から7.01円の取引レンジ、11日早朝の終値は7.04円で前日終値の7.02円から0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円に合わせて7.00円台前半中心の揉み合い(23/1/11)

トルコリラ円見通し ドル円に合わせて7.00円台前半中心の揉み合い

〇トルコリラ円、ドル円下げ一服で10日は7.03を挟んでの揉みあい推移
〇対ドル、9日に18.81つけ史上最安値更新、10日も18リラ台後半での推移継続
〇トルコ11月鉄工業生産、前年/前月比ともに鈍化、景気減速感強まり追加利下げ可能性との観測も
〇本日予定の11月経常収支は赤字予想、貿易赤字拡大と共にリラ売り材料となりやすい
〇7.00以上での推移中は上昇余地ありとし、7.07超えからは7.10前後への上昇を想定する
〇7.00割れを弱気転換注意とし、6.98割れからは6.95前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月10日は7.07円から7.01円の取引レンジ、11日早朝の終値は7.04円で前日終値の7.02円から0.02円の円安リラ高だった。
1月6日夜の米雇用統計における平均時給の伸びが予想を超える低下となりISMサービス業景況指数が予想以上に悪化したことが米FRBの利上げペース減速を助長するとして6日夜から9日にかけてはドル全面安となりドル円は6日夜高値134.77円から9日昼安値131.29円へ急落したが、その後は132円を挟んだ揉み合いとなっている。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせて1月6日夜高値7.14円から7日早朝に7.01円へ急落、9日は6.99円へ続落したところからドル円の反発時に7.06円まで戻したものの10日未明には6.98円まで安値を切り下げた。1月10日はドル円の下げ一服による揉み合いを見ながらの展開で、7円割れを回避しつつ午後に7.07円まで戻したところは売られて7.03円を挟んだ揉み合いでの推移となった。
当面はドル円が1月9日安値を割り込んで1月3日安値試しへ向かうのか、133円台回復で持ち直し感を強めるのかどうかを見定めつつトルコリラ円も方向感を探る展開と思われる。

【対ドルでは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの1月10日は18.79リラから18.73リラの取引レンジ、11日早朝の終値は18.77リラで前日終値と変わらずだった。
年明けからは徐々にドル高リラ安が進行しており、1月9日には安値で18.81リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新し、終値も18.77リラとなり1月5日の18.76リラを超えて終値ベースでの史上最安値を更新した。1月10日は新たな安値更新を回避したものの最安値近辺での推移であり、11日午前序盤には18.83リラへ最安値を更新している。
1月10日はトルコの11月鉱工業生産の発表があったが前月比も前年同月比もマイナスに転落しており、2022年上半期まで堅調だったトルコ景気の減速感が強まった。1月3日のトルコ12月CPI上昇率が鈍化したことによりエルドアン大統領が利下げサイクルの停止を宣言しているトルコ中銀に対して追加利下げを要求するのではないかとの見方もリラ売り要因となっているようだ。

【トルコ11月鉱工業生産は前年比と前月比ともにマイナス】

【トルコ11月鉱工業生産は前年比と前月比ともにマイナス】

1月10日に発表されたトルコの11月失業率は10.2%で10月と変わらなかった。パンデミック発生前の2020年2月は12.6%だったが、2020年7月に14.2%へと悪化、その後は低下傾向を続けて2022年8月には9.8%まで下げて2018年9月以来の一桁となったが、その後はやや悪化気味の推移となっている。

同じく1月10日に発表された11月のトルコ鉱工業生産は前月比が1.1%減となり10月の2.8%増から悪化、前年同月比も1.3%減で10月の3.2%増から悪化した。前月比はプラスとマイナスを繰り返しているが、前年同月比でのマイナス転落はパンデミック発生後の2020年6月の0.5%減以来であり、パンデミックからの回復による2021年の改善が一巡した後は鈍化傾向に入った。2022年は1月から6月までの間を14.4%増から7.6%増までの範囲で高成長していたが、2022年7月に2.5%増へ急低下し、8月の1.1%増9月の0.5%増、10月に3.2%増と戻したものの11月のマイナスへの転落と低成長に入っている。2022年後半のGDPも鈍化見通しとされているが、鉱工業生産はかなり精彩を欠いている印象だ。
1月11日はトルコの11月経常収支の発表があり、10月の3.59億ドルの赤字に対して11月の市場予想は41億ドルの赤字と見込まれており、リラ安による貿易赤字拡大と共にリラ売り材料となりやすいのではないかと注意したい。

【当面はドル円の動向を注視】

トルコリラ円は昨年7月後半からドル円の騰落に合わせた動きが続いている。ドル高リラ安基調は継続しているもののドル円が歴史的な大上昇で昨年10月高値へ急伸し、その後は揺れ返しの反動で大幅下落したためにドル/トルコリラの変動をドル円の変動が勝ることでトルコリラ円はドル円次第となっている。
ドル円は1月3日安値で129.50円まで下落してから持ち直しているが、12月20日の日銀ショックによる急落時の12月21日未明安値130.56円を左肩、1月3日安値を頭とすれば、1月6日夜高値からの下落を131円台ないし130円台後半までに留めて1月6日夜高値を上抜き返せば逆三尊型を形成して上昇期に入る可能性が考えられる。しかし1月6日夜高値を超えないうちは1月9日安値割れから1月3日安値試しへ向かい、1月3日安値を割り込むと下落期も長期化してゆくことになりかねない。1月12日夜の米CPIと来週の日銀金融政策決定会合結果が重要になってくる。

トルコリラ円も1月10日未明安値からの持ち直しを継続するが、6.90円台後半へ下げてからの切り返しで7.10円を超えてくればドル円と同様に逆三尊形成の可能性が浮上するのだが、1月10日未明安値割れから1月3日安値に迫る下落へ進む場合は逆三尊の可能性が後退して底割れからの一段安への懸念が大きくなるのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日夜へ続伸したところからの急落で9日には7円割れまで失速し、9日夜に7.06円までいったん戻してから10日未明に9日昼安値を僅かに割り込んだもののその後は新たな安値更新を回避しているので、現状は1月10日未明安値で直近のサイクルボトムを付けたと考える。
1月10日未明安値割れを回避するうちは11日夜から13日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、10日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして13日未明から17日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7.00円台前半中心の持ち合いのため方向感に欠ける。1月10日未明安値を割り込まないうち先行スパン上限を試し、先行スパン突破から上昇が勢い付く可能性があるものの、先行スパンからの転落が続く場合は下落再開を警戒し、1月10日未明安値割れからは下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月9日に30ポイントまで低下してからの持ち直しを継続しているので60ポイント超えからは70ポイントに迫る上昇余地があるとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.98円を下値支持線、7.07円を上値抵抗線とする。
(2)7.00円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.07円超えからは7.10円前後への上昇を想定する。7.09円以上は反落注意とするが、7.03円以上を維持しての推移なら12日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.00円割れを弱気転換注意とし、6.98円割れからは1月6日夜高値を起点とした下落が二段目に入るために6.95円前後への下落を想定する。6.95円以下は反発注意とするが、6.98円を割り込んだ後も7円割れで推移する場合は下向きとして12日以降への続落で6.90円台序盤へ向かう流れとみる。

【当面の主な予定】

1月11日
 16:00 11月 経常収支 (10月 -3.59億ドル、予想 -41.0億ドル) 
1月12日
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.4%)
 16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 9.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 グロス (12/30時点 829.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 ネット (12/23時点 275.4億ドル)
1月16日
 17:00 12月 財政収支 (11月 1083億リラ)
1月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%

注:ポイント要約は編集部

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