トルコリラ円見通し 1月12日午前にドル円の反落で失速、7円割れを試す(23/1/12)

トルコリラ円の1月11日は7.08円から7.02円の取引レンジ、12日早朝の終値は7.05円で前日終値の7.04円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 1月12日午前にドル円の反落で失速、7円割れを試す(23/1/12)

1月12日午前にドル円の反落で失速、7円割れを試す

〇トルコリラ円、11日夜にドル円が続伸した局面で7.08まで高値切り上げ
〇しかし12日午前序盤にドル円が132円割れへ急落、トルコリラ円も失速し7円の大台を維持できるか試す
〇ドル円急落は読売新聞が「来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検」と報じたことがきっかけ
〇今晩の米12月CPIは予想通りか予想以上に鈍化ならインフレピーク感からドル安円高が進みやすい
〇トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動き、CPI次第で安値更新を試す流れに進みかねない
〇対ドルでは11日午前序盤に18.83へ下落し史上最安値更新
〇トルコの11月経常収支は36億6600万ドルの赤字、10月の3億5900億ドルから大幅に拡大
〇7.03から7.05にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる
〇7円割れからは6.97前後試しとし、下げ足が速まる場合は6.95前後試しを想定

【概況】

トルコリラ円の1月11日は7.08円から7.02円の取引レンジ、12日早朝の終値は7.05円で前日終値の7.04円から0.01円の円安リラ高だった。
1月6日夜の米雇用統計等をきっかけとしたドル円の下落が落ち着いて持ち直しに入る中、トルコリラ円は1月6日夜高値7.14円から9日安値6.99円へ下落したところから持ち直し、1月10日は7.07円まで戻り高値を切り上げ、11日夜にドル円が続伸した局面で7.08円までさらに高値を切り上げていた。
しかし1月12日午前序盤にドル円が132円割れへ急落したためにトルコリラ円も7.01円割れへ失速して7円の大台を維持できるかどうか試している。

【日銀の金融政策修正への動き、米CPI鈍化予想によるドル円の下落】

ドル円が1月11日夜に133円手前へ上昇していたところから12日午前序盤に131円台中盤へ急落したきっかけは、読売新聞の12日朝刊が「日銀が来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検する」と報じたことがきっかけだが、1月11日朝には財務省の斎藤理財局長が「海外の状況を見ても分かるように低金利状況がいつまでも続くわけではない」と述べたこととも含めて日銀が異次元金融緩和政策の終了へ向けた出口戦略に入っている印象を強めており、本邦新発10年債利回りが日銀の変動許容上限である0.50%に張り付いていることや東京区部のCPI上昇率が40年ぶりの伸び率となったことも踏まえれば、昨年10月まで続いたドル円の歴史的大上昇が一巡した状況で円高がさらに継続しやすい状況にあると思われる。

今晩の米12月CPI上昇率については全体の前年比が11月の7.1%から6.5%へ、コアCPIの前年比が11月の6.0%から5.7%へと減速すると事前予想されているが、予想通りないし予想以上に鈍化すればインフレのピーク感とFRBによる利上げピーク水準の下方修正や利上げ継続期間の短縮などが思惑されてドル安円高が進みやすくなる。
トルコリラ円はドル高リラ安基調が継続する中でドル円の騰落に合わせた動きを続けており、今晩の米CPI内容次第ではドル円と共に昨年10月21日高値以降の安値更新を試して行く流れへ進みかねないと注意する。

【対ドルでトルコリラは史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの1月11日は18.83リラから18.68リラの取引レンジ、12日早朝の終値は18.78リラで前日終値の18.77リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
1月11日午前序盤に18.83リラへ下落して1月9日に付けたこれまでの取引時間中の史上最安値18.81リラを更新、終値ベースでの史上最安値も1月9日終値18.77リラを超えて更新した。
昨年末にかけては18.70リラを超えるところは買い支えられて史上最安値を繰り返し試しつつもやや膠着感のある状況での推移が続いてきたが、年明けからは最安値更新が続き始めており、終値ベース及び日々の中心レートもリラ安の勢いが増し始めている印象だ。

【トルコの11月経常赤字は前月から拡大】

【トルコの11月経常赤字は前月から拡大】

トルコの11月経常収支は36億6600万ドルの赤字となり10月の3億5900億ドルから大幅に拡大した。トルコは構造的な経常収支赤字国であり、2021年7月から10月までの4か月間は黒字だったものの2021年11月以降は赤字続きであり、2022年1月には69億4500ドルまで赤字額が拡大した後はやや減少気味の推移だったものの、10月の赤字縮小は一時的なものにとどまって再び増大したことにより、赤字傾向の継続感が強まった。

エルドアン大統領は利下げによる企業への融資拡大とリラ安による輸出拡大及び観光収入の回復と海外からの投資による経常収支改善を目指してきたが、輸出は拡大したもののリラ安により輸入額が急増したことで貿易赤字の恒常化は改善の兆しが見えない。
金融政策的にリラ安に歯止めをかける姿勢が見られないうちは経常収支の悪化傾向と共に世界的な景気減速による輸出低迷と国内成長率の低下により大手格付け機関による格下げの圧力も再び強まるのではないかと懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月10日未明に9日昼安値を僅かに割り込んでから新たな安値更新を回避していたため1月11日午前時点では1月10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定した。
1月11日深夜へ続伸したものの12日午前序盤にドル円の急落に合わせて7円割れを試すところまで反落しているので、1月11日深夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたところと思われる。安値形成期は13日未明から17日未明にかけての間と想定するが、強気転換には7.05円を超えて11日夜高値に迫るような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では1月12日午前序盤の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換には両スパンそろっての好転が必要と思われる。

60分足の相対力指数は1月1日夜に60ポイント台へ上昇したところから30ポイント台へ低下しているので50ポイント以下での推移中は20ポイント台への一段安警戒とする。相場が一時的に戻してから一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入りを警戒するが上昇再開には50ポイント台回復が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.00円を下値支持線、7.03円を上値抵抗線とする。
(2)7.03円から7.05円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)7.03円以下での推移中は下向きとし、7円割れからは6.97円前後試しとし、下げ足が速まる場合は6.95円前後試しを想定する。7.03円以下での推移なら13日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月12日
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.4%)
 16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 9.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 グロス (12/30時点 829.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 ネット (12/23時点 275.4億ドル)
1月16日
 17:00 12月 財政収支 (11月 1083億リラ)
1月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%)

注:ポイント要約は編集部

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