トルコリラ円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル円大幅続落、10月以降の最安値更新
〇トルコリラ円、1/12はドル円急落により午後に7.00を割り込み、米CPI発表直後には6.89へ続落
〇1/13未明には6.86まで一段安、その後さらに安値を更新
〇トルコリラ円はドル円と共に10/21高値以降の安値更新、ドル円と呼応して安値試しを続けやすい状況か
〇対ドル、1/12は18.79から18.70の取引レンジ、最安値近辺での推移を継続
〇昨日発表のトルコ小売売上高は4か月連続でプラス、外貨準備高は減少
〇6.89から6.92にかけての水準は、戻り売りにつかまりやすいとみる
〇6.84割れからは、6.80円前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の1月12日は7.07円から6.86円の取引レンジ、13日早朝の終値は6.88円で前日終値の7.05円からは0.17円の円高リラ安だった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開が続いているが、ドル円は1月12日の読売新聞朝刊で「日銀が来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検する」と報じたことから132円を割り込み、12日夕刻には131円割れへ続落、12日夜の米CPI発表からドル全面安となる中で発表直後に130円を割り込み13日未明には128.86円まで大幅下落した。11日夜の戻り高値132.87円からは4円を超える規模の急落となった。
トルコリラ円は1月9日安値6.99円から11日夜に7.08円まで戻していたが、12日午前序盤にドル円が急落したことで午後には7.00円を割り込み、米CPI発表直後には6.89円へ続落、一時的な反発を経て13日未明には6.86円まで一段安となった。13日午前はさらに安値を更新している。
【トルコリラ円はドル円と共に10月21日高値以降の安値を更新】
1月12日夜に発表された米12月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比6.5%となり市場予想と一致したものの1年2か月ぶりの低水準、前月比はマイナス0.1%で2020年5月以来初めてのマイナス圏まで低下した。このため米FRBは今後数回の0.25%利上げを行えば利上げのピークとなりその後はインフレ指標を見ながら利上げ状態を維持しつつ利下げ再開期を伺う流れへ進みやすくなった。米長期債利回りは低下傾向を鮮明としてドルは全面安の様相となっている。
一方で日銀は12月に長期金利ゼロ%誘導のための許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げ、読売報道によれば来週の金融政策決定会合でさらに政策修正を行う可能性が浮上しており、利上げサイクルの収束へ向かう米FRBとマイナス金利政策からの脱却へ進み始めた日米金融政策のズレ、米長期債利回り低下と日本10年債利回りの0.50%上限への張り付きが円高を助長している。
ドル円は1月3日安値を割り込んで10月21日高値151.94円以降の最安値を更新したが、トルコリラ円も1月3日安値6.87円を割り込んで10月21日高値8.17円以降の最安値を更新した。0.20円程度の戻りを入れながらも戻り高値は切り下がり、26日移動平均前後が上値抵抗線となって安値更新を繰り返しており、底値への接近感はまだ乏しく、2021年12月20日につけた史上最安値6.17円まで下値支持線となる安値が見当たらない状況にある。当面はドル円の安値試しと呼応してトルコリラ円も安値試しを続けやすい状況と思われる。
【対ドルでは史上最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの1月12日は18.79リラから18.70リラの取引レンジ、13日早朝の終値は18.77リラで前日終値の18.78リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
年初から徐々にリラ安が進行しており、日々の取引中心レートは切り上がり(ドル高リラ安)が続き、1月11日午前序盤に18.83リラへ下落して1月9日につけたこれまでの取引時間中の史上最安値18.81リラを更新、終値ベースでの史上最安値も1月9日終値18.77リラを超えて更新している。
1月12日は米CPI上昇率の鈍化によりドルストレートではユーロドルが昨年9月28日底以降の最高値を更新、ポンドドルも1月6日からの反騰継続、豪ドル米ドルも10月13日底以降の最高値を更新するなどドル全面安の様相となったため、ドル/トルコリラにもドル安のバイアスがかかったものの中長期的なリラ安基調を阻害するものではないとしてリラ高局面では戻り売りされており、史上最安値更新には至らなかったものの最安値近辺での推移を続けている。
【トルコ小売売上高は4か月連続でプラス】
1月12日に発表されたトルコの11月小売売上高は前月比1.5%増となり10月の1.6%増からやや低下したものの8月から4か月連続でプラスとなった。前年同月比は12.1%増で10月の9.3%増を上回る伸びとなった。前月比では自動車燃料が0.6%減、食品飲料品が0.9%減となったほかは総じてプラスとなった。前年同月比ではネット通販が28.8%増、PCや本等が33.7%増と目立った。リラ安による高インフレが続いているため、インフレによる額面上昇を差し引けば伸びはさほど力強くないともいえる。
1月12日夜に発表された週次の外貨準備高は1月6日時点のグロスで796.6億ドルとなり12月30日時点の829.1億ドルから減少、ネットでは243.1億ドルとなり12月30日時点の275.4億ドルから減少した。カタールによるトルコ起債のユーロ債購入と通貨スワップ協定枠の拡大、ロシアの投資、海外観光客からの外貨収入、輸出企業による保有外貨の半ば強制的なリラへの転換などにより外貨準備高が増加傾向で推移してきたが、リラ安の進行に対するトルコ中銀の介入等により準備高が減少した可能性もある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定していたが、1月11日深夜へ続伸したものの12日午前序盤にドル円の急落に合わせて7円割れを試すところまで反落したために1月12日午前時点では1月11日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日未明から17日未明にかけての間への下落を想定した。
1月12日夜に大幅続落となり13日午前も安値を更新しているので引き続きボトム形成中とみる。13日夜から16日朝にかけては安値試しを続けやすいとみるが、週をまたいで市場心理も落ち着くことが多いため、週明けは反発注意とする。
60分足の一目均衡表では1月12日午前序盤の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、12日夜の大幅続落により両スパンそろっての悪化が続いている。当面は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、下降してくる26本基準線が上値抵抗線となりながら安値試しが続きやすいとみる。強気転換は遅行スパン好転からとするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから一段安へ進みやすいと考える。
60分足の相対力指数は1月12日夜に20ポイントを割り込んでからも40ポイント以下での推移にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、相場が一時的に戻してから一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入りを警戒するが強気転換には50ポイントを超える上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.84円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.89円から6.92円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)6.84円割れからは6.80円前後への下落を想定する。下げ足が速まる場合は6.80円割れへ向かう可能性もあるとみる。6.87円以下での推移か直前安値から0.70円以上の反騰が見られない場合は16日午前序盤も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1月16日
17:00 12月 財政収支 (11月 1083億リラ)
1月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%
20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 グロス (1/6時点 796.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1/13時点 ネット (1/6時点 243.1億ドル)
1月20日
23:30 12月 中央政府債務 (11月 390.8億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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