米雇用統計後の円高で7円割れへ失速、ドル高リラ安もジワジワと進行
〇トルコリラ円、1/6夜高値で7.14をつけたものの、ドル円の急落により1/7早朝7.01へ下落
〇1/9はドル円続落により6.99へ下落、ドル円の反発時に7.06まで戻すも1/10未明6.98まで下げる
〇対ドル、1/7早朝にかけてドル高リラ安へと揺れ返した局面で18.80の安値をつけ、史上最安値更新
〇1/9は18.81へ下げさらに取引時間中の最安値更新、終値ベースでも1/9終値18.77で最安値を更新
〇12月後半から取引時間中の最安値更新を度々繰り返し、ドル高リラ安が徐々に進行
〇7.00以上での推移中は上昇余地ありとし、7.06超えからは7.10手前への上昇を想定する
〇7.00割れを下落再開注意とし、6.98割れからは6.95前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の1月6日は7.18円から7.01円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.04円で前日終値の7.11円から0.07円の円高リラ安となった。1月9日は7.06円から6.98円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.02円で前日比0.02円の円高リラ安だった。
ドル円の騰落に合わせた展開を続けているが、ドル円は1月6日夜の米雇用統計発表前に134.77円まで戻り高値を切り上げていたが、米雇用統計での平均時給伸び率の大幅鈍化とその後に発表された米ISM非製造業景況指数の悪化により米FRBの利上げ長期化への過度の懸念が後退したとして米長期債利回りが大幅低下したために1月7日早朝に131.98円まで3円近い急落となった。1月9日は昼に131.29円まで続落したところからいったん132.65円まで戻したものの132円台を維持できずに失速しており、9日昼安値割れへの余裕が乏しくなっている。
トルコリラ円は1月3日安値6.87円からの反騰を継続して1月6日夜高値で7.14円をつけたものの、米雇用統計及び米ISM非製造業景況指数をきっかけとしたドル円の急落により7日早朝には7.01円へ下落した。9日は昼にかけてドル円の続落により6.99円へ下落、ドル円の反発時に7.06円まで戻したものの10日未明には6.98円まで安値を切り下げている。1月9日昼と10日未明の7.00円割れはいずれも買い戻されたが勢いは鈍く安値更新への余裕が乏しい印象だ。
【対ドルでトルコリラは取引時間中及び終値ベースで史上最安値更新】
ドル/トルコリラの1月6日は18.80リラから18.67リラの取引レンジ、7日早朝の終値は18.75リラで前日終値の18.76リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。1月9日は18.81リラから18.75リラの取引レンジ、10日早朝の終値は18.77リラで前日比0.02リラのドル高リラ安だった。
1月6日夜の米雇用統計及びISM非製造業景況指数をきっかけとして為替市場はドル全面安となり、ドル/トルコリラでもドル安リラ高反応が見られたもののリラの先安感は変わらないとして戻したところは売られ、7日早朝にかけてドル高リラ安へと揺れ返した局面で18.80リラの安値をつけて12月27日安値を超えて史上最安値更新となった。
1月9日は18.81リラへさらに取引時間中の最安値を更新、終値ベースでのこれまでの最安値は1月5日の18.76リラだったが9日終値18.77リラで最安値を更新した。ベンダーによっては18.80リラ台後半の最安値提示も再三みられている。
【ドル高リラ安が徐々に進行】
ドル/トルコリラの値動きはトルコ中銀による金融機関通常営業時間外の為替取引への規制や為替スワップ取引での事実上の市場介入等により10月に18.60リラ台へ下落した後はやや膠着感のあるレンジでの推移が続いてきた。しかし徐々に日々の取引中心値は切り下がっており、12月後半からは取引時間中の最安値更新を度々繰り返しつつ終値ベースでのリラ安が顕著となってきている。
トルコは輸出企業などの外貨保有企業に対して保有外貨が規制基準を超える場合には新規融資を禁止する措置を導入しており、輸出企業は稼いだドルやユーロなどの外貨が基準を超えればリラに転換して結果的にリラの暴落を阻害している。また政府は友好国による支援強化を取り付け、カタールなどによる通貨スワップ協定の拡充やトルコ発行のユーロ債購入による援助、ロシアの投資や海外観光客の拡大による外貨獲得でリラ安を抑制しようとしてきた。
エルドアン大統領の意向によりトルコ中銀は4会合連続で利下げを行い、11月に政策金利を9.0%へ引き下げたところで利下げサイクルの終了を宣言したものの、1月3日に発表された12月のトルコCPI上昇率が11月から鈍化したことによりエルドアン大統領による追加利下げ要求への懸念が強まっておりリラ安もやや勢い付き始めた印象だ。トルコリラ円は概ねドル円の騰落に合わせた展開だが、日々の騰落でドル円と同調しつつもドル高リラ安の進行により、ドル円が戻す場面ではドル円程には戻せず上値が抑えられがちとなるケースが見られる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日昼過ぎ安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1月4日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定してきた。1月6日午前時点ではまだ上昇余地ありとしたが、7.07円割れからは弱気サイクル入りとして6日午後から10日昼にかけての間への下落を想定するとした。
1月6日夜へ続伸したところからの急落で7.07円を割り込み9日には7円割れまで失速したが、9日夜には7.06円までいったん戻してから10日未明に9日昼安値を僅かに割り込んでいる。このため、1月6日夜高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたが、1月9日昼安値で直近のサイクルボトムをつけて戻し、その後の下落で安値を更新したことですでに新たな弱気サイクル入りとなった可能性がある。また1月9日昼と10日未明の両安値でダブル底をつけて強気サイクル入りする可能性も検討される。
これらを踏まえ、1月10日未明安値6.98円割れを回避して9日夜高値を上抜く場合は1月10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定し、1月10日未明安値割れからは6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日昼から16日昼にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月9日昼への下落で先行スパンから転落し、9日夜への反騰では先行スパン下限が抵抗線となっているので先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返す場合は10日未明安値を起点とした上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月6日夜からの急落で9日昼に30ポイントまで低下してから持ち直し、40ポイント割れからも戻しているので60ポイント台への上昇余地ありとするが、次に40ポイントを割り込むところからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.98円を下値支持線、7.06円を上値抵抗線とする。
(2)7.00円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.06円超えからは7.10円手前への上昇を想定する。7.08円以上は反落注意とするが、7.03円以上を維持しての推移なら11日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.00円割れを下落再開注意とし、6.98円割れからは1月6日夜高値を起点とした下落が二段目に入ったとみて6.95円前後への下落を想定する。6.95円以下は反発注意とするが、6.98円を割り込んだ後も7円割れの水準で推移するうちは下向きとして11日以降への続落で6.90円台序盤へ向かう流れとみる。
【当面の主な予定】
1月10日
16:00 11月 失業率 (10月 10.2%)
16:00 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 2.4%)
16:00 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 2.5%、予想 -0.95%)
1月11日
16:00 11月 経常収支 (10月 -3.59億ドル、予想 -41.0億ドル)
1月12日
16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.4%)
16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 9.5%)
20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 グロス (12/30時点 829.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1/6時点 ネット (12/30時点 275.4億ドル)
1月16日
17:00 12月 財政収支 (11月 1083億リラ)
1月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 9.0%)
注:ポイント要約は編集部
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