ユーロ 若干底堅いもみあいを継続(週報1月第2週)

先週のユーロドルは、ドル円が年初から5円以上の値幅となったのに比べると225pipsに留まりました。

ユーロ 若干底堅いもみあいを継続(週報1月第2週)

ユーロ 若干底堅いもみあいを継続

〇ユーロドル、1.05から1.07レンジでの揉み合い推移、年明けもドル・クロス円の影響大きい流れか
〇ECBによる利上げ継続有無が今年も注目材料に
〇エネルギー価格は1年前に比べ低下傾向、ユーロ圏12月CPIは弱い結果、インフレ率低下に寄与するか
〇ポンドドル、ユーロドルと対照的に短期下降トレンド入り、欧州通貨への影響を注視
〇今週は1.0500レベルをサポートに1.0750レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、ドル円が年初から5円以上の値幅となったのに比べると225pipsに留まり今年もドル円の動きが大きいスタートを切っています。ユーロドルは金融政策面では目新しい動きはありませんし、地政学的な材料も何ら進展は見られないものの新たな動きは出て来ないこともあって、直近のところでは1.05割れの買いと1.07超えの売りとが拮抗している状態です。年明けも結局はこのレンジを抜けだすことなく、レンジの上下を改めて確認してのスタートとなっています。

米国だけでなく欧州でもインフレがどのようになって行くかの思惑でECBの利上げがいつまで続くのかは今年も材料となってきますが、先週発表されたユーロ圏の12月CPIは予想よりも弱い9.2%に留まり、ユーロ圏でも10月CPIの10.7%でピークアウトした可能性が高まりました。主要な商品価格を見ても1年前に比べ原油も天然ガスもマイナス圏へと沈んできました。まだ高いものもありますが、こうしたエネルギー価格が下がってきたことや、海上輸送コストを測るバルチック海運指数が大きく下落していることなどは、2023年の欧州のインフレ率低下に寄与していくものと考えられます。

参考までに欧州関連の商品価格の過去1年間の価格推移を確認しておきましょう。

ユーロ 若干底堅いもみあいを継続

紫が北海ブレント原油−4.29%、緑が欧州天然ガス−27.95%、青がバルチック海運指数−50.78%となっていて、物の値段が全てではありませんが、今後米国のようにインフレが落ち着いていくであろうことを感じさせるものとなっています。

そうなると、ECBの利上げペース減速によるユーロ売りという流れを考えたくなりますが、米国でも景気後退リスクが強まっていて、FRBが考えているほど金利が上がらない可能性も高まっています。米欧の金融政策という点ではどちらも同じような方向性を示していくとすると、年始もあまり大きな動きは期待できないかもしれません。

テクニカルにはどうでしょうか。いつもの日足チャートをご覧ください。

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上昇チャンネルの外側に引いたラインとで構成される上側の平行上昇チャンネル内での動きを続けているとも言えますが、12月以降は11月高値1.0496レベルと12月高値1.0735レベルの間で横方向の動きになっているとも言えます。ただ、どちらをとっても1.05台前半から1.07台前半の狭い値幅をもみあいの中心とする値動きからは大きく外れず、テクニカルにはしばらく動きが期待しにくい流れが続きやすいと言えそうです。

今週は若干上向きの流れも残っていることを考慮して、1.0500レベルをサポートに、1.0750レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。欧州材料よりも米国材料によるドルの動き、日本材料によるクロス円の動きの影響が大きい流れは今週も同様でしょう。

今週のコラム

今週はポンドドルの日足チャートを見ておきましょう。

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ユーロドルと比べるとポンドは12月中旬に高値をつけ短期下降トレンド入りのチャートとなっています。ユーロドルの底堅い動きと比べ対照的で、ユーロポンドではユーロ買いの動きが12月初めから強まっている流れです。

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ただユーロポンドも12月高値を試してはいるもののトライしきれずという状況のため、欧州通貨に動きが出てくるかどうか、ポンドドルの動きにも注意しておきたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月9日(月)
**:** 東京市場休場
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率

1月10日(火)
09:01 英国12月小売売上高
16:45 フランス11月鉱工業生産
18:30 パウエルFRB議長 ☆、英中銀総裁 ☆、シュナーベルECB理事講演
24;35 スペイン中銀総裁講演

1月11日(水)
 (特になし)

1月12日(木)
22:30 米国12月CPI ☆

1月13日(金)
16:00 英国11月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス12月CPI ☆
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産、貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

年末年始概要
年末のユーロドルは底堅く30日には1.0715レベルまで水準を切り上げていましたが、新たな材料があったわけでもなく、1.07台では売りも出ての年末クローズを迎えました。年始のユーロドルは1.07台で売れなかった向きの売りオーダーも入り1.06台半ばへとじり安の動きで年始のスタートを切りました。

1月3日(火)
ユーロドルは欧州市場までは動かず、欧州市場入りとともにアジア時間の安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながら1.0519レベルの安値をつけました。その後は底固めに入り1.05台半ばを中心としたもみあいを続けました。

1月4日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル売りの動きからユーロが底堅い展開となっていましたが、海外市場に移って以降はドル円、ユーロ円とも東京市場に円買いで突っ込んだ短期筋のポジション調整による円売り直し(ユーロ買い戻し)の動きからユーロドルは1.0600レベルでもみあいとなりました。いっぽうユーロ円は137円台後半まで下げていたところから140円台後半へと水準を大きく切り上げての引けとなりました。

1月5日(木)
ユーロドルは東京市場では若干の上下を見た程度で横方向のもみあいが続いていました。NY市場に入り発表された強いADPに反応してユーロ売りの動きとなり、1.0515レベルまで下げ安値圏での引けとなりましたが、ドル円に比べると全般に鈍い動きとなっていました。

ユーロドルはドル円同様にNY市場まではドル買いの動きから1.0482レベルの安値をつけていました。米国雇用統計後の米金利低下の動きからユーロドルも上昇、1.0648レベルまで上昇し高値圏で引けました。

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