ドル円 ドル安・円高地合いが続きやすい(週報1月第2週)

130円割れではドル買いが控えていると同時に、135円近くではドル売りも出てくるといった感じで130円台前半が短期的には居心地が良さそうな水準となっているようです。

ドル円 ドル安・円高地合いが続きやすい(週報1月第2週)

ドル円 ドル安・円高地合いが続きやすい

〇ドル円、1/3に129.51の安値をつけるも130円割れは買われ、金曜夕刻に高値134.78まで上昇
〇週末米雇用統計は平均時給の伸び弱く、米金利急低下、引けにかけ132レベルまで急落して引ける
〇緩和縮小に関して日銀動向に注目集まる、中期的にはドルの戻りが抑えられやすい流れか
〇米国サイドでは金利低下とドル安が注目材料に
〇今週は米12月CPI、1月ミシガン大消費者信頼感速報値、FRB議長講演など予定
〇今週は大台130.00レベルをサポートに133.25レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

ドル円は12月20日の日銀会合後の動きがまだ未消化に思えますが、円高に動いたものの130円割れではドル買いが控えていると同時に、135円近くではドル売りも出てくるといった感じで振り返ると130円台前半が短期的には居心地が良さそうな水準となっているようです。

これまで長期に渡り日銀だけは緩和継続という見方が一気に変化した一方で、次の動きが出てくるにはまだ時間がかかりそうで、その間に日米金利差は拡大する方向であるといった面に目を向けると短期的に急速な円高修正は起こりづらいという見方につながっているようです。しかし、これまでカウントしてこなかった日銀の緩和縮小を今後は考えていくこととなり、中期的にドルの戻りが抑えられやすいということは今後繰り返しテーマになってくると考えられます。

そして主要国の金融政策決定会合の最初が18日に日銀会合となり、12月に政策変更を行ったばかりであることから今回はさすがに現状維持となるでしょうが、将来的な緩和縮小についての議論も行われる可能性はあります。12月の会合前にも各所で観測記事は出ていましたが、1月の会合に向けても緩和修正の観測記事が出るなど、日銀の動向に注目が集まります。

日柄的にもまだ来週ではありますが、1月18日というのは円高との相関が高い時間帯となっていて、何か緩和縮小思惑につながるような話が出てくる可能性はあります。為替水準についても最後の最後に黒田日銀総裁が悪い円安について言及したように、金融政策についてもこれまで必要ならば躊躇なく緩和と唱え続けてきた黒田総裁の発言に変化があるのかが気になる参加者は多いはずです。

次期総裁の人選の話も色々と出ていますが、4月の任期前退任の可能性も否定はできませんし、金融政策では今年もっとも注目を集めやすい中銀となることはたしかです。また米国では初回FOMCは2月1日とまだ先ですが、毎年FOMCメンバーの入れ替わりがあり、2023年の投票権を持つ地区連銀総裁は2022年よりもハト派寄りです。米国の政策金利もタカ派ハト派が入り乱れている状況ですが、どちらかというと景気後退リスクに目が向かいやすくなってきていると見られ、米国サイドでは金利低下とドル安に目が向かいやすい流れが続きそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円日足チャート

ドル円日足チャート

年初来高値から引いたレジスタンスラインを引き直し、先週金曜高値と結ぶラインに変えました。それに平行に引いたラインとで構成される平行下降チャンネル(ピンク)がわずかに角度を変えた程度で大きな方向性に変化はありません。下を見て上を見て、次の動きを探っている段階ですが、材料的にはドル安方向に動きやすい地合いが続いています。今週のところは130円の大台を大きく割り込むことも無いと思いますが、依然としてドル円は値動きが軽く、1日に2円動いてもおかしくはありません。

今週は大台130.00レベルをサポートに、金曜雇用統計直後の安値圏と重なる133.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月9日(月)
**:** 東京市場休場
09:30 豪州11月住宅建設許可
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率
26:30 (アトランタ連銀総裁講演)

1月10日(火)
08:30 本邦12月東京区部CPI ☆
09:01 英国12月小売売上高
16:00 トルコ11月失業率、鉱工業生産
16:45 フランス11月鉱工業生産
18:30 パウエルFRB議長 ☆、英中銀総裁 ☆、シュナーベルECB理事講演
24:00 米国11月卸売売上高
24;35 スペイン中銀総裁講演
**:** 北米サミット

1月11日(水)
09:30 豪州11月CPI ☆、小売売上高
16:00 トルコ11月経常収支
24:30 週間原油在庫統計
30:45 NZ11月住宅建設許可

1月12日(木)
08:50 本邦11月貿易収支(国際収支)
09:30 豪州11月貿易収支
10:30 中国12月CPI・PPI ☆
21:30 フィラデルフィア連銀総裁講演
22:30 米国12月CPI ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
25:30 (セントルイス連銀総裁講演)

1月13日(金)
**:** 中国12月貿易収支
16:00 英国11月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス12月CPI ☆
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産、貿易収支
22:30 米国12月輸入物価
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

今年最初の週報となりますので、年末年始の値動き概観についても書いておきます。

年末年始概観
昨年末のドル円は12月20日の日銀会合後の値動きを消化する流れの中で会合直後の円買いの動きに対する調整の円安の動きが28日まで続きました。しかし、134.50レベルまでで動きは止まり、年始に向けてはフラッシュクラッシュの可能性なども取り沙汰されましたが、直前の円安の動きに対しての調整が進み131円近辺での年末クローズ。年明けは1日が日曜で2日が振替休日となったこともあって、静かなスタートとなっていました。

1月3日(火)
ドル円は東京市場休場のフラッシュクラッシュこそ無かったものの、東京昼過ぎに一時129.50レベルと130円の大台を割り込む展開となりました。これは昨年末の日経新聞に1月日銀会合での更なる緩和修正観測記事が出たことを受けての円買いでした。ただ、短期筋中心の仕掛けだったようですぐに買い戻された後は、ユーロドルの下げに引っ張られ131円台まで反発、ただ上値も重く130円台後半でもみあいのままNY市場は引けました。

1月4日(水)
東京市場初日は株式市場は大発会で株安、為替市場は米金利低下によるドル売りが先行する流れとなりました。ドル円は131円水準で始まり、欧州市場序盤には129.93レベルまで売られ安値をつけました。しかし、130円の大台割れでは前日に続きドル買いが見られたこと、さらにNY市場では米金利も上昇に転じストップオーダーも巻き込みながら132.71レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。

1月5日(木)
ドル円は朝方こそドル売りが先行し仲値過ぎには131.68レベルの安値をつけましたが、下がったところでのドル買いが出てくる中でIMFが米国の利上げ継続を促したことから改めてドル買いが強まりました。欧州市場には朝方の高値を上抜け、NY市場では予想よりも強いADPに反応しNY昼前には134.05レベルの高値をつけました。引けにかけてはセントルイス連銀総裁がインフレは緩やかになっていると発言したことを受けて反落、133円を割り込んだ後にやや戻して引けました。

1月6日(金)
ドル円は4日以降のドル買い戻しの流れを継続し、NY市場朝方には134.78レベルの高値をつけていました。しかし、今年最初の注目指標となる米国雇用統計が全体としてはミックスであったものの平均時給が弱かったことを受け、米金利が急低下するとドル円も132.00レベルまで急落し、そのまま安値圏での引けとなりました。

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