トルコリラ円見通し ドル円の反騰で上昇するも7.10円に届かず5日午前序盤は失速(23/1/5)

トルコリラ円の1月4日は7.08円から6.92円の取引レンジ、5日早朝の終値は7.07円で前日終値の6.99円からは0.08円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反騰で上昇するも7.10円に届かず5日午前序盤は失速(23/1/5)

ドル円の反騰で上昇するも7.10円に届かず5日午前序盤は失速

〇トルコリラ円、ドル円の持ち直しを受け5日未明に7.08まで高値伸ばす
〇5日午前序盤はドル円の反落により7.04割れへ失速
〇対ドルではリラ安基調変わらず、4日は終値ベースで12/28の18.72を超え最安値更新
〇2日発表のトルコ12月貿易収支速報は輸入増で悪化、リラ売り要因に
〇7.05超えからは上昇再開とみて7.08試し、7.08超えからは7.10への上昇を想定
〇7.02割れからは下向き、7.00割れからは6.97前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の1月4日は7.08円から6.92円の取引レンジ、5日早朝の終値は7.07円で前日終値の6.99円からは0.08円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラではドル高リラ安基調での推移が続いているが、トルコリラ円はドル円の変動率が勝っているためにドル円の騰落に合わせた展開を続けている。

ドル円は1月3日に129.50円の安値を付けて12月20日の日銀ショックによる暴落で付けた12月21日安値130.56円を割り込み10月21日高値151.94円以降の最安値を更新したが、130円割れに対する売られ過ぎ警戒感から買い戻され、4日夜から5日未明にかけてはミネアポリス連銀総裁のタカ派発言や米雇用動態調査での11月求人数が予想を上回ったこと、ISM製造業景況指数が悪化したものの内訳では雇用が改善したことにより労働市場の堅調さが確認されたとしてドル買い円売りが進み132.71円まで切り返した。しかし5日未明のFOMC議事要旨はサプライズ内容無しとしてドル円の上昇は一服、5日午前には132円を割り込んでいる。
トルコリラ円は1月3日のドル円急落時に6.91円の安値を付けて10月21日高値8.17円以降の安値を更新したが、ドル円の持ち直しを受けて4日夕刻に6.92円まで反落したところも買われて5日未明には7.08円まで高値を伸ばした。5日午前序盤はドル円の反落により7.04円割れへ失速している。

【対ドルでトルコリラは年明けも史上最安値更新】

ドル/トルコリラの1月4日は18.77リラから18.70リラの取引レンジ、5日早朝の終値は18.74リラで前日終値の18.71リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
トルコ中銀が高インフレが進行する中で昨年8月から11月まで4会合連続の利下げを強行したことにより2021年12月につけたそれまでの史上最安値18.36リラを超え、9月末から最安値更新を続けて12月27日には18.79リラまで安値を切り下げてきた。
年明けもリラ安基調は変わらず、1月4日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの、終値ベースでは12月28日の18.72リラを超えて最安値更新となった。
1月3日に発表されたトルコの12月CPIが11月から大幅に低下したことによりエルドアン大統領による追加利下げ催促が警戒されていることがリラ売り要因となっている印象だ。

【トルコ12月貿易収支速報は輸入増で悪化】

【トルコ12月貿易収支速報は輸入増で悪化】

1月2日にトルコ貿易省により発表された通関ベースの12月貿易収支速報では貿易赤字は103.8億ドルとなり赤字は11月の88億ドルから悪化して8月の113.5億ドル以来となる100億ドル超えとなった。輸出は229.2億ドルで11月の219億ドルから拡大して4月の227億ドルを上回って過去最大となったが、輸入も333億ドルに拡大して過去最大となったために赤字額の拡大を招いた。トルコ統計局による確報値は1月31日発表だが、速報ベースでの大幅な貿易赤字拡大はトルコの財政基盤を弱体化させるものとしてリラ売り要因となる。
エルドアン大統領は利下げによる企業融資拡大とリラ安をテコに輸出を増やして貿易収支及び経常収支の改善を目指してきたが、世界規模のインフレによる輸入物価の上昇により輸出を上回る輸入の拡大で貿易収支改善は上手く行っていない。観光収入の改善と海外からの投資で不足を補うことになるが、世界及びトルコのインフレが若干低下したとはいえ依然として高水準にあることや、中国の感染拡大及び欧米の金融引き締めによる景気後退がトルコの輸出の伸びを鈍化させやすい状況にもある。

【公務員給与と年金支給を引き上げ】

新華社の報道によると、エルドアン大統領は1月4日に2023年前半に公務員と年金受給者の給与を30%引き上げると発表した。大統領は1月3日に公務員給与と退職公務員年金を今年上半期に25%引き上げると発表していたがさらに引き上げ率を拡大させたようだ。大統領は退職者の最低年金は2023年に3,500リラから5,500リラになるとした。
12月のトルコ消費者物価上昇率は前年比64.27%となり11月の84.39%から低下したとはいえ高インフレ状態にあり国民は厳しいインフレに苦しんでいる。6月の大統領再選を目指しての支持拡大を狙っての政策といえるが、昨年は三度の最低賃金の引き上げも行っている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日昼過ぎ安値で6.91円を付けたところから一時7.00円を超えるところまで戻したために1月4日午前時点では1月3日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1月4日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定した。
1月5日未明へ続伸したものの5日午前に反落しているため既にサイクルトップを付けた可能性がある。このため7.00円以上を維持するうちは7.05円超えから上昇再開とするが、7.00円割れからは弱気サイクル入りとして6日の日中から10日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月4日深夜への急伸で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。その後の反落で9本転換線を割り込んでいるので戻り一巡からの下落再開を警戒するが、26本基準線を上回るうちは上昇再開余地ありとし、26本基準線割れからは下げ再開とみて先行スパンからの転落を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は1月3日の一段安で20ポイントを割り込んでから5日未明に70ポイント台へ切り返したが、その後の反落で60ポイントを割り込んでいる。このため50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.00円を下値支持線、7.08円を上値抵抗線とする。
(2)7.02円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.05円超えからは上昇再開とみて7.08円試しとし、7.08円超えからは7.10円への上昇を想定する。7.10円以上は反落警戒水準とするが、7.03円を上回っての推移なら6日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.02円割れからは下向きとし、7.00円割れからは6.97円前後への下落を想定する。6.97円以下は反騰注意とするが、7.00円を割り込んでの推移なら6日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月5日
 20:30 週次 外貨準備高 12/30時点 グロス (12/23時点 829.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/30時点 ネット (12/23時点 266.7億ドル)
1月6日
 23:30 12月 財務省現金残 (11月 996.4億リラ)
1月10日
 16:00 11月 失業率 (10月 10.2%)
1月11日
 16:00 11月 経常収支 (10月 -3.59億ドル) 

注:ポイント要約は編集部

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