トルコリラ円見通し 年明けは昨年10月21日高値以降の最安値更新でスタート(23/01/04)

トルコリラ円の1月2日は7.02円から6.95円の取引レンジ、3日早朝の終値は6.98円で年末終値7.01円から0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 年明けは昨年10月21日高値以降の最安値更新でスタート(23/01/04)

トルコリラ円見通し 年明けは昨年10月21日高値以降の最安値更新でスタート

〇トルコリラ円、1/3午後6.91まで急落後に反発、4日午前序盤7.01まで戻すが7円台を維持できず
〇昨年10/21高値からの下落基調継続、21年12月安値6.17試しに向かうか
〇対ドル、1/4午前18.77近辺で推移、史上最安値更新への挑戦続く
〇トルコ12月CPI・PPI、世界的な景気減速背景に鈍化、ただし国内は依然として高インフレ状態
〇指標鈍化で政権による追加利下げの可能性が浮上、リラ安基調が続く
〇6.96以上での推移中は上昇余地ありとし、7.02超えからは7.05前後への上昇を想定する
〇6.96割れからは下落期入りとみて、1/3安値6.91試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の1月2日は7.02円から6.95円の取引レンジ、3日早朝の終値は6.98円で年末終値7.01円から0.03円の円高リラ安だった。1月3日は7.01円から6.91円の取引レンジ、4日早朝の終値は6.99円で前日比終値からは0.01円の円安リラ高だった。
10月21日に8.17円の高値をつけたところからドル円の下落に合わせて安値の切り下がりが続いているが、12月20日の日銀ショックによる暴落時につけた安値6.95円からジリ高での持ち直しも12月28日高値7.20円で一巡となり29日、30日と続落して昨年を終えていた。年明けもドル円は安値試しを続けており、1月3日昼過ぎに129.50円へ一段安した局面でトルコリラ円も6.91円へ一段安となった。その後にドル円が131円台前半まで戻したためにトルコリラ円も6.99円まで切り返し、4日午前序盤には7.01円まで戻したが、ドル円が131.50円を超えずに失速したためにトルコリラ円も7円台を維持しきれずに上値が重くなっている。

【対ドルでトルコリラは年明けも史上最安値更新】

ドル/トルコリラの1月2日は18.75リラから18.66リラの取引レンジ、3日早朝の終値は18.71リラで12月30日終値18.69リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。1月3日は18.75リラから18.67リラの取引レンジ、4日早朝の終値は18.71リラで前日終値と同じだった。
1月3日に発表されたトルコの12月CPI及びPPIが11月から大幅に伸びを鈍化させたことでエルドアン政権による追加利下げの可能性が浮上したとみてリラ安基調は変わらず、1月4日午前序盤も18.80リラ台の最安値を試している。
12月27日に18.79リラへ史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避してきたが、1月4日午前は18.77リラ近辺で推移するなど最安値更新への挑戦が続いている。

【トルコ12月CPIとPPIは大幅に鈍化】

【トルコ12月CPIとPPIは大幅に鈍化】

1月3日に発表された12月のトルコ消費者物価指数の上昇率は前月比で1.18%となり11月の2.88%から伸びが鈍化して市場予想の2.58%を下回った。前年同月比は64.27%で11月の84.39%から大幅に鈍化して市場予想の66.53%を下回った。コア指数の前月比は1.9%で11月と変わらず、前年同月比は51.9%で11月の68.9%から大幅に鈍化した。
12月の生産者物価指数の上昇率は前月比でマイナス0.24%となり11月の0.74%から鈍化、前年同月比は97.72%となり11月の136.02%から大幅に低下した。
欧米においては超ハイペースでの利上げが継続したことによる景気減速でインフレにピーク感が出ており中国も感染爆発の影響で景気低迷とインフレの鈍化がみられるため、世界的な傾向としてのインフレ高進の鈍化がトルコの高インフレの進行にも歯止めをかけている印象だ。

生産者物価上昇率の前月比がマイナスとなったのは2019年11月のマイナス0.08%以来であり、国際商品全般の下落、特に原油相場がウクライナ戦争勃発直前の水準を割り込み、NY原油では3月天井の130.50ドルから12月安値で70.08ドルをつけるところまで下落したことも影響したといえる。
しかし消費者物価上昇率の内訳では住宅が79.83%、食品飲料が77.87%、生活雑貨が73.02%、ホテルやレストランが68.48%など平均を超える上昇率であり、これまでの異常な高インフレ率と比較すれば鈍化したとはいえまだまだ高インフレ状態のままといえる。生産者物価上昇率の内訳でも電気・ガス・スチームが284.99%、水道料金が130.34%、エネルギーが224.67%、消費財が101.63%と高い。
高インフレに頭打ち感が出ていることはトルコの国民生活にはもちろんプラスだが、「利下げがインフレを抑制する」との異説を繰り返し強調して主要国が利上げに走る中で利下げを強行してきたエルドアン大統領にとっては11月に利下げサイクルの終了を宣言したトルコ中銀に対して追加利下げを迫る口実を与えるものでもあり、市場は追加利下げを警戒してリラ売りの手を緩めていない印象だ。

【当面はドル円を追いかけての展開】

ドル/トルコリラではリラ安基調での推移が続いているものの変動率ではドル円の騰落が勝っているためにトルコリラ円は昨年後半からドル円の騰落に合わせた展開を続けている。
ドル円は12月20日の日銀ショックによる暴落一服でも戻りが一巡して1月3日に129.50円まで安値を切り下げた。10月21日天井からの下落規模は1990年4月天井や1998年8月天井からの下落時等に匹敵する動きであり、中間反騰を入れながらも一段安を繰り返して行く懸念を抱えている。10月21日高値への上昇期のような米長期債利回りの大上昇が再開すればドル円もいったん大きなリバウンドを入れる可能性が考えられるものの、円安材料に欠ければ120円台中盤へとさらに安値を切り下げてゆくことも懸念される。
トルコリラ円も10月21日高値からの下落基調を継続しており、1週ないし2週程度の下げ渋り的な戻りを入れても一段安を繰り返している状況のため、2021年12月の史上最安値6.17円を試しに向かう可能性のある状況と考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日昼過ぎ安値で6.91円をつけたところから一時7.00円を超えるところまで戻したため、1月3日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は4日午前から9日午前にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地が残るが、6.96円割れからは下げ再開とみて1月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月3日午後からの反騰で遅行スパンは実線と交錯し、先行スパンへ潜り込みつつある。先行スパンを突破してくれば上昇が勢い付く可能性もあるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、26日基準線割れからは下向きとし、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月3日の一段安で20ポイントを割り込んでから4日午前序盤に60ポイントまで切り返したので、50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.96円を下値支持線、7.02円を上値抵抗線とする。
(2)6.96円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.02円超えからは7.05円前後への上昇を想定する。7.05円以上は反落注意とするが、7.00円を上回っての推移なら5日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.96円割れからは下落期入りとみて1月3日安値6.91円試しへ向かうとみる。6.92円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、6.96円を割り込んでの推移なら5日も安値試しを続けやすいとみる。

【年末年始の主な結果】

12月29日
 16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 96.9、結果 97.6)
 20:30 週次 外貨準備高 12/23時点 グロス (12/16時点 856.0億ドル、結果 829.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/23時点 ネット (12/16時点 281.3億ドル、結果 266.7億ドル)
12月30日
 16:00 11月 貿易収支 (10月 -78.7億ドル、結果 -88.0億ドル)
1月2日
 16:00 12月 イスタンブール製造業PMI (11月 45.7、結果 48.1)
 19:50 12月 貿易収支速報 (11月 88.0億ドル、結果 103.8億ドル)
1月3日
 16:00 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 2.88%、予想 2.58%、結果 1.18%)
 16:00 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 84.39%、予想 66.53%、結果 64.27%)
 16:00 12月 消費者物価コア指数 前月比 (11月 1.9%、結果 1.9%)
 16:00 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 68.9%、結果 51.9%)
 16:00 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.74%、結果 -0.24%)
 16:00 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 136.02%、結果 97.72%)

【当面の主な予定】

1月5日
 20:30 週次 外貨準備高 12/30時点 グロス (12/23時点 829.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/30時点 ネット (12/23時点 266.7億ドル)
1月6日
 23:30 12月 財務省現金残 (11月 996.4億リラ)
1月10日
 16:00 11月 失業率 (10月 10.2%)
1月11日
 16:00 11月 経常収支 (10月 -3.59億ドル) 

注:ポイント要約は編集部

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