ドル円見通し 一時130円割れへ一段安、波乱の年明けに(23/01/04)

年明け早々に131円を割り込んでの軟調推移となり、1月3日午前に131.39円へ一時的に上昇したものの早々に売られて3日昼過ぎには129.50円へ一段安した。

ドル円見通し 一時130円割れへ一段安、波乱の年明けに(23/01/04)

ドル円見通し 一時130円割れへ一段安、波乱の年明けに

〇ドル円、1/3午後129.50へ時急落後反発、深夜に131円台を回復するも4日午前は131円台を維持できず
〇昨年10/21までの大上昇を半値近く解消、安値からの反発後に一段安へ進む可能性を警戒
〇中国製造業PMIは予想下回る低水準、規制は緩和されたが春節休暇は感染最大期か
〇米長期債利回りは総じて低下、景気減速を背景に戻り一巡感、NYダウ、ナスダックは小幅な下落
〇130.50以上での推移中は131.50超えから132円前後を試す上昇を想定する
〇130.50割れからは下げ再開を警戒、129.50試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は12月31日未明に130.76円へ下落してから131.28円まで戻して昨年を終えたが、年明け早々に131円を割り込んでの軟調推移となり、1月3日午前には市場流動性が薄い中で131.39円へ一時的に上昇したものの早々に売られて3日昼過ぎには129.50円へ一段安した。
12月20日の日銀ショックによる暴落時につけた安値130.56円から6営業日をジリ高で持ち直して12月29日高値134.49円まで3.93円の戻り幅となっていたものの、日銀ショックを消化しきれず、年末年始における2023年の円高進行論がささやかれる中で129.50円へ急落したようだ。
130円割れに対する突っ込み警戒感から買い戻されて3日夜には131円に到達、深夜の反落では130円割れを回避して4日午前序盤には131.50円に迫るところまで戻したものの131円台を維持できずにいる。日銀が異次元金融緩和政策の出口戦略を取り始めたとの市場認識は変わらず、まずは年明けを安値試しでスタートしたという印象だ。

【中国の感染爆発の行方】

中国国家統計局が12月31日に発表した12月製造業PMIは47.0となり、11月の48.0から低下して市場予想の48.0を下回って好不況の分岐点である50を3か月連続で下回り、パンデミック発生時の2020年2月以来最低水準となった。また1月3日に財新/S&Pグローバルが発表した12月の中国製造業PMIも49.0となり、11月の49.4から低下した。市場予想の48.8をわずかに上回ったものの5か月連続で50を割り込み2022年9月以来の低水準となった。
中国は1月22日の春節を挟んで1月21日から1月27日までが春節休暇で7連休となる。年末年始の人流は例年よりも少なかったとされるが、中国政府がゼロコロナ政策を止めたことにより経済活動への規制は大幅に緩和されているものの市中感染の爆発はまだ収まらず、春節休暇が感染最大期になるのではないかとみられている。

感染爆発が収まり景気回復への期待感が強まれば金融市場全般がリスクオン優勢の展開へ進む可能性もあるが、パンデミック発生当初から続いてきたサプライチェーンの混乱が一層悪化するようだと欧米の金融引き締めによる景気減速と共に、世界景気全般を停滞させて金融市場全般もリスクオフ優勢の展開へ流れやすくなる。その際はドルストレートでのドル高、クロス円全般での円高、ドル円においてはドル安円高へ進みやすいのではないかと思われる。

【過去の大天井との比較】

ドル円は2021年1月6日底102.57円から2022年10月21日天井151.94円まで49.37円の歴史的な大上昇となったが、その後の下落により1月3日安値129.50円まで22.44円の下落幅となった。2021年1月からの上昇に対する3分の1押しラインが135.48円、2分の1押しラインが127.25円であり、既に半値近くを解消する下落規模となっている。
過去の大天井後の動きと比較すれば、1990年4月2日天井160.36円からの下落は1995年4月19日安値79.70円まで5年を要しており、当初の下落は1990年10月18日安値123.60円まで36.76円の下落幅となったところから1991年6月12日高値142.11円までいったん戻して一段安へと進んでいる。昨年10月21日高値からの下落期入りの初動としては1990年の下落時に近い印象がある。

2002年1月31日天井135.15円からの下落は2005年1月17日底101.66円まで続いたが、2002年7月16日安値115.36円まで18.79円の下落後にいったん同年12月5日高値125.68円まで10.32円の戻りを入れてから一段安しているので、今回も条件が揃えば安値から10円前後規模の反騰が入る可能性はあると思う。しかし米FRBが利上げペースを減速させ始めたことと日銀が異次元緩和からの脱却を目指し始めていることの対比により昨年10月までの歴史的大上昇が終焉したとすれば、安値から10円前後規模の反発が入ったとしてもその後に一段安へと進む可能性を警戒すべきということになるのではないかと思われる。

【米長期債利回りは反落で開始】

1月3日の米長期債利回りは総じて低下して開始した。指標の10年債利回りは年末比0.14%低下の3.74%、30年債利回りは同0.13%低下の3.84%、2年債利回りは0.06%低下の4.37%へとそれぞれ下げた。12月序盤にかけては米FRBが超ハイペースでの利上げを減速するとの見方で大幅に低下してきたが、利上げそのものはまだ続き利上げ状態の継続期間も長期化する可能性もあるとして年末まで戻していた。しかし世界景気減速によるインフレ低下の兆しも踏まえて戻りに一巡感が出ているところと思われる。
一方でNYダウは年末比10.88ドル安、ナスダック総合指数は同79.50ポイント安と小幅な下落でスタートした。IMF理事による「今年は多くの国が厳しい年になる」との景気悪化への継承も響いている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は1月3日午前安値で129.50円へ一段安したところから2円近い反発を入れているので、現状は1月3日午前安値を起点として戻りを試しているところと思われる。しかし1月3日の130円割れを踏まえれば戻り一巡後の反落からさらに一段安へと進みかねないところとみて130.50円割れからは弱気転換注意とし、1月3日安値129.50円割れからは10日の日中にかけて下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月3日昼過ぎ安値からの反騰継続で遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んできているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月3日の急落時に20ポイントを割り込んでから50ポイント超えへ切り返している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント前後への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、130.50円を下値支持線、131.50円を上値抵抗線とする。
(2)130.50円以上での推移中は131.50円超えから132円前後を試す上昇を想定する。131.90円以上は反落警戒とするが130.50円を上回っての推移なら5日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)130.50円割れからは下げ再開を警戒して1月3日安値129.50円試しへ向かうとみる。129.50円台では買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は129.00円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

1/4(水)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -1.2%、予想 -1.7%)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前年同月比 (10月 23.5%、予想 18.0%)
17:55 (独) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.0、予想 49.0)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 49.1、予想 49.1)
24:00 (米) 12月 ISM製造業景況指数 (11月 49.0、予想 48.5)
24:00 (米) 11月 雇用動態調査(JOLT)
28:00 (米) FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(12月13-14日開催分)

1/5(木)
08:50 (日) 12月 マネタリーベース 前年同月比 (11月 -6.4%)
10:45 (中) 12月 財新サービス業PMI (11月 46.7、予想 46.8)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 28.6、予想 28.1)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 69億ユーロ、予想 75億ユーロ)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 50.0、予想 50.0)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (10月 -2.9%、予想 -0.8%)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (10月 30.8%、予想 27.5%)

22:15 (米) 12月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (11月 12.7万人、予想 14.5万人)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -782億ドル、予想 -730億ドル)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 171.0万人)
23:20 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント挨拶
23:45 (米) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 44.4、予想 44.4)
25:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:20 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、イベント発言

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る