トルコリラ週報:『止まらぬリラ売り。対円は年初来安値更新。対ドルは史上最安値更新』(12/24朝)

トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週前半に、約1年ぶり安値となる6.97円まで急落しました。

トルコリラ週報:『止まらぬリラ売り。対円は年初来安値更新。対ドルは史上最安値更新』(12/24朝)

『止まらぬリラ売り。対円は年初来安値更新。対ドルは史上最安値更新』

〇今週のトルコ円、リラ安抑制策の延長に週前半7.40まで上昇
〇その後は日銀金融政策修正からのドル円の大暴落に週間安値6.97まで急落
〇売り一巡後は下げ渋り、トルコの政策金利据え置き等も支援し7.11レベルに持ち直す動き
〇トルコ円、テクニカルの地合い極めて弱く、ファンダメンタルズもトルコ売り材料増えつつある
〇引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.90ー7.30

今週のレビュー(12/19−12/23)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.33円で寄り付いた後、(1)トルコ政府によるリラ建て預金・為替差損補填政策(昨年12月のトルコリラ暴落時に導入されたリラ安抑制策の一つ。預入時と満期時の預金額を外貨換算した上で為替差損発生時に損失を補填する仕組み)の1年間の延長発表が支援材料となり、翌12/20にかけて、週間高値7.40円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)日銀によるサプライズ的なYCC見直し決定や、(3)上記2を背景としたドル円相場の大暴落(円金利急上昇→円キャリートレード逆流→ドル円大暴落→トルコリラ円連れ安)、(4)トルコ12月消費者信頼感指数(結果75.6、前月76.6)の冴えない結果が重石となり、同日海外時間に、週間安値6.97円(昨年12/20以来、約1年ぶり安値圏)まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)短期間で下落した反動(自律反発)や、(6)トルコ中銀による政策金利の据え置き決定(トルコ中銀はエルドアン大統領の意向に沿う形で、4カ月で500bpの大幅利下げを実行するも、同氏が求める1桁台に達したことから、今月は9%の政策金利の据え置きを決定)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/24午前4時45分現在)では、7.11円前後まで持ち直す動きとなっております(一方、対ドル相場は週末にかけて史上最安値を更新)。

来週の見通し(12/26−12/30)

トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週前半に、約1年ぶり安値となる6.97円(昨年12/20以来の安値圏)まで急落しました。この間、主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」も成立しており、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(直近で発表されたトルコ経済指標は軒並み不冴な結果)や、(2)トルコリラの実質金利急低下(国内CPIが約24年ぶり高水準に達しているにも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の求めに応じる形で先月までに4会合連続で大幅利下げを実施→今月は久々に政策金利の据え置きを決定したものの、来年の大統領選に向けてエルドアン大統領が再び緩和政策を志向し始める恐れがあり)、(3)トルコ中銀による通貨安抑制手段の乏しさ(トルコ政府・中銀によるリラ売り抑制策が限界に達しているとの思惑。事実今週はリラ建て預金・為替差損補填政策の1年間延長が報じられたにも係わらずトルコリラの反応は限定的)、(4)日銀による緩和修正に伴う円キャリートレード逆流懸念など、トルコリラ円相場の続落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ12月設備稼働率とトルコ11月貿易収支に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.90ー7.30

注:ポイント要約は編集部

※尚、来週(12/31)はトルコリラ週報を休刊とさせていただきます。次号は1/7を予定しております。今年も一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

『止まらぬリラ売り。対円は年初来安値更新。対ドルは史上最安値更新』

トルコ円日足

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