トルコリラ円見通し 12月20日の日足大陰線下部に張り付いて暴落一服の下げ渋り
〇トルコリラ円、ドル円が暴落一服で買い戻される中、12/22に7.11へと戻り高値を若干切り上げる
〇安値は12/21夕刻と12/22午前に7.05をつけたところで支えられ、やや切り上がり型の持ち合いで推移
〇対ドル、12/22午後18.69へドル高リラ安となるも、12/23早朝にかけ18.65へドル安リラ高優勢の動き
〇しかし12/23午前序盤は18.68へと再び売られる
〇トルコ中銀は政策金利を9.0%に据え置き、予想通りでサプライズ感なし
〇7.07以上での推移中は上昇余地ありとし、7.11超えからは7.13前後への上昇を想定する
〇7.05割れからは下落期入りとみて、7.03前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月22日は7.11円から7.05円の取引レンジ、23日早朝の終値は7.08円で前日終値の7.09円からは0.01円の円高リラ安だった。
12月20日の日銀金融政策修正をきっかけとしたドル円の暴落に合わせてトルコリラ円は12月20日午前高値7.37円から21日未明安値6.99円(ベンダーによっては6.97円や6.95円等)へ暴落したが、ドル円が暴落一服で買い戻されてやや底上げ基調を見せながら132円を挟んだ持ち合いとなる中でトルコリラ円も21日に7.10円、22日に7.11円へと戻り高値を若干切り上げ、安値は21日夕刻と22日午前に7.05円をつけたところで支えられるやや切り上がり型の持ち合いで推移している。
【ドル円は日銀ショックを消化しきれず】
日銀は12月20日にマイナス金利と量的緩和及びYCC(イールドカーブコントロール)による金融緩和政策を維持するとしたものの長期金利0%誘導のための許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げたため、市場は事実上の利上げ措置と受け止めて急激な円高となった。暴落は一服しているもののアベノミクスと呼応した黒田日銀の異次元金融緩和が終焉に向かい始めたとすれば今後も金融緩和終了へ向けた修正が続くとの見方もあり、簡単には12月20日の日銀ショックを消化できない印象だ。12月23日の米GDP確定値の上方修正によるドル高反応もドル円においては限定的なものに留まっており、下げ渋り一巡による下落再開への懸念を抱えている。
トルコリラ円はドル円と同調した動きを続けており、12月20日の日足大陰線に続いて21日と22日は小線で大陰線の下部にとどまっており、ドル円と同様に持ち合いからの下放れへ進みやすい状況と思われる。
【ドル/トルコリラは最安値試し続く】
ドル/トルコリラの12月22日は18.69リラから18.65リラの取引レンジ、23日早朝の終値は18.64リラで前日終値の18.67リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
12月22日夜はトルコ中銀が20時に政策金利の現状維持を発表したものの市場予想通りで反応は鈍く、22時半の米GDP確定値の上方修正により全般がドル高反応となった局面でもさほど影響されず、午後の18.66リラ近辺から18.69リラへドル高リラ安となったものの、23日早朝にかけては18.65リラへとドル安リラ高優勢の動きで下げ幅を解消した。しかし23日午前序盤は18.68リラへと再び売られている。
18.60リラ台後半から18.70リラ台の安値を試しつつ、トルコ中銀によるリラ安防衛の動きで安値が抑えられ、リラ高場面では早々に売り戻される展開の範囲で推移しているところだ。
12月22日夜に発表された週次の外貨準備高は12/16時点のグロスで856.0億ドルとなり前週の848.1億ドルから増加、ネットでは281.3億ドルとなり前週の267.56億ドルから増加した。最近の外貨準備高増加はリラ高要因だが市場への影響は限定的だ。
【トルコ中銀は予想通りに政策金利を据え置き】
トルコ中銀は12月22日のMPC(金融政策委員会)で政策金利の週間レポレートを9.0%で据え置いた。市場予想も9.0%での据え置きでほぼ一致し、11月の前回会合で利下げサイクルの停止が宣言されていたためサプライズ感はなかった。
エルドアン大統領による「利下げがインフレを抑制し融資の拡大と経済の活性を高め、リラ安が輸出を拡大して経常収支の改善を招きトルコ経済は高度成長を続ける」という政策姿勢と「年末までに政策金利を一桁とする」との発言を背景にトルコ中銀は今年8月に政策金利をそれまでの14%から13%へ引き下げ、9月に12%へ、10月に10.5%へ、11月には9.0%へ引き下げてきた。11月会合では利下げを当面終了すると声明で宣言し、今回の据え置きも11月の声明に沿ったものだった。
しかしエルドアン大統領は12月20日に「インフレ率は来年末に20%前後まで低下する」とインフレ収束見通しを示す演説を行っており、1月3日に発表される12月のトルコCPI上昇率が11月に続いて低下するようだとインフレ低下を先取りして「さらなる利下げ」を大統領が中銀に対して要請しかねないと市場は警戒している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月21日未明安値から暴落一服の戻りに入ったとして21日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りとして23日午前から27日午前にかけての間への上昇を想定してきた。
12月22日夜へ戻り高値を若干切り上げた後も大きく崩れていないのでまだ上昇余地が残るが、暴落後の反発としては勢いに欠けるため戻り一巡からの下落再開も懸念されるところだ。7.05円を上回るうちは上昇余地ありとするが、7.07円割れを弱気転換注意とし、7.05円割れからは弱気サイクル入りとして24日未明から28日未明にかけての間への下落期入りを想定する。
60分足の一目均衡表では12月21日未明安値からの戻りを継続しているために遅行スパンは好転しつつあるものの先行スパンの下部に潜り込んだ程度にとどまっている。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月20日午後から21日未明にかけての一段安で指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから上昇しており、23日午前序盤には60ポイントに到達しているので70ポイントに迫る上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開と仮定して30ポイント台への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.05円を下値支持線、7.11円を上値抵抗線とする。
(2)7.07円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.11円超えからは7.13円前後への上昇を想定する。7.13円以上は反落注意とし、その後に7.07円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)7.05円割れからは下落期入りとみて7.03円前後への下落を想定する。7.03円以下は反騰注意とするがドル円が急落する場合等は7.00円試しへ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
12月23日
17:00 11月 観光客数 前年同月比 (10月 38.36%)
12月26日
16:00 12月 製造業信頼感指数 (11月 97.9)
16:00 12月 設備稼働率 (11月 75.9%)
12月29日
16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 96.9)
20:30 週次 外貨準備高 12/23時点 グロス (12/16時点 856.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12/23時点 ネット (12/16時点 281.3億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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