トルコリラ円見通し 日銀ショックによるドル円の暴落一服で7円割れから戻す(22/12/22)

トルコリラ円の12月21日は7.10円から7.04円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.09円で前日終値の7.05円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 日銀ショックによるドル円の暴落一服で7円割れから戻す(22/12/22)

日銀ショックによるドル円の暴落一服で7円割れから戻す

〇トルコリラ円、ドル円の反発にあわせ21日未明安値6.99から7.10まで戻す
〇しかし上値重く抵抗線がほぼフラットで下値支持線が切り上がるレンジ縮小型の三角持ち合いの様相
〇日銀ショックを材料消化しきれず、戻りを試しつつももう一段安へ向かう可能性を抱えた状況
〇対ドルは18.60台で小動き、徐々にレンジの中心値が切り下がりリラ売り圧力優勢の印象
〇本日20時トルコ中銀金融政策発表、政策金利の事前予想は9%で現状維持
〇7.05以上での推移中は上昇余地あり、7.11超えからは7.13前後への上昇を想定
〇7.05割れからは7円前後試しを想定、7円前後では買い戻しも入りやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の12月21日は7.10円から7.04円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.09円で前日終値の7.05円からは0.04円の円安リラ高だった。
12月20日昼過ぎに日銀が長期金利0%誘導への許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げる政策変更を行ったことを事実上の利上げと受け止めてドル円はサプライズ的な大暴落となり、20日午前高値137.47円から21日未明安値130.56円まで6.91円の大幅下落となったが、パニック売りがひとまず落ち着いたことで21日深夜には132.52円まで戻した。

トルコリラ円はドル円の暴落とその後の反発に合わせ、20日午前高値から21日未明安値6.99円(ベンダーによっては6.97円や6.95円の安値提示あり)へ暴落したところから7.10円まで戻した。しかし21日午前以降は7.10円前後の水準では上値が重く、21日未明安値から21日夕安値へと底上げをしていることで、上値抵抗線がほぼフラットで下値支持線が切り上がるレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっている。
ドル円もトルコリラ円等のクロス円全般も直前の暴落規模と比較すれば21日未明安値からの戻りは勢いに欠けるものであり、暴落一服ではあるが日銀ショックを材料消化しきったとは言えず、戻りを試しつつももう一段安へ向かう可能性を抱えた状況と思われる。

【ドル/トルコリラは18.60リラ台で小動き】

ドル/トルコリラの12月21日は18.71リラから18.65リラの取引レンジ、22日早朝の終値は18.67リラで前日終値の18.65リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。ベンダーによっては21日の安値は18.67リラから18.75リラ等が見られたが、手元のデータでは12月13日の18.71(下三桁では18.709リラ、21日は18.705リラ)と並ぶ史上最安値水準となった。
10月以降は18.50リラ前後で売られて18.60リラ台の最安値を繰り返し試しつつ狭いレンジで膠着した状況が続いてきたが、徐々にレンジの中心値が切り下がっており、トルコ中銀によるリラ安防衛で抑え込まれているもののリラ売り圧力が優勢となってきている印象もある。12月17日にはリラ建て預金の為替差損補填政策の1年間延長も決まったもののリラ買い材料にはならなかった。
為替市場全般はドル円が21日未明への大暴落一服でやや戻し、ユーロドルは16日以降を1.060ドル割れを買われつつ1.0650ドル前後で売られる持ち合いで方向感に欠け、ポンドドルは12月15日早朝高値以降の安値を更新する下落となるなどドルの強弱もまちまちとなっている。今週末の米個人消費支出デフレーターへの反応が今後の方向性に影響を及ぼすと思われる。

【今夜、トルコ中銀の金融政策発表あり】

12月22日20時にトルコ中銀の金融政策発表がある。政策金利の週間レポレートは4会合連続の利下げで14.0%だったところから9.0%まで低下し、エルドアン大統領による「利下げでインフレを抑制する、年末までに政策金利を一桁とする」という一般的な金融政策姿勢と異なる利下げ要求により高インフレ進行にもかかわらず利下げが繰り返されてきたが、トルコ中銀は11月会合で利下げサイクルをひとまず終わらせるとした。
今夜の政策金利については事前予想に参加したエコノミスト全員一致で9%の現状維持と見込まれているが、来年以降について暫く現状維持が続くのか、エルドアン大統領によるさらなる利下げ要求が見られるのか注目されるところだ。

トルコの大統領選挙は来年6月までに実施される。再選を目論むエルドアン政権は対抗馬のイスタンブール市長を公務員侮辱罪で起訴して追い落としを図る一方で高い経済成長による実績をアピールしている。12月21日の新華社報道で大統領は「今後数か月でインフレは目に見えて低下する、2023年を生活改善の転換点とする」と演説したという。また9%へ利下げしたことを踏まえて積極的な投資をするように企業へ呼びかけたとされる。果たしてエルドアン大統領の思惑通りに大統領再選へ向けて巧く立ち回れるのか試される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月21日未明安値から暴落一服の戻りに入っているため、21日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。サイクルトップ形成期は20日午前高値を基準とすれば23日午前から27日午前にかけての間と想定されるが暴落直後のため早々に下落に転じる可能性もあるところのため、7.05円以上での推移中は上昇余地ありとするが、7.05円割れからは下落再開を疑い21日未明安値試しとし、底割れからは24日未明から28日未明にかけての間への下落期入りを想定する。

60分足の一目均衡表では12月21日未明安値からの戻りを継続したことで遅行スパンが好転しているが先行スパンから転落した状況が続いている。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが先行スパンの下限近辺が上値抵抗となりやすいとみる。遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月20日午後から21日未明にかけての一段安で指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから50ポイント台へ持ち直している。40ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.05円を下値支持線、7.11円を上値抵抗線とする。
(2)7.05円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.11円超えからは7.13円前後への上昇を想定する。7.13円以上は反落注意とし、その後に7.07円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)7.05円割れからは7円前後試しを想定する、7円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、ドル円の一段安などにより下げ足が速まる場合は6.95円前後へ向かう可能性もあるとみる。また7円を割り込まない範囲で推移する場合も7.05円以下での推移が続くなら23日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月22日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 12/16時点 グロス (12/9時点 848.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/16時点 ネット (12/9時点 267.56億ドル)
12月23日
 17:00 11月 観光客数 前年同月比 (10月 38.36%)
12月26日
 16:00 12月 製造業信頼感指数 (11月 97.9)
 16:00 12月 設備稼働率 (11月 75.9%)

注:ポイント要約は編集部

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