日銀ショックによる急激な円高で一時は昨年12月以来の7円割れに
〇トルコリラ円、日銀ショックによる円高に伴い、高値7.37から21日未明安値6.95まで暴落
〇昨年12/2安値7.17以降の持ち合いから下放れ、3か月規模の下落期入りの可能性も
〇対ドル、18.60リラ台での持ち合い相場継続にとどまる
〇トルコ12月消費者信頼感指数、6か月ぶりに失速、製造業PMIは3か月連続低下、景気後退感が強まる
〇7.10を超える場合は7.13前後への上昇を想定、7.07割れからは下げ再開とみる
〇7.03以下での推移中は下向きとし、6.99割れからは6.95前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月20日は7.37円から6.99円の取引レンジ、21日早朝の終値は7.05円で前日終値の7.33円から0.28円の円高リラ安となった。ベンダーによっては6.97円や6.95円の安値提示が見られた。
日銀は12月20日の金融政策決定会合で長期金利を0%程度に誘導するための許容変動幅を従来までの上下0.25%から上下0.50%へ拡大した。許容変動幅の変更は2021年3月以来であり、市場は事実上の利上げと受け止め、概ね現状維持と予想していたこともあり強烈なサプライズとして円の買い戻しが殺到、ドル円は日銀声明発表前高値137.47円から21日未明安値130.56円まで7円近い大暴落となった。
トルコリラ円はドル円の暴落に合わせて午前高値7.37円から21日未明安値6.95円まで5.7%安の暴落となり昨年12月20日につけた史上最安値6.17円以来の7円割れとなった。
ドル円は21日未明安値からやや買い戻されて21日午前序盤には132円に到達、トルコリラ円も7.08円まで戻したが、日銀ショックを材料消化したとはいえずまだ一段安懸念の残る状況と思われる。
【ドル/トルコリラは18.60リラ台で小動き】
ドル/トルコリラの12月20日は18.68リラから18.63リラの取引レンジ、21日早朝の終値は18.65リラで前日終値の18.64リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
日銀金融政策発表からドル円が暴落的な下げとなり、当初はドル安円高が引き金となってユーロや豪ドル等が反騰するドル安反応となったが、ユーロ円や豪ドル円等の暴落がユーロ売りや豪ドル売りを加速させたことで一転してユーロドルや豪ドル米ドルが急落、その後はドル安感が戻ってユーロや豪ドル等が反騰するという乱調な展開となった。日銀ショックに振り回された印象もあるが、ドル/トルコリラは円買いリラ売りによる圧迫も大きな影響とならず、16.63リラ前後で売られ18.68リラ近辺で買われる持ち合い相場の継続で小動きにとどまった。
【トルコ12月消費者信頼感指数は若干の悪化】
12月20日夕刻に発表されたトルコの12月消費者信頼感指数は75.6となり11月の76.6から1.3%の悪化となった。
昨年3月の86.7をピークに低下傾向に入り、今年6月には63.4まで大幅低下が続いてきたが、7月から11月まで5か月連続で改善していた。高インフレとリラ安による消費者心理の悪化状況は継続しているものの最悪期から脱却するのではないかとの期待感から持ち直してきた印象だったが80ポイント台回復には至らずに6か月振りに失速したことは先行き不安を反映したものと思われる。
内訳では家計の現況が11月の58.3から57.4へ悪化、家計の1年後の見通しについては11月の75.8から75.4へ悪化、景気全般の1年後の見通しについては11月の80.5から77.3へ悪化、向こう1年間の耐久財購入については11月の91.9から92.6へ若干の改善となった。
先に発表されたイスタンブールの製造業PMIが3か月連続で低下して好不況の分岐点である50を下回っていることを踏まえれば、製造業PMIと消費者信頼感が翌月も連続で悪化するようだと景気後退感が強まりかねないと思われる。
【12月2日からの持ち合いを下放れ】
ドル円の大暴落によりトルコリラ円は12月2日安値7.17円以降のジグザグ型の持ち合いから下放れとなった。7円割れは史上最安値へと暴落した昨年12月20日以来だが、2021年1月から続いてきたドル円の歴史的な大上昇が今年10月21日高値で一巡して下落期に入っている印象を強めているため、トルコリラ円も12月2日以降の持ち合い下放れによる一段安入りにより、昨年12月20日の史上最安値6.17円を試す流れへ進み始めたのではないかと懸念される。
現在の下落は10月21日高値から始まり2か月を経過したところだが、昨年9月1日からの下落は12月20日まで3か月半、昨年12月23日高値からの下落は3月11日安値まで3か月弱、今年4月28日高値からの下落は8月2日安値まで3か月であり、今回も10月21日高値から3か月規模の下落期に入っている可能性が懸念される。
ドル円が130円台を維持して暴落一巡とすればトルコリラ円も12月2日以降の持ち合いレンジへ復帰する可能性があるが、ドル円が130円割れへ進めばトルコリラ円も史上最安値に迫る可能性も出てくると警戒したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月19日早朝へ一段安したところからの切り返しを続けて12月16日未明高値からの下げ幅に対して半値以上を解消したため、12月20日午前時点では19日朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたところとした。また高値形成期を20日の日中から23日未明にかけての間と想定して戻りは短命の可能性もあると注意し、12月19日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
12月20日昼からの暴落により12月20日午前高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は22日朝から26日朝にかけての間と想定されるのでまだ一段安警戒とし、強気転換には7.15円に迫るような反騰が日露尾と思われる。
60分足の一目均衡表では12月21日未明への大暴落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも大きく転落している。遅行スパンが好転できないうちは一段安警戒とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンに届かないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は12月20日午後から21日未明にかけての一段安で指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られるので40ポイント台へ戻す可能性があるとみるが、50ポイント手前は反落警戒とし、30ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.99円を下値支持線、7.10円を上値抵抗線とする。
(2)7.08円から7.10円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。7.10円を超える場合は7.13円前後への上昇を想定するが、その後の反落を警戒し、7.07円割れからは下げ再開とみる。
(3)7.03円以下での推移中は下向きとし、6.99円割れからは6.95円前後への下落を想定する。6.95円以下は反騰注意とするが、7.03円以下での推移か直前安値から0.10円を超える反騰とならないうちは22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月22日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
20:30 週次 外貨準備高 12/16時点 グロス (12/9時点 848.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12/16時点 ネット (12/9時点 267.56億ドル)
12月23日
17:00 11月 観光客数 前年同月比 (10月 38.36%)
12月26日
16:00 12月 製造業信頼感指数 (11月 97.9)
16:00 12月 設備稼働率 (11月 75.9%)
注:ポイント要約は編集部
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