YCC変更への雑感
主要国の金融政策決定会合でも唯一無風通過と思われていた日銀がYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作付き量的・質的緩和)を変更するという超サプライズに出たことで、円金利は急上昇、株は急落、ドル円は東京前場の高値から7円近い円急騰劇を演じています。
これまで日銀は10年債利回りを0.25%に抑えるために指値オペを実施してきましたが、その変動幅を±0.5%(実際は+0.5%)に拡大し、指値オペの水準も0.5%へと変更するとの発表は実質的な引き締めへの転換第一歩となります。YCC導入時には追加緩和というよりもマイナス金利導入による長期金利の低下という副作用を避ける目的が強かったはずですが、いつの間にか緩和の補完という方向に変化し、指値オペによる金利上昇抑制を狙ったあたりからは市場参加者の多くも緩和の一環としてしか見ていなかったと思います。
さらに主要国中銀が引き締めに動き、日本のCPIも大きく上昇する中で、マイナス金利も低く抑えられたYCC、さらに140円を超えても円安を容認する黒田総裁には日銀内外に反発する動きも強かったと見られます。12月に入ってからのポスト黒田総裁による政策点検の話も、政府と日銀による共同声明見直しの話も火の無いところに煙は立たずです。結局はYCCの変更というところから日銀の緩和から引き締めへの転換第一歩が始まったと見てよいかと思います。
すぐにマイナス金利をやめるとも思えませんが白川前日銀総裁も任期途中で退任したことを考えると黒田総裁も4月まで持たずに途中で退任、早い段階で出口戦略への道筋を整えるという動きが2023年第1四半期のどこかで起こりうるシナリオです。年明け早々にも更なる緩和からの転換という動きが水面下では探られているという前提で日本の金融政策についても考える時期に来ているように感じた一日でした。
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