ドル円一時132円台前半を回復、円買い一服で一旦落ち着くも水準探り続く
21日午前の東京市場でドル円はじり高推移。昨晩海外市場で一段の円高が進行した流れを受け、朝方、131.74レベルで取引の始まったドル円は、昨日海外時間に安値130.58まで下落し、昨日の高値からの値幅が6円90銭に及ぶ大暴落となったことで一旦売りが止み、徐々に下値を切り上げる動きとなりました。ドル円は10時半過ぎには132円台を回復、一時132.32まで上げた後、東京時間正午現在は132.01レベルで取引されています。
予想外の日銀の本邦長期金利上昇許容から一夜明けて、各市場は未だ適正水準を測りかねている様子です。政策変更の直接の影響としては0.25%で抑えられてきた日本の10年物国債の利回りが本日正午時点で0.46%で取引されており、会合前に比べ0.21%上昇したに過ぎません。今年だけでも政策金利引き上げの影響で一時2.5%以上上昇した米国の10年債利回りに比べれば、微々たるもの、金利差の縮小は誤差の範囲と言えるかもしれません。
ただ、当面は動かないとのコンセンサスが出来上がっていた日本の長期金利が突然上昇したこと、+0.25%を無制限介入で維持してきたことによる市場の歪みにつけ込んだ海外勢を中心とした投機の動きに日銀が屈した形になったこと、黒田総裁が市場の更なる利上げ要求につながる可能性を否定しなかったこと等は、足元で突然地殻変動が起こったようなもので、実際動いた金利水準以上のインパクトがあったことは間違いないでしょう。
一つ言えることは今回の政策修正が何より効果的な円安解消の「市場介入」となったことで、昨日は神田財務官の「安定的推移が望ましい」との急激な円高への牽制コメントがすでに見られましたが、スピードはともかく、130円前後のドル円の絶対水準に当局として問題があるはずもなく、輸入物価上昇等の難題が霧散することからいっても本気で市場に干渉するとは思えません。
一方で日銀があまりに唐突に政策変更を行ったため、為替の動きについてこられたのは足の短いスポット系の為替ディーラーか株の現物売買に携わる人ぐらいのもので、海外への投資の含み益を享受していた投資筋や、輸出企業等の多くは、今後の円金利上昇と円先高観が強まる可能性を新たに変数に加え、外貨建て投資や債権のヘッジ率を上げる等操作する必要に迫られ、更に円買いが続くことも考えられます。
テクニカルにはドル円は200日移動平均線を大きく下放れドル売り地合いが強まっていますが、10/21の高値151.95を起点とした下降チャネルの下限(本日128.72レベル)までにはまだ距離があり、また、今回の中期の上昇の起点となっている2021年1月安値102.59から上記高値までの上昇の半値戻し127.27もその下に控えていることから、8/2安値130.41を切った場合には、まだまだ下落余地は大きそうです。一方で上方向は12月上旬からずっと絡んできた転換線が134.37レベル、昨日下抜けた200日線が135.80レベルと今の戻りの勢いからはやや遠い印象です。
ドル円は、株価の動向等睨みながら、しばらくは日銀の不意打ちの混乱からの落ち着きどころを探す動きが続きそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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