ドル円見通し 米GDP確定値の上方修正による上昇は勢い付かず、日銀ショックを引きずる(22/12/23)

ドル円も22日深夜に132.72円まで戻り高値を切り上げたものの上昇は勢い付かず、23日午前序盤には132.10円台へ失速している。

ドル円見通し 米GDP確定値の上方修正による上昇は勢い付かず、日銀ショックを引きずる(22/12/23)

米GDP確定値の上方修正による上昇は勢い付かず、日銀ショックを引きずる

〇ドル円、米GDP確定値の上方修正等をきっかけに、12/22深夜132.72まで戻り高値を切り上げる
〇しかし上昇は勢い付かず12/23午前序盤132.10台へ失速、日銀ショックから警戒感引きずっている様子
〇今夜は米11月PCEデフレーター発表、年末への方向性を左右する可能性
〇米GDP確定値は予想以上の上方修正、FRBの利上げ期間が長期化するとの見方に寄与
〇米長期債利回りは総じて上昇、NYダウは一時800ドル超の下げ幅となる
〇132.72超えからは、133円台前半(133.00から133.50)を目指す上昇を想定する
〇131.63割れからは、12/21未明安値130.56を試す下落期入りとみる

【概況】

ドル円は12月20日の日銀による長期金利0%誘導のための許容変動基準上限の引き上げをきっかけとして20日午前高値137.47円から21日未明安値130.56円まで7円近い大幅下落に見舞われたが、その後は暴落一服で132円を挟んだ持ち合いでの推移となっている。
12月22日夜は米7-9月期GDP確定値の上方修正や新規失業保険申請件数が予想を下回ったこと等からドル高反応が見られてユーロドルや英ポンドが12月15日以降の安値を更新し、ドル円も22日深夜に132.72円まで戻り高値を切り上げたものの上昇は勢い付かず、23日午前序盤には132.10円台へ失速している。12月20日の暴落的な下落は一服しているものの日銀が金融政策姿勢を修正し始めたことにより、異次元金融緩和の終焉へ向けた出口戦略の前倒しが続くのではないかとの警戒感を引きずっているようだ。

今夜は米11月PCEデフレーターの発表がある。米経済指標が強ければ23日夜のようにFRBによる利上げ期間の長期化が連想されてドル高株安となりやすいが、弱い内容となれば23日夜とは逆に利上げ長期化不安が後退してドル安株高となりやすく、年末への方向性を左右しやすいところと注意したい。

【米GDP確定値は予想以上の上方修正】

12月22日夜に発表された米7-9月期GDP確報値は年率換算の前期比で3.2%となり改定値の2.9%から上方修正となり市場予想の2.9%を上回り3期ぶりのプラス成長が確定した。7-9月期の個人消費支出(PCE)は前期比2.3%となり改定値の1.7%から大幅上方修正されて市場予想の1.7%を上回った。コアPCEも前期比4.7%となり改定値及び市場予想の4.6%を上回った。住宅投資が27.1%減で改定値の26.8%減からさらに下方修正となったのは利上げに伴う住宅ローン金利上昇が影響したものだが、全般の米国景気は底固いことを印象付け、米FRBの利上げ期間が長期化するとの見方に寄与した。

米労働省による週間新規失業保険申請件数は21.6万件となり前週の21.4万件から増加したものの市場予想の22.2万件を下回り、失業保険受給者総数は167.2万人で前週の167.8万人及び市場予想の168.3万人を下回った。これらも労働市場の堅調さを示して米FRBによる利上げ長期化を正当化する材料となった。
米調査会社コンファレンスボードによる11月の景気先行指数は前月比1.0%低下して10月の0.9%低下及び市場予想の0.4%低下よりも悪かったことは深夜以降のドル高に若干ブレーキをかけた印象だ。

【米10年債利回りは続落後に反発、NYダウは大幅下落】

12月22日の米長期債利回りは総じて上昇、長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の3.68%となった。12月16日から3連騰となり、21日は3.72%まで上昇したところから失速して前日比0.03%低下の3.66%となったが、22日は一時3.63%まで低下したもののGDP上方修正をきっかけに上昇に転じてプラス圏へ戻した。30年債利回りは0.02%上昇の3.75%、2年債利回りも0.06%上昇の4.28%となり21日の0.04%低下を解消する反発となった。
一方でNYダウはGDP上方修正による利上げ期間長期化への懸念が先行したことで前日比348.99ドル安と下落したが、下げ幅は一時800ドル安を超えた。ナスダック総合指数も233.25ポイント安と下落した。GDPの上昇修正なら景気拡大期待により株高反応となってもよいものだが、当面の利上げ継続と利上げ期間の長期化が先行きの景気減速をもたらすとの見方が強まっているために通常とは逆に株売り材料とされた。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は日銀ショックによる暴落一服で12月21日未明安値130.56円から戻しており、22日深夜高値132.72円まで2円を超える戻り幅となったが、半日で7円近い大暴落の後としては下げ渋りの持ち合い程度の動きとなっている。
12月21日未明安値130.56円から22日午前安値131.63円へと底上げしており、戻り高値もやや切り上がっているため、現状は「上値抵抗線が若干切り上がり気味で下値支持線が切り上がるレンジ縮小型の三角持ち合い」の様相と思われる。このため12月22日午前安値割れを回避するうちは23日の日中から週明けの26日ないし27日にかけての上昇余地ありとするが、22日午前安値を割り込むところからは21日未明安値以降の戻り一巡による下落再開とみて23日夜から28日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では暴落一服後の132円を挟んだ持ち合いで戻り高値を若干切り上げてきているために遅行スパンは実線を若干上抜いてきているものの先行スパン内に潜り込んだ状況にとどまっている。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月20日午後から21日未明への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから戻してきたが60ポイントに届かない程度にとどまっている。材料を伴って22日夜高値を超えれば70ポイントを目指す上昇へ進む可能性があるが、50ポイント割れからは下げ再開注意とし、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月22日午前安値131.63円を下値支持線、22日夜高値132.72円を上値抵抗線とする。
(2)132円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、132.72円超えからは133円台前半(133.00円から133.50円)を目指す上昇を想定する。ただしその後に132.50円を割り込むところからは下げ再開注意とする。
(3)132円割れでの推移が続く場合は下向きとし、131.63円割れからは12月21日未明安値130.56円を試す下落期入りとみる。底割れからは来週への続落で130.00円、129.50円、129.00円を順次試す下落期入りと考える。

【当面の主な予定】

12/23(金)
米国・債券市場はクリスマスに伴う短縮取引
22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比 (10月 1.0%、予想 -0.9%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 0.5%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.7%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 個人消費支出(PCE) 前月比 (10月 0.8%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 6.0%、予想 5.5%)
22:30 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (10月 5.0%、予想 4.6%)

24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 59.1、予想 59.1)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数・年率換算 (10月 63.2万件、予想 60.0万件)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数 前月比 (10月 7.5%、予想 -5.1%)



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