ドル円、下落後に持ち直す展開。本日は本邦CPIとクリスマス前の流動性低下に要注意
〇ドル円、米3QGDPや新規失業保険申請件数の好調等に、米国時間に132.71まで急伸
〇引けにかけ反落するも底堅く、132円台前半で推移
〇ユーロドル、米金利低下と独債利回り上昇に1.0658まで上昇後、株価下落で1.0574まで反落
〇ドル円、テクニカル的に上値余地乏しく、ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測が重石に
〇本日本邦11月CPIに要注目、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:131.25ー133.25
海外時間のレビュー
22日(木)のドル円相場は下落後に反発。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)日銀ショックの余韻継続(円キャリートレード解消の思惑)、(3)本邦輸出企業の実需のドル売りが重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値131.65まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米7ー9月期GDP確報値(結果3.2%、予想2.9%)の市場予想を上回る結果や、(5)米新規失業保険申請件数(結果21.6万件、予想22.0万件)の良好な結果、(6)上記4、5を背景とした米長期金利の反転上昇が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値132.71まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/23午前4時45分現在)では、132.45前後で推移しております。
22日(木)のユーロドル相場は上昇後に急反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)デギンドスECB副総裁による「50bpの利上げは当面標準となる可能性」とのタカ派的な発言、(3)独債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(4)欧州株の堅調推移が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0658まで上昇しました。しかし、12/20高値1.0660をバックに伸び悩むと、(5)米経済指標の良好な結果や、(6)上記5を背景とした米金利の反転上昇、(7)株式市場の冴えない動き(米株急落→リスク回避のドル買い再開)、(8)心理的節目1.0600の下方ブレイク(短期筋の見切り売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0574まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/23午前4時45分現在)では、1.0576前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は12/20に記録した約4ヵ月ぶり安値130.60をボトムに反発に転じると、昨日は一時132.71まで持ち直しましたが、上方より複数のレジスタンポイントが垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が成立していること、ダウ理論の短期下落トレンドが完成していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(ここからの更なる上昇は容易では無く、一巡後の反落リスクに要警戒。ドル売り・円買いトレンド継続中のため、ロングで入るよりも戻りを売っていくスタンスを維持)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(米経済のオーバーキルが想起される中、市場では「FRBは早晩積極的な利上げスタンスを維持できなくなるだろう」との見方が主流)や、(2)日銀による金融緩和の脱却観測(12/20の日銀ショックに続いて、来年1/18の会合でもサプライズが打ち出されるとの思惑あり。
事実、榊原英資元財務官は「日銀が次回会合で10年物国債利回りの上限を再度引き上げる可能性がある」「その場合1ドル120円付近まで円が高騰するだろう」と発言)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小観測(円キャリートレード解消の思惑)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。こうした中、本日は、本邦11月消費者物価指数や、米11月耐久財受注、米11月個人所得、米11月個人支出、米11月PCEデフレーター、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数、米11月新築住宅販売件数などに注目が集まります。上記の中で特に本邦11月消費者物価指数(日本時間8時30分発表)への注目度が高く、仮に前年比4%の大台に乗せてくるような事態となれば、日本版CPIショックとして、ドル円相場に強い下押し圧力が加わる恐れもあるため、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(本日はクリスマス休暇前で市場参加者の激減が見込まれるため、流動性低下の隙を付いたフラッシュクラッシュ発生リスクに要警戒)。
本日の予想レンジ:131.25ー133.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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