『ラマポーザ大統領再任で一時上昇も日銀によるYCC見直しを受けて急反落』
〇今週の南ア円、ラマポーザ大統領の再任決定からの安堵のランド買いに週前半7.93まで急伸
〇週央日銀の政策修正によるドル円暴落に7.53まで急落
〇その後はドル円持ち直し7.82まで反発して越週
〇南ア円上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がり、複数の売りシグナルも点灯、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア経済の先行き不透明感他悪材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.95
今週のレビュー(12/19−12/23)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.71円で寄り付いた後、(1)ラマポーザ大統領の再任決定(与党ANCの党首選で現職のラマポーザ大統領がムキゼ元保健相を破り再任決定→得票率はラマポーザ氏が57%、ムキゼ氏が43%)や、(2)上記1を背景とした安堵の南アランド買い(不正資金疑惑を背景にラマポーザ氏の再任が危ぶまれていたが無事再任が決定したことで株高・南アランド買いで反応)が支援材料となり、翌12/20に、週間高値7.93円まで急伸しました。
しかし、21日移動平均線をバックに伸び悩むと、(3)日銀によるサプライズ的なYCC(イールド・カーブ・コントロール)の見直し決定や、(4)上記3を背景としたドル円相場の大暴落(円金利急上昇→円キャリートレード解消の思惑→ドル円が約7円の値幅で大暴落→南アランド円連れ安)、(5)株式市場の冴えない動き(市場心理悪化)が重石となり、同日海外時間に、週間安値7.53円(3/8以来、約9か月半ぶり安値圏)まで急落しました。もっとも、その後は、(6)短期間で下落した反動(自律反発)や、(7)ドル円相場の持ち直し(南アランド円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/24午前4時30分現在)では、7.82円前後まで反発する動きとなっております。
来週の見通し(12/26−12/30)
南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、約2ヵ月に亘って持続した8.00ー8.30レンジを12/1に下方ブレイクすると、今週前半に、3/8以来、約9ヵ月半ぶり安値となる7.53円まで急落しました(週末にかけて持ち直すも戻りは鈍い)。上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってきていることや、複数の売りシグナル(一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー)が同時点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(下落トレンド継続中)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(深刻な電力不足や相次ぐストライキ、高水準の政府債務が景気回復の足かせ。
今週発表された南ア10月景気先行指数も前月の124.1から123.0へと低下)や、(2)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念、(3)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(11/24に開催された南ア中銀会合で5名のうち2名が75bpの利上げではなく50bpの利上げを支持。先週発表されたインフレ指標も軒並み鈍化)、(4)日銀による追加的な緩和修正観測とそれに伴う円キャリートレード逆流の思惑、(5)米欧日主要三カ国の中央銀行によるタカ派メッセージ(南アランドなど新興国からの資金流出懸念)など、南アランド円相場にとっての悪材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/30に予定されている南ア11月マネーサプライや、南ア11月貿易収支以外に目立った経済イベントが予定されていないため、円相場や貴金属市場、米金利や米主要株価指数など外部要因に振らされ易い1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.95
注:ポイント要約は編集部
※尚、来週(12/31)は南アランド週報を休刊とさせていただきます。次号は1/7を予定しております。今年も一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
南アランド円日足
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