最近のレンジ内で横方向のもみあい
〇先週のユーロドル、FOMC直後はタカ派に取られドル買い・ユーロ売りも見られたものの行って来いに
〇ECBは0.5%と予想通りの利上げで初動はユーロ急騰も、景気後退を招くとの見方から行って来いに
〇日本の金融政策に対する思惑から弱いユーロ円の動きも手伝いユーロは重たい流れでの週末クローズ
〇今週は目立って大きな材料なし、火曜の日銀と黒田総裁会見が一番大きな材料となる可能性も
〇今週は大台1.0500レベルをサポートに、1.0750レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初のもみあいを弱い米国のCPIを受けたドル売りによるユーロ買いが入り、水準を100pipsほど上げた状態で米国FOMC待ちとなりましたが、FOMCに向けてはドル売り(ユーロ買い)がやや強まりました。FOMC直後はタカ派に取られ(詳細はドル円週報参照)、ドル買い・ユーロ売りも見られたものの、翌日にはECB理事会を控えていることもあって、FOMC当日の動きは全て行って来いの状態でECB理事会の結果待ち。
ECBは0.5%と予想通りの利上げとなったものの、声明もラガルド総裁会見もタカ派な内容となったことから初動はユーロが急騰、しかし速い利上げが欧州の景気後退を招くとの見方から行って来いとなり、一時的に日中安値も割り込む展開。その後週末に向けてはユーロ売りの方向に流れが傾き、日本の金融政策に対する思惑から弱いユーロ円の動きも手伝ってユーロは重たい流れでの週末クローズでした。
こうして見ると、FOMCもタカ派な内容の割には市場は金利上昇には反応せず、ECB理事会もタカ派な内容にもかかわらずユーロ売りと、政策金利上昇思惑よりも政策金利が上昇し過ぎることでオーバーキルして景気後退につながるという見方に現在の市場参加者の見方は傾いてきていることがわかります。このことは今年の7月以降に米国債の長短金利差が逆転して以降ずっと言われて来たことですが、悪材料はなるべく見ないでおこうといった最近の株式市場の動きから、世界の景気見通しに対してやや楽観的になっていたということが、動きを複雑にしてきたと考えられます。
インフレは依然として高いのは事実ですが、最も影響が強い原油価格は既に1年前の水準に下げてきていることを考えると、今後のインフレ率は着実に下げていくことは間違いないでしょうから、果たしてFRBやECBがオーバーキルせずにコントロールできるのかどうかということが来年第1四半期のテーマになってくるでしょう。現状ではオーバーキルするリスクが高そうだというところのようですが、パウエルFRB議長がインフレ上昇時に見誤ったことを考えると、インフレが収まる流れの中での景気後退具合も見誤るのではないかという嫌な予感はしないでもありません。
今週は目立って大きな材料もありませんし、金曜の主要な欧米市場は短縮取引ということで、今週は実質木曜までのようなもので、金曜と週明け月曜はかなり参加者が少なく流動性が低下します。そこを狙ってくる投機筋もいるかもしれませんが、そうした時に仕掛けても反対取引をする時にかえって悪い結果につながることもありますので、基本的には大きな動きは出ないと見ていてよいでしょう。火曜の日銀と黒田総裁会見が一番大きな材料となる可能性もありますので、その点には注意しておきたいところです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
最近は上抜けた上昇チャンネルの更に外側に引いたラインとで平行チャンネルを描いて値動きの参考にしていましたが、先週は上側のラインを何日か上抜けています。こうなると線を引き直したくもなるのですが、高値が年初来高値と安値の61.8戻し1.0746と重なっていることもあり、今週はこのまま様子を見たいと考えています。
おそらく今週に限って言えば年初来高値と安値の半値戻し1.0514と61.8戻し1.0746との間での横方向の動きと考えることがもっとも妥当に思えます。今週は大台1.0500レベルをサポートに、1.0750レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
10月高値からの下降チャンネルを上抜けたものの先週はECB理事会後のユーロ買いと日銀の出口戦略思惑もあって行って来いの動きとなりました。しかし、よく見ると8月安値からのサポートラインがまだ効いているようにも見えます。
ここから上がるのか下がるのか悩ましいチャートとなってきましたが、短期的には11月高値トライの失敗からやや上値が重くなって行き、143円水準を試しに行く可能性が高いのではないかと見ています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月19日(月)
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ドイツ12月ifo企業景況感
19:00 ユーロ圏10月建設支出
12月20日(火)
16:00 ドイツ11月PPI
18:00 ユーロ圏10月経常収支
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値
12月21日(水)
16:00 ドイツ1月消費者信頼感
12月22日(木)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値 ☆
12月23日(金)
**:** NZ、豪州、英国、米国短縮取引
16:45 フランス11月PPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月12日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル円同様にドル買いの動きからユーロは上値が重たい展開でしたが、欧州市場序盤からは米金利低下とその後の上昇の動きに沿って、ユーロ買い後のユーロ売りとなっていました。
12月13日(火)
ユーロドルはNY市場までは1.05台前半でのもみあいを続けていましたが、弱い米国CPIの結果を受けて1.0673レベルへと急上昇後にやや押しての引けとなりました。
12月14日(水)
ユーロドルは東京市場では小動き、欧州市場に入りドル円が下げた動きに追随してユーロ買いとなったものの、FOMCを控えていることやユーロ円が下げたこともあって値幅は限定的なものとなりました。FOMCに向けてはドル円に遅れてのドル売りが入り、FOMC後は一時的にドル買い・ユーロ売りとなったものの日中安値は割り込まず、引けにかけては改めてユーロ買いとなり、ECB理事会待ちとなりました。
12月15日(木)
ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きによるユーロ売りが続きましたが、ECB理事会で0.5%の利上げは予想通りだったものの、タカ派的な声明を出し、ラガルド総裁も2月、3月と0.5%ずつの利上げを示唆したことでユーロが急騰、一時1.0736レベルの高値をつけました。しかし、その直後には景気後退懸念も出て1.0592レベルへと急反落。引けにかけては1.06台前半に戻しています。
12月16日(金)
ドル円はFOMC後のドル買いに対して週末を控えての調整のドル売りが続いた1日となりました。東京市場は137円台後半から始まったもののドル円、クロス円ともに円買いが目立ちNY後場には136.29レベルの安値をつけ、やや戻しての週末クローズとなりました。
ユーロドルは東京市場ではドル売りの流れからユーロドルはやや底堅い動きとなっていましたが、ユーロ円の売りも重なってどちらかというと上値が重たい印象でした。海外市場に移ってからは予想よりも強いPMI速報値への反応は鈍く、ユーロ円の下げとともにユーロドルも下げましたが、1日の値幅は79pipsにとどまりました。
ディスクレーマー
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