基本小動き予想だが乱高下などにも一応注意
〇先週のドル円、13日発表の米消費者物価指数が予想を下回り一時ドルが急落
〇3円以上値を下げたが週間安値134.52をつけ切り返し、138円台まで戻す
〇米FOMCで0.5%の利上げ発表、パウエル議長の会見と合わせ「全体のトーンは予想よりタカ派」の見方
〇15日に英国とECBも米と同じく0.5%の利上げ実施、今後の見通しについて引き締め方向示唆
〇今週のドル/円予想レンジは、134.50-138.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は結局「行って来い」。注目の米FOMCをはじめとする材料に一喜一憂、上下に激しく振れる展開となったが、結局週初寄り付きレベルで大引けている。
前週末は、中国がいわゆる「ゼロコロナ」対策に関連し、「水際対策」の一部で緩和したことが話題に。また、日米豪など14ヵ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の初の交渉官会合が開催され、その動静が注目されていた。
そうした状況下、ドル/円は136.65円レベルで寄り付いたのち、なかなか激しい乱高下。13日に発表された米消費者物価指数が予想を下回るになったことで一時ドルが急落、3円以上も値を下げたが週間安値134.52円を付けて切り返すと、そのまま138円台まで全戻しを達成している。市場はすでにクリスマスモードへと入っているのか商いが薄く、値が飛びやすい状況だ。週末NYは136.70円前後で取引を終え越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「新型コロナ」について。
前者は、13日に発表された米消費者物価が予想を下回る内容でドル売りが一時殺到。その翌日には注目の米FOMCで「0.5%の利上げ」が正式発表されたが、事前予想通りで影響は限られている。ただし、その後のパウエルFRB議長の会見と合わせ、「全体のトーンは予想よりもタカ派だった」といった見方も多く、これが週間安値を付けたのちのドル買戻しの原動力に。一方、15日には米に続き英国とECBも同じく0.5%の利上げを実施したうえ、ともに今後の見通しについて引き締め方向を示唆。来年にかけてもリスクは金利の上昇方向へとバイアスがかかる。依然として超低金利政策を維持している日銀との乖離は大きい。
対して後者は、中国が断続的なコロナ規制の緩和に動き、「事実上のゼロコロナ政策の崩壊」などと取り沙汰されるなか、実際の感染者そのものはさほど減少せず。そうしたなか、世界保健機関(WHO)の緊急事態対応を統括するライアン氏は、中国のコロナ感染増について「ゼロコロナ政策緩和よりもワクチン接種率が低いことが理由」と述べたうえで、さらなる感染拡大に懸念を示していたようだ。なお、そんな中国以外でもコロナの感染拡大は問題になっており、たとえば米国ではフィラデルフィアの教育当局が、冬休み明けの来年1月3-13日に学校内でのマスク着用を義務付けると発表している。飽くまでも一時的な措置とされるものの、時計の針を巻き戻すような対応に驚きを抱く向きも多かった。また、米科学誌セルが「米国内で流行するオミクロン派生型に既存薬は効きづらい」との論文を掲載したことも物議を醸す。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は大荒れ。週間を通した値幅も134.52-138.18円で3円を超えておりなかなか大きなものだったが、値動きとしてはレンジ内での「行って来い」。つまり上下に振れる動きをたどったことで、波動を細かく見ると7円を超える乱高下になる。見た目以上に波乱含みの様相だったと言えそうだ。そんな荒れ相場は今週も続く可能性があり予断を許さない。135-137円台を中心とした激しい上下動に今週も要注意。
「年内最後の大きな市場変動要因」と目された米FOMCを先週こなし、今週は基本的にクリスマスモード。商いとしては、先週以上の売買手控えムードが強まっても不思議はない。しかし、それでもそれなりに米経済指標の発表が予定されているうえ、目先の危機は脱したものの週末には再び米「つなぎ予算」の問題が浮上してくる。油断は禁物だ。薄商いで動意が乏しいが故の乱高下にも十分注意を要したい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は微妙ながら先週目先レンジの上限と下限を達成した感もある。具体的には下限が14日の134.52円で、上限は15日の138.18円となる。今週はクリスマスモードということで、基本的には前述したレートに挟まれた3.66円のあいだでの往来相場か。ただ、敢えてリスクを指摘すれば、米金融引き締め策の長期化を警戒する声が多いことから上方向にバイアスが掛かりそう。上限にも近い138円前後には移動平均の21日線も位置しており、しっかり超えれば140円を意識した展開も否定できない。
今週は、12月の消費者信頼感指数や7-9月期のGDP確報値、11月のPCEコア価格指数などの米経済指標の発表が予定されている。もちろん数字次第だが、ここ最近は米経済指標が相場の波乱要因となることも多いだけに、しっかりと注視しておきたい。また金融政策という意味では、20日の日銀決定会合結果公表そして黒田日銀総裁の記者会見にも一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、134.50-138.50円。ドル高・円安については、近くに21日線も位置する先週高値138.18円をめぐる攻防にまずは注目。超えれば140円レベルも薄っすらとだが視界内に捉えられそうだ。
対してドル安・円高方向は、週初に200日線が位置する135円半ば。ちなみに200日線は緩やかな右肩上がりで、来週にかけては136円台に乗せる展開が見込まれている。一連の動きのなかでサポートとなるのか、それとも割り込むのかにも注目だ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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