『上下しつつも方向感に欠ける展開。来週はANC全国党大会に注目』
〇今週の南ア円、週後半にかけて7.93まで上昇
〇米金利低下、南ア指標の好調、ラマポーザ大統領の弾劾手続き見送り決定等が背景
〇週末にかけてはタカ派なFOMC、ECB等のスタンスからの株価急落を受け7.70まで反落
〇南ア円、テクニカル的には上値重く、ファンダメンタルズも悪材料多い
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.90
今週のレビュー(12/12−12/16)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.87円で寄り付いた後、(1)米国の逆CPIショックに端を発した米金利の急低下(リスクオン再開→新興国通貨に上昇圧力)や、(2)南ア11月SACCI景況感指数(結果110.9、前回109.4)の良好な結果、(3)南アフリカ議会によるラマポーザ大統領の弾劾手続き見送り決定(過半数の214名が弾劾手続きの実施に反対。148名が賛成。2名が棄権)、(4)ドル円相場の急上昇(134円台から138円台へ急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.93円まで上昇しました。しかし、心理的節目8.00円をバックに伸び悩むと、(5)タカ派な米FOMCやECB理事会を嫌気した市場心理の急速な悪化(株式市場の大幅下落→新興国通貨下落)や、(6)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(今週発表された南ア11月CPIおよび同コアCPI、同PPIは軒並み市場予想を下回る結果)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.70円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/17午前3時45分現在)では、7.71円前後で推移しております。
来週の見通し(12/19−12/23)
南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、約2ヵ月に亘って持続した8.00ー8.30円レンジを下方ブレイクすると、12/1に約9ヵ月ぶり安値となる7.57円まで急落しましたが、その後は幾分持ち直し、今週は7.70ー8.00円レンジでの上下動に終始しました。但し、前月までのレンジ下限である8.00円がロールリバーサルとしてレジスタンスの役割を果たしている他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続点灯しているため、テクニカル的に見て、地合いは弱い(リスクは依然ダウンサイド)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感や、(2)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念(今週発表された中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、中国11月固定資産投資は軒並み市場予想を下回る冴えない結果)、(3)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(11/24に開催された南ア中銀会合で5名のうち2名が75bpの利上げではなく50bpの利上げを支持した他、今週発表されたインフレ指標も軒並み市場予想を下回る結果)、(4)ラマポーザ大統領の不正疑惑とそれに伴う支持率低下(弾劾手続きは見送りされたが求心力低下は不可避。12/16から12/20の日程で実施されるアフリカ民族会議全国大会で再選を目指すラマポーザ氏の獲得票数が大幅に低下する恐れあり)など、南アランド円相場の悪材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントに乏しいことから、上記で述べたアフリカ民族会議(ANC)全国大会の結果に注目が集まります。
注:ポイント要約は編集部
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.90
南アランド円日足
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