来週の為替相場見通し:『日銀金融政策決定会合と日米インフレ指標に注目』(12/17朝)

今週は134.00ー138.00をコアレンジとした上下動が続きました。

来週の為替相場見通し:『日銀金融政策決定会合と日米インフレ指標に注目』(12/17朝)

『日銀金融政策決定会合と日米インフレ指標に注目』

〇ドル円、米金利上昇に137.96まで上昇後、米CPIの伸び率鈍化等に週央134.59まで下落
〇売り一巡後はタカ派のFOMC等に株価が暴落リスク回避のドル買いに138.18まで急伸
〇週末にかけては米PPIの不冴え等で136円台前半に戻す
〇ユーロドル、ECB理事会の予想外のタカ派姿勢等に週後半にかけ一時1.0737まで急伸
〇ドル円、下落幅に対する戻り鈍く、上方からレジスタンス垂れ下がる等テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつある
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00、(EURUSD):1.0450−1.0850

今週のレビュー(12/12−12/16)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初136.60で寄り付いた後、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(先週末金曜日に発表された米11月PPIや米12月ミシガン大消費者信頼感指数の市場予想を上回る結果に端を発した米金利上昇・米ドル買いの流れの継続)や、(2)米ゴールドマン・サックス社による12/9付けのドル円ロング推奨レポート、(3)原油先物価格の急反発(本邦貿易赤字の縮小期待後退)が支援材料となり、翌12/13に一時137.96まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米11月消費者物価指数(結果7.1%、予想7.3%、前回7.7%、※前年比)および、米11月消費者物価コア指数(結果6.0%、予想6.1%、前回6.3%、※前年比)の伸び率鈍化や、(5)上記4を背景とした米長期金利の急低下(逆CPIショック発生→米10年債利回り急低下→対主要通貨で米ドル急落)、(6)短期筋の大規模ロスカット、(7)一部メディアによる「日銀が来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を同年中に実施する可能性がある」との政策修正の可能性を滲ませるヘッドラインが重石となり、週央にかけて、週間安値134.59まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米FOMCにて予想通り50bpの利上げが行われると共に、ドットチャートで2023年末の中央値が前回9月時点の4.6%から5.1%へ引き上げられたこと(5.25%以上を予測する参加者が7名存在するなど予想以上にタカ派的な結果)や、(8)パウエルFRB議長による「我々にはまだやるべきことがある」との更なる利上げの可能性を滲ませる発言、(9)ECB理事会のタカ派的な結果、(10)ラガルドECB総裁による予想以上にタカ派的な発言、(11)上記7、8、9、10を背景とした株式市場の大幅下落(リスク回避のドル買い再開)、(12)短期筋のショートカバーが支援材料となり、週後半にかけて、週間高値138.18まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(13)米12月製造業PMI(結果46.2、予想47.9)および、米12月非製造業PMI(結果44.4、予想46.5)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/17午前3時30分現在)では、136.35前後まで値を崩す展開となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0528で寄り付いた後、早々に週間安値1.0506まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ12月ZEW景況感指数(結果▲23.3、予想▲26.4)の市場予想を上回る結果や、(2)ドイツZEW研究所による「エネルギー市場の一時的な安定を受けて経済見通しが大幅に改善されている」とのポジティブ発言、(3)米11月消費者物価指数および米11月消費者物価コア指数の伸び率鈍化、(4)心理的節目1.0600や1.0700突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売り、(5)ECB理事会のタカ派的な結果(政策金利が予想通り2.50%に引き上げられると共に声明文で「一段の金利上昇を見込む」「金利は安定したペースで大幅に上昇する必要性あり」とのタカ派的な文言あり。また満期償還分の再投資を行わないQTを2023年3月から開始することも決定)、

(6)ラガルドECB総裁による「一定期間0.50%の利上げ継続を見込むべき」「ECBは市場が見込むよりも更に金利で動くべき」とのタカ派的な発言、(7)一部メディアによる「0.75%の利上げを支持するメンバーが複数いた」とのタカ派的なヘッドラインが支援材料となり、週後半にかけて、週間安値1.0737(6/9以来、約6ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)欧州株の大幅下落や、(9)リスク回避のドル買い圧力、(10)短期筋(俄かロング)のロスカットが重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/17午前3時30分現在)では、1.0610前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(12/19−12/23)

<ドル円相場>
ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、12/2に一時133.62まで急落しましたが、その後は幾分持ち直す動きとなり、今週は134.00ー138.00をコアレンジとした上下動が続きました。但し、下落幅に対する戻りが極めて鈍いこと(上値の重さの再確認)や、上方より複数のレジスタンスポイント(一目均衡表基準線、21日移動平均線など)が垂れ下がってくること、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は限定的)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、米国の金融引き締め休止観測(ドットチャートは予想以上にタカ派的な結果となりましたが、実質金利上昇に伴うオーバーキルのリスクを考慮すれば、FEDが実際に5%超の水準までFF金利を引き上げることは難しい。事実、FOMC以降、株式市場の値崩れが発生するなど、市場参加者による金融引き締め休止を催促する相場展開に進展)や、ポスト黒田体制下での金融緩和修正観測(12/14付けの報道で「日銀が来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を同年中に実施する可能性がある」とのヘッドラインあり)、上記を背景とした日米金利差縮小観測(円キャリートレード逆流への警戒感)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週は米11月住宅着工件数や、米12月カンファレンスボード消費者信頼感指数、米11月中古住宅販売件数、米第3四半期GDP確定値、米新規失業保険申請件数、米11月耐久財受注速報値、米11月PCEデフレータ、米11月新築住宅販売件数など、米経済イベントが盛沢山となる他、本邦側でも日銀金融政策決定会合や黒田総裁記者会見、本邦11月消費者物価指数など重要イベントが複数予定されているため、イベントドリブンで相場が乱高下するリスクが警戒されます。上記の中で特に注目されているのが、日銀金融政策決定会合と黒田日銀総裁記者会見となります。金融政策の現状維持が見込まれているものの、直近1カ月で日銀審議委員によるタカ派的な発言が相次いでいる他、上述の通り12/14付けの報道で金融緩和脱却の可能性を意識させるヘッドラインも出ていることから、黒田総裁の発言(記者会見での一挙手一投足)に注目が集まりそうです(タカ派的な発言が見られる場合には一気に円買いが進む恐れあり)。

また、日米のインフレ指標(本邦CPIと米国PCEコアデフレータ)にも注目が集まっており、本邦11月CPIが前年比4%を超えてくる場合や、米PCEコアデフレータが市場予想を下回る場合などには、日米の名目金利差縮小とそれに伴う円キャリートレードの逆流を通じてドル円に強い下押し圧力が加わることが想定されます。特に来週はクリスマス休暇入りで市場参加者の激減が見込まれているため、低流動性の隙をついたフラッシュ・クラッシュ(相場の瞬間的な急落)にも警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は9/28に記録した約20年ぶり安値0.9535をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、6/9以来、約半年ぶり高値となる1.0737まで急伸しました(わずか2ヵ月半で1202ポイントの急騰劇)。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上下限、21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や、短期線と長期線のゴールデンクロスも実現するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、米FRBによる金融引き締め休止観測(今週開催された米FOMCではドットチャートの部分で予想以上にタカ派的な結果が示されましたが、実質金利上昇に伴うオーバーキルのリスクが警戒される中、実際にはドットチャートで示されているほどの利上げには至らないとの見方)や、ECBによる利上げスタンスの継続方針(今週開催発表されたECB理事会では声明文およびラガルド総裁記者会見で更なる利上げの可能性を示唆するタカ派的な結果)、上記を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米名目金利差縮小に着目したユーロ買い・ドル売り圧力)など、ユーロドル相場の続伸を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週はドイツ12月IFO景況感指数や、ユーロ圏12月消費者信頼感指数速報値、デギンドスECB副総裁講演、リトアニア中銀シムカス総裁講演、スロバキア中銀カジミール総裁講演、エストニア中銀ミュラー総裁講演などに注目が集まります。欧州経済指標が市場予想を上回る場合や、欧州当局者よりタカ派的な発言が見られる場合などには、クリスマス休暇入りに伴う市場参加者の減少も相俟って、ユーロドルが大きく値を上げるリスクも警戒されます(流動性低下でボラティリティが拡大する恐れあり)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ買い・ドル売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0450−1.0850

注:ポイント要約は編集部

『日銀金融政策決定会合と日米インフレ指標に注目』

ドル円日足

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