『安値圏で神経質な展開。政治リスクを嫌気したリラ売り再開に注意』
〇今週のトルコ円、週初トルコの貿易赤字改善に週間高値7.45まで上昇
〇週央は米CPIの伸び率低下からのドル円でのドル安に週間安値7.19まで反落
〇週末にかけてはトルコ海峡を巡る船舶保険問題の解決、ドル円の上昇に7.31前後で推移
〇トルコ円安値圏での神経質な値動き続き、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ政治・経済の先行き不透明感がトルコ円の重石
〇引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.10ー7.50
今週のレビュー(12/12−12/16)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.32円で寄り付いた後、(1)トルコ10月経常収支(結果3.6億ドル赤字、予想16.0億ドル赤字、前回29.7億ドル赤字)の改善を手掛かりに、翌12/13にかけて、週間高値7.45円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)米国の逆CPIショックに端を発したドル円相場の大幅下落(トルコリラ円連れ安)を背景に、週央にかけて、週間安値7.19円まで反落しました。もっとも、12/2に記録した直近安値7.16円をバックに下げ渋ると、(3)トルコ運輸当局によるトルコ海峡を巡る船舶保険問題の解決発表(対ロシア制裁の影響を受けてトルコ海峡で滞留中だった石油タンカーが動き始めたとの報道)や、(4)FOMC通過後のドル円急伸(トルコリラ円連れ高)、(5)トルコ中銀の外貨準備増加に伴う安堵感が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/17午前4時00分現在)では、7.31円前後で推移しております。
来週の見通し(12/19−12/23)
トルコリラの対円相場は、12/2に記録した約1年ぶり安値7.17円(昨年12/20以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週前半に一時7.45円まで持ち直す動きとなりましたが、週末にかけて再び反落に転じるなど、上値の重い展開が続いております(安値圏での神経質な値動き)。上方より複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーが継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)実質金利低下に伴うリラ売り圧力(国内のCPIが歴史的高水準を記録し続けているにも係わらずトルコ中銀はエルドアン大統領の意向に沿う形で4会合連続での大幅利下げを実施→構造的なリラ売り圧力)、(3)トルコ野党有力候補イマモール氏の有罪判決に端を発した政局不透明感(トルコの裁判所は12/14に来年6月の大統領選でエルドアン氏の対抗馬になると見られていたイスタンブールのイマモール市長を公務員に対する侮辱罪で禁固刑および政治活動禁止の判決を実施。
タイミング的に不自然な部分が多く、中銀の政治化に続き、司法の政治化が、トルコリラに対する投資を冷え込ませる恐れあり)、(4)上記3を背景としたエルドアン氏の続投懸念(エルドアン氏が来年6月の大統領選で敗北すればトルコ中銀が利上げに転じるとの見方があったが、同氏の対抗馬である野党イマモール氏の有罪判決を経てエルドアン氏続投リスクが高まる結果。この場合、トルコ中銀は低金利政策の長期化を志向する可能性が高いことからトルコリラの下落要因に繋がる恐れ)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/22にトルコ中銀金融政策決定会合が発表されますが、先月の会合で既にエルドアン大統領が求める1桁台(9%)への政策金利引き下げを達成済みであるため、今回は政策金利の据え置き(無風通過)が見込まれます。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.10ー7.50
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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