欧州中央銀行(ECB)政策金利発表の予想
(2022年12月15日木曜日:東京時間22時15分、ラガルド総裁記者会見は22時45分)
本日ECB金融政策会合の議事内容が記者発表されます。その後はラガルド総裁の定例記者会見が予定されています。
今回のECB会合では前回の0.75%利上げ幅からは下がり、中間値で0.50%利上げ、レンジでは0.50〜0.75%となっています。昨日のFOMCでは利上げ幅減速になり、今日のECBもそれにならうか、引き続き0.75%上げになるか、欧州域内のインフレ状況が米国以上に厳しいので、対応が注目されます。
(1) 欧州中央銀行政策金利予想(12月15日8時30分現在)
今回の注目点は
@ 最近のECB関係者発言(下記(3)をご参照願います)や(4)の議事要旨内を見ると、今回の利上げ自体は既定路線になっています。上げ幅に言及しているのは1名で0.50%になっています。また、エコノミストの2023年見通しでは今回の利上げで一度ピークに達したとの見方(下表(2))になっています。
A 先々の利上げに関しては、ECB総裁の「会合ごとの評価に従う」が最も合理的ですが、域内の経済成長では国毎に大きく違い、委員間でかなりの差異が見られます。前回までのニュアンスと変わり、落しどころが重要になりそうです。
B HICP全体は1月5.1%、6月8.6%、10月10.6%、11月10.4%とインフレ低下の気運がなく、まだ高止まりの状況で、米国よりもインフレ状況は悪いままです。今回の2023年インフレ見通しが重要になります。
C 欧州圏GDPはまだコロナ前の高値水準までしか戻っておらず、米国と比較すると状況がかなり悪くなっています。景気配慮かインフレ抑制かが今回の焦点になります。今回の議論内容次第では来年の利上げ継続も視野に入れておく必要があります。まず前回の議事要旨内の「更なる金利引き上げを予想している」が入るかを見ます。エコノミスト予想ではECBの先行き利上げが限定されてきているので、これが不透明になる文言や発言には注意が必要になります。
D APP債とPEPP債の再投資に関する議論やその再投資期限にも注意します。
(2)エコノミストのECBの政策金利予想
ECBスタッフの予想ではHICPコアを10月に上方修正し、2022年4.0%、2023年3.9%、2024年2.6%にしましたが、2023年もほとんど下がらない見通しになっています。インフレが高いままの予想ですので、もし今回予想レンジ上限の0.75%の利上げになると、下記予想中央値を越えることになります。
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(3)最近のECB関係者の発言
12月7日 スロバキア中銀総裁 「インフレ率の1指標で利上げを遅らせる理由にならない」
「ユーロ圏の景気後退は短期的な可能性高い」
12月6日 キプロス中銀総裁 「更なる利上げの可能性あるが、中立金利に近い」
「ユーロ圏経済のハードランディングは想定していない」
12月6日 レーンECB専務理事 「インフレはピークに近い可能性と確信」
「次の利上げで、これまでの利上げを考慮する必要がある」
12月5日 アイルランド中銀総裁 「来年は更なる利上げが予想される」
「12月は0.50%の利上げ確率が高い」
12月5日 仏中銀総裁 「ターミナルレートについて話すのは時期尚早」
「仏経済はハードランディングには耐えられそうもない」
12月2日 ECB副総裁 「ユーロ圏のリセッションの可能性高い」
「経済の減速は数週間前の予想ほどひどくないだろう」
12月1日 ギリシャ中銀総裁 「追加利上げは漸進的とすべき」
11月28日 ECB総裁 「決定は会合ごとの評価に従う」
「追加利上げを予想」
11月24日 シュナーベルECB専務理事 「データは利上げ減速余地が限定的であることを示唆している」
11月23日 ECB副総裁 「全体のインフレは第1四半期から緩和し始める」
(4)ECB金融政策議事要旨の一部(10月27日公表分)
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(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
下図はユーロ円の週足チャートです。3月14日週底値からのサポートA(=138円60銭)とそこから平行に上げた上値目安のB(=150円70銭)でユーロ高トレンドを形成しています。
このレンジ間で、8月1日週底値からのC(=141円80銭)と10月17日週高値からのD(=145円90銭)で収斂しています。今週もDの手前で上値が止まっています。Cを割ればA方向、Dを越えればB方向の流れになっています。今日のECBで余程のサプライズがないとCとD間のレンジ抜けは厳しい感じです。
(2022年12月15日10:30、1ユーロ=144円38銭)
オーダー/ポジション状況
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