円安にリラ高重なり12月7日高値を超える上昇、経常収支改善もリラ高に寄与
〇トルコリラ円、12/13早朝7.40をつけ12/7高値と並ぶ、12/13午前序盤に一時7.42まで上昇
〇ドル円が高値を切り上げたこと、経常収支改善により対ドルでリラ高反応が見られたことが重なる
〇対ドル、12/12深夜18.64近辺だったところから12/13午前序盤に一時18.59近辺へドル安リラ高となる
〇経常収支改善によりリラの買い戻しが見られたものの、その後18.64近辺へと揺れ返し
〇昨日発表のトルコの10月経常収支、経常赤字が大幅に縮小
〇7.37を上回るうちは上昇余地ありとし、7.43超えからは7.45前後への上昇を想定する
〇7.35割れからは上昇一巡による下落期入りとみて、7.33、7.31を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月12日は7.40円から7.32円の取引レンジ、13日早朝の終値は7.38円で先週末終値の7.32円から0.06円の円安リラ高だった。
ドル円の騰落に合わせた動きを続けているが、ドル円は12月9日夜に135.59円まで下げたところから9日夜の米11月PPI上昇率が予想を上回ったことで反騰に入り、12日夜は米財政収支以外の主要経済指標の発表はなかったものの米10年債の入札が低調だったことや13日夜の米11月CPI上昇率発表を前にしてドル高先行となり13日未明には137.84円をつけて12月7日夕高値137.85円に迫り、13日午前序盤には137.89円をつけて7日夕高値を上抜いてきている。
トルコリラ円はドル円に合わせて12月2日安値7.17円を起点に持ち直しに入り、12月7日高値で7.40円をつけたところからは下げていたが、9日夜からのドル円の上昇により13日早朝には7.40円をつけて12月7日高値と並んだ。13日午前序盤にドル円がさらに高値を切り上げたことと、経常収支改善によりドル/トルコリラでリラ高反応が見られたことも重なり、一時は7.42円まで高値を切り上げた。
【ドル/トルコリラではリラ買い戻しがやや優勢の動き】
ドル/トルコリラの12月12日は18.65リラから18.56リラの取引レンジ、13日早朝の終値は18.63リラで先週末終値の18.65リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
1ドル18.50リラ近辺で売られて18.60リラ台(ベンダーによっては18.70リラ台)の安値を繰り返し試す最安値圏での持ち合いが続いており、手元のデータでは12月5日に18.69リラの最安値をつけた後は新たな安値更新へ進んでいなかったものの終値ベースでは12月9日終値18.65リラが史上最安値となっていた。
12月12日は米長期債利回りの上昇を見て全般的にはドル高となったものの、12日夕刻発表のトルコ10月経常収支で赤字が大幅に減少したことでリラの買い戻しも見られ、12日深夜の18.64リラ近辺だったところから13日午前序盤には一時18.59リラ近辺へドル安リラ高となったが、その後は18.64リラ近辺へと揺れ返しのドル高リラ安となっている。
【トルコ経常赤字が大幅に縮小】
12月12日に発表されたトルコの10月経常収支は3億5900万ドルの赤字で2021年11月以降連続の赤字となったが、赤字額は2022年1月に69億4500万ドルへ悪化して以降では最低で、9月の28億8300万ドルから改善した。
貿易収支は世界規模の金融引き締めや中国の感染再拡大による景気鈍化、ロシア制裁の影響によるインフレの長期化などによる需要低下で拡大基調が頭打ちとなり、リラ安による輸入額増が輸出の伸びを上回る状況にあるが、パンデミックが落ち着いて海外からの観光客が戻り、リラ安による割安感で観光客による支出が拡大したり海外勢による不動産購入などによる収益が拡大していることで経常赤字が縮小している。
10月の貿易収支は78億7000万ドルの赤字だったが、観光収入が55億ドルに拡大したことが赤字減少に大きく貢献したようだ。
観光収入の拡大にはロシア勢の貢献も指摘されているが、最近のトルコ中銀における外貨準備高の大幅増加もロシア国営企業による原子力発電所建設資金の送金やロシア人観光客によるトルコ国内での銀行口座開設などが増大に寄与しているとされる。
12月8日夜に発表されたトルコ中銀による週次の外貨準備高では12月2日時点のグロスで813.0億ドルとなり11月25日時点の797.7億ドルから増加、ネットでは231.2億ドルとなり11月25日時点の195.1億ドルから大幅な増加となっていた。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月2日夕刻安値からの反騰が一巡し、12月7日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたとして12月7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定してきたが、12月9日夜へ安値を切り下げてから0.05円を超える反騰となったため、12月12日朝時点では12月9日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月12日午後から14日夕にかけての間への上昇を想定した。
13日早朝へと大幅続伸したため引き続きサイクルトップ形成への上昇途中とみる。7.37円を上回るうちは高値試しを続けやすく、13日夜の米CPI発表からドル円が上昇する場合は勢いを増す可能性もあるとみるが、CPI発表後にドル円が急落する可能性もあるので7.37円割れを弱気転換注意とし、7.35円割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月9日夜安値からの反騰を継続したために遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いて両スパンの実線との乖離が拡大している。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れから続落に入る場合は弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて先行スパンを試す下落を想定する。
60分足の相対力指数は12月13日未明に70ポイントを超えたが、13日午前序盤に一段高してからの反落で60ポイントを割り込んでいる。50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下げ再開を警戒し、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.37円を下値支持線、7.43円を上値抵抗線とする。
(2)7.37円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.43円超えからは7.45円前後への上昇を想定する。7.45円前後は反落警戒とするが、7.37円以上での推移なら14日の日中も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.35円割れからは上昇一巡による下落期入りとみて7.33円、7.31円を順次試す下落を想定する。7.32円以下は反騰注意とするが、7.35円を割り込んだ後も7.37円以下での推移が続く場合は、直前安値から0.05円規模の反騰とならないうちは14日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月13日
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.4%、予想 0.08%)
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.8%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.7%)
12月15日
17:00 11月 財政収支 (10月 -832.5億リラ)
20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 グロス (12.2時点 813.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 ネット (12/2時点 231.2億ドル)
12月20日
16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 76.6)
23:30 11月 中央政府債務 (10月 -380.8億リラ)
12月22日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
20:30 週次 外貨準備高 12/16時点
注:ポイント要約は編集部
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先週のトルコリラは、これまで同様にドル円の動きに沿った動きとなっていて、ドルトルコリラがほぼ固定相場状態の中でドル円の上下で、トルコリラ円も上下した格好です。
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