ドル円見通し 米CPIとFOMCを意識、ドル高先行するも138円手前に抵抗感
〇ドル円、ドル高先行で12/12午前137円到達、12/13未明に137.84をつけるも138円手前では上値抵抗感
〇12/13夜の米CPI、12/15未明のFOMC声明発表を控える中で米長期債利回り連騰、ドル高円安での推移
〇本日発表のCPI、「逆CPIショック」再現でドル全面安か、ドル高招く「CPIショック」か注目集まる
〇米長期債利回りは総じて上昇し10年債利回りは3連騰、NYダウは大幅上昇
〇137円以上での推移中は上昇余地ありとし、138円超えからは139円前後を目指す上昇を想定する
〇136.70割れから135.59前後への下落を想定し、135.59割れから134円台後半へ向かう下落を想定する
【概況】
ドル円は12月2日夕刻に133.60円をつけて10月21日高値151.94円以降の最安値としたところから米11月雇用統計やISM非製造業景況指数等が予想を上回ったことによるドル高局面で12月7日夕高値137.85円まで4.25円の戻りを入れた。上昇一服で9日夜に135.59円まで下げたが9日夜発表の米11月PPI上昇率が予想を上回ったことで再びドル高先行となり、12日午前に137円に到達、13日未明には137.84円をつけて7日夕高値に迫った。
138円手前では7日と同様に上値抵抗感が出ているが、13日夜の米CPI、13日夜から始まり15日未明に声明発表のあるFOMCを控える中で米長期債利回りが連騰したことでドル高円安での推移となった。
12月12日夜は11月の米財政収支の発表があったが、財政赤字は2485億3500万ドルで11月単月としては過去最大となったものの、2023会計年度(2022年10月〜2023年9月)の累計では3364億900万ドルとなり、前年同期比で3%縮小した。財政収支に対する市場の反応は限定的だった。
【10月のドル安を招く「逆CPIショック」再現か、ドル高招く「CPIショック」か】
12月13日夜に米11月CPI(消費者物価指数)上昇率の発表がある。市場の事前予想では全体の前月比が10月の0.4%から0.3%へ鈍化、前年同月比が10月の7.7%から7.3%へ鈍化し、コア指数の前月比は10月の0.3%と変わらず、前年同月比は10月の6.3%から6.1%へと低下すると見込まれている。
11月10日に発表された10月のCPIは全体及びコア指数の前月比と前年同月比が総じて予想を大きく下回ったことによりインフレのピークアウト感とFRBによる利上げペース減速及び利上げ期間の短縮を連想させてドル全面安のトリガーとなり「逆CPIショック」と呼ばれた。
11月のCPIもさらに伸びが鈍化するとの事前予想であり、連続した「逆CPIショック」でドル全面安へ向かう可能性もあるが、12月9日発表の米PPI(生産者物価指数)の上昇率が予想を上回ったこともあり、予想外に前月比で伸びが加速する場合や総じて予想を上回る伸び率となる場合には前回とは反対の「CPIショック」によりドル全面高の再燃となる可能性もある。
12月15日未明にはFOMC声明発表とパウエルFRB議長会見もあるが、今夜のCPIを踏まえてFOMC内容を先取りする形で為替市場が大きく動く可能性もあるところと注意したい。
【米10年債利回りが3連騰】
12月12日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利の指標である10年債利回りは前日比0.02%上昇の3.61%だったが、一時は3.52%まで低下したところからの反騰となり、12月8日から3連騰の上昇となった。10月21日に4.34%へ上昇してパンデミック発生以降の最高値としたところから12月7日に3.40%へと大幅低下してきたが、CPIとFOMCを控えているところで12日に実施された10年債入札が低調だったことによる債券売り・利回り上昇の影響も見られた。
30年債利回りは0.01%上昇の3.58%となったが一時は3.49%まで失速したところから切り返している。利上げ動向により敏感な2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.38%となったが、4.32%まで低下してからの反発で12月8日から3連騰での上昇となった。
一方で12月12日のNYダウは前日比528.58ドル高と大幅上昇、ナスダック総合指数は139.12ポイント高と上昇した。前日まで6営業日の続落で70ドル割れを試していたNY原油が7営業日ぶりに反騰したことによるエネルギー関連株の上昇と米長期債利回り上昇による債券売り・株買いが株高に寄与したようだ。
ドル円としては週をまたいでの米長期債利回りの上昇継続と株高が押し上げ要因となったが、13日夜の米CPI内容次第では急伸も急落もあり得るところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は12月2日夕安値を目先の底とした上昇が12月7日夕高値で一巡となり12月9日夜まで下げていたが、9日夜の米PPI発表をきっかけに反騰入りしている。13日未明へ高値を切り上げてきており、138円を目先の壁として上昇一服感が出ているものの、137円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは14日夜にかけて上昇余地ありとする。ただし、136.70円割れからは下落期入りとし、13日夜の米CPI発表から下落する場合は16日夜にかけて下落へ進みやすくなると思われる。
60分足の一目均衡表では9日夜安値からの反騰を継続してきたことで遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月13日未明に70ポイント台到達まで戻し、その後も60ポイント台にとどまっている。50ポイント以上での推移が続くうちは一段高余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.70円を下値支持線、138.00円を上値抵抗線とする。
(2)137円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、138円超えからは139円前後を目指す上昇を想定する。米CPI発表前は138円台前半で上値が重くなるとみるが、CPI発表からドル全面高の場合は139円台後半へ上値目途を引き上げる。
(3)136.70円割れからは12月9日夜安値135.59円前後への下落を想定し、135.59円割れからは134円台後半へ向かう下落を想定する。特にCPI発表から急落反応となる可能性もあると注意したい。
【当面の主な予定】
12/13(火)
ウクライナ支援国際会議(パリ)、米アフリカ首脳会議(ワシントン、12月15日まで)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
16:00 (独) 11月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 -0.5%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 10.0%、予想 10.0%)
16:00 (英) 11月 失業率・ILO方式 (9月 3.6%、予想 3.7%)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感 (9月 -36.7、予想 -26.4)
19:00 (欧) 12月 ZEW景況感 (9月 -38.7)
19:30 (英) 英中銀、金融安定報告書
20:00 (英) ベイリー英中銀総裁、記者会見
22:30 (米) 11月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (10月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (10月 7.7%、予想 7.3%)
22:30 (米) 11月 CPIコア指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 CPIコア指数 前年同月比 (10月 6.3%、予想 6.1%)
27:00 (米) 財務省30年債入札
12/14(水)
EU・ASEAN首脳会議
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
06:45 (NZ) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -52.24億NZドル、予想 -102.00億NZドル)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (7-9月 8、予想 7)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業先行判断 (7-9月 9、予想 7)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (7-9月 14、予想 16)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業先行判断 (7-9月 11、予想 16)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (7-9月 21.5%、予想 20.9%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 2.9%、予想 1.2%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 3.7%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 -0.4%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (10月 2.0%、予想 0.6%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (10月 11.1%、予想 10.9%)
16:00 (英) 11月 CPIコア指数 前年同月比 (10月 6.5%、予想 6.5%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (10月 14.2%、予想 13.9%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.9%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.9%、予想 3.5%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -0.3%、予想 -0.5%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 3.75-4.00%、予想 4.25-4.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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