トルコリラ円見通し 米CPI発表からの円高により急落、12月2日以降の上げ幅の過半を解消(22/12/14)

トルコリラ円の12月13日は7.42円から7.22円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.24円で前日終値の7.38円から0.14円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 米CPI発表からの円高により急落、12月2日以降の上げ幅の過半を解消(22/12/14)

米CPI発表からの円高により急落、12月2日以降の上げ幅の過半を解消

〇トルコリラ円、米CPI鈍化による円高で7.22まで急落、売り一巡後は反発するも7.30超えへ進めず失速
〇対ドル、米CPI後のドル全面安に一時上昇するも続かず、14日未明には一時18.70をつけ市場最安値更新
〇トルコ鉄工業生産、前年同月比プラスは続くが、昨年12月をピークに漸減傾向
〇7.30を下回るうちは一段安警戒、7.22割れからは7.10円台後半を試す下落を想定する
〇7.30から7.33にかけては戻り売りにつかまりやすく、7.27を割り込むところからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の12月13日は7.42円から7.22円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.24円で前日終値の7.38円から0.14円の円高リラ安となった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けているが、12月13日夜は米11月CPI上昇率が予想を下回る鈍化となったことで米長期債利回りが低下して為替市場がドル全面安となり、ドル円は12月13日昼過ぎに137.97円をつけて138円に迫っていたところから米CPI発表後に134.65円へ急落、その後は売り一服で135円台中盤へ戻す展開となった。
トルコルラ円はドル円の上昇局面で13日午前高値7.42円をつけてから夕刻にいったん7.36円へ下げ、やや戻していたところから米CPI発表後にドル円が急落したことで深夜安値7.22円まで大幅下落となった。売り一巡で14日午前序盤には7.30円まで戻したものの勢いは鈍く7.30円超えへ進めずに失速している。

【ドル/トルコリラ、18.70リラへ安値を更新】

ドル/トルコリラの12月13日は18.70リラから18.55リラの取引レンジ、14日早朝の終値は18.63リラで前日終値と変わらずだった。
史上最安値近辺での持ち合いが続いてきたが、先週からは18.64ドル近辺を持ち合いの中心とし、12日と13日は18.50リラ台後半の高値を試すなどややレンジが広がっていた。13日は米CPI上昇率が鈍化したことによるドル全面安局面でのリラ買いも見られたものの14日未明には18.70リラをつけて手元のデータとしては12月5日につけた18.69リラを超えて史上最安値更新となった。(ベンダーによっては18.71リラなどの安値も見られた)。
引き続き為替市場全般の流れにはさほど左右されず、史上最安値を試す展開から脱却できずにいる。トルコ中銀による為替市場でのスワップ取引でのドル売りリラ買いでのリラ安防衛と、輸出関連の外貨保有企業に対する融資停止をちらつかせた保有外貨のリラ転換強要、リラ安による海外からのトルコ不動産購入や投資などによる外貨からリラへの転換などがリラ安の歯止めとなっているが、消費者物価上昇率が80%を超える高インフレと比較すれば現状のリラ安水準ではまだまだ下げ余地のある状況と認識されているようだ。

【トルコ鉱工業生産は前月から改善】

【トルコ鉱工業生産は前月から改善】

12月13日夕刻に発表されたトルコの10月鉱工業生産は前月比2.4%増となり9月の1.6%減から改善した。前月比は昨年8月に4.9%増と伸びたところを当面のピークとして伸びが鈍化し始め、今年7月には前月比6.1%減と大幅に低下した。
10月の前年同月比は2.5%増となり9月の0.5%増から改善した。前年同月比でのプラスは続いているものの、パンデミック発生翌年の急増時が落ち着いた後は昨年12月の14.4%増をピークに漸減傾向にあり、ぎりぎりでマイナスへの転落を回避しているところだ。
輸出企業への外貨保有規制と新規リラ建て融資規制、インフレ率に見合ったリラ安となっていないことでの混乱が製造業全般への圧迫感をもたらし、欧米が金融引き締めに走り中国が感染拡大の影響で景気減速に陥り、近隣のウクライナとロシアの戦争も長期化していることでトルコの輸出も伸びが鈍化していることが製造業の成長拡大を阻害している印象だ。

一方、10月の小売売上高は前月比1.4%増となり9月の1.2%増から改善したが、この1年ではマイナスだった月が4か月、2%を下回ったのが10か月あり、インフレによる名目の売上高上昇分を差し引くとかなり低調な状況といえる。10月の前年同月比は9.5%増で9月と同じ伸び率だったが、今年4月の15.2%増や5月の20.8%増と比較すれば伸びも鈍い印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月9日夜へ安値を切り下げてから0.05円を超える反騰となったため、12月12日午前時点では12月9日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月12日午後から14日夕にかけての間への上昇を想定した。
13日早朝へと大幅続伸したために13日午前時点では引き続きサイクルトップ形成への上昇途中としたが、米CPI発表後にドル円が急落する可能性もあるので7.35円割れからは弱気サイクル入りとした。
12月13日夜に米CPI発表から7.35円を割り込んでさらに急落したため、13日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換には7.33円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では12月13日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。また先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は12月13日午前に70ポイントを超えたところから13日深夜に20ポイントまで急落した。その後も40ポイント前後が抵抗となっているので30ポイント割れからは20ポイント前後への下落を想定する。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。また相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が発生する場合は反騰注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.22円を下値支持線、7.33円を上値抵抗線とする。
(2)7.30円を下回るうちは一段安警戒とし、7.22円割れからは7.10円台後半(7.19円から7.15円)を試す下落を想定する。7.17円以下は反騰注意とするが、7.27円以下での推移なら15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。ただし12月15日未明の米FOMC後の波乱には注意する。
(3)7.30円から7.33円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいと見てその後に7.27円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -832.5億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 グロス (12.2時点 813.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 ネット (12/2時点 231.2億ドル)
12月20日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 76.6)
 23:30 11月 中央政府債務 (10月 -380.8億リラ)
12月22日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 12/16時点

注:ポイント要約は編集部

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