ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、一時134.65円へ急落(22/12/14)

米11月CPI上昇率が事前予想を軒並み下回ったことによる、米長期債利回り低下とドル全面安により137円台中盤だったところから134.65円へ急落した。

ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、一時134.65円へ急落(22/12/14)

ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、一時134.65円へ急落

〇ドル円、米11月CPIの鈍化を受け137円台中盤から134.65まで急落
〇米CPI上昇率、前月および市場予想を下回る、利上げペース減速・期間短縮を期待しドル全面安に
〇米長期債利回りは総じて低下、NYダウは急伸後上げ幅の大半を削る
〇136円以下での推移中は一段安警戒とし、134.65割れからは133.60試しへ向かうとみる
〇136から136.50手前の水準は戻り売り有利とし、その後135.30を割り込むところから下げ再開とする

【概況】

ドル円は12月13日夜の米11月CPI上昇率が事前予想を軒並み下回ったことによる米長期債利回り低下とドル全面安により、137円台中盤だったところから134.65円へ急落、13日昼過ぎ高値137.97円からは3円を超える下落規模となった。売り一巡でその後は135円台中盤まで戻しており、11月10日の米10月CPI発表を挟んで直前高値146.59円から翌朝安値140.19円まで6円を超える暴落となった「逆CPIショック」時よりも下落規模は相対的に小さかったものの、12月2日夜の米11月雇用統計発表後の反騰をきっかけとした上昇が一巡して再び安値試しへ向かい始めた印象を残している。
12月15日未明にはFOMC声明文発表と議長会見があり、今回のCPI発表を踏まえて市場はFRBのハト派への傾斜を期待しているが、実際の内容を見定めるまでは過剰な楽観も禁物ということでややドル安継続優勢でFOMCへ向かうというところだろうか。

【米11月CPI、10月に続いて鈍化】

12月13日夜に発表された11月の米CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.1%となり、10月の0.4%から伸びが鈍化して市場予想の0.3%を下回った。前年同月比は7.1%となり、10月の7.7%から大幅に低下して市場予想の7.3%を下回った。コア指数の上昇率も前月比0.2%となり、10月及び市場予想の0.3%を下回り、前年同月比は6.0%で10月の6.3%から鈍化して市場予想の6.1%も下回った。
米CPIの伸びが10月の大幅な鈍化からさらに鈍化したことにより為替市場は米FRBの利上げペース減速と利上げ期間の短縮への期待を優先してドル全面安となった。11月10日に10月のCPI上昇率が予想以上に鈍化したことでドル全面安となった際には「逆CPIショック」と名付けられたが、今回は先週末の米PPI(生産者物価指数)の伸びが鈍化していたこともあり事前予想で連続的な鈍化が想定されていたのでショックというほどではなかったものの着実にインフレが抑え込まれている印象を与えた。

FRBは前回のFOMCで12月会合での利上げペース減速検討を示し、12月1日未明のパウエルFRB議長講演でも同様の姿勢が示されたために講演内容はハト派的だったとしてドル安を招いた。利上げ効果にはタイムラグがあり利上げした状況が長期化するとの認識も再三指摘されてきたため、当面はペースを落とした利上げの継続が想定されるものの、今後のインフレ指標がさらに鈍化傾向を鮮明とすれば、市場も利上げ期間の終了を意識した動きへとスタンスを変え、米長期債利回りも当面の利上げ想定を織り込み済としてこれまでの大上昇が行き過ぎたことへの修正で低下傾向へ進む可能性も考えられる。

【米10年債利回りは反落】

12月13日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.10%低下の3.51%となったが、一時は3.43%まで急低下した。前日までは3連騰の上昇でそれまでの大幅下落が一服していたものの、この間の上昇幅の大半を解消して12月7日につけた3.40%への余裕が乏しくなっている。
30年債利回りは前日比0.04%低下の3.54%となったが一時は3.47%まで低下した。2年債利回りは前日比0.16%低下の4.22%となったが一時は4.16%をつけて11月4日の4.88%以降の最低となった。大幅低下後にやや戻したのはFOMCを見定めたいとした動きと思われる。
一方でNYダウは前日比103.60ドル高と上昇したが、当初は700ドル高を超える大幅上昇で開始したところから上げ幅の大半を削っている。FOMCを控えて楽観し過ぎによる急伸に対する慎重さを示したと思われる。ナスダック総合指数も113.07ポイント高と上昇したが上げ幅を300ポイント以上削っている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は12月2日夕安値を目先の底とした上昇が12月7日夕高値で一巡となり12月9日夜まで下げてから再び上昇に入り、12月13日昼過ぎには137.97円まで高値を伸ばしたが、138円には届かずに米CPI発表後に134円台へ急落した。このため13日昼過ぎ高値をピークとした下落期入りとして16日夜にかけての下落を想定する。反騰入りには136.50円を超える上昇か、FOMCをきっかけとした反騰で直前安値から1.50円を超える規模の上昇を実現する必要があると思われる。

60分足の一目均衡表では12月13日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落してその後も両スパンそろっての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを超えるところからとする。

60分足の相対力指数は12月13日夜の急落で20ポイントを割り込み、その後は30ポイント台へ戻しているものの50ポイント台回復へはまだかなり距離を残している。40ポイント前後までは戻り売り有利とし、再び20ポイント割れを試すとみるが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入り注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月13日夜安値134.65円を下値支持線、136.50円を上値抵抗線とする。
(2)136円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、134.65円割れからは12月2日安値133.60円試しへ向かうとみる。
(3)136.00円から136.50円手前の水準は戻り売り有利とし、その後に135.30円を割り込むところからは下げ再開とする。

【当面の主な予定】

12/14(水)
EU・ASEAN首脳会議
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 3.7%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 -0.4%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (10月 2.0%、予想 0.6%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (10月 11.1%、予想 10.9%)
16:00 (英) 11月 CPIコア指数 前年同月比 (10月 6.5%、予想 6.5%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (10月 14.2%、予想 13.9%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.9%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.9%、予想 3.5%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -0.3%、予想 -0.4%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 3.75-4.00%、予想 4.25-4.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、記者会見

12/15(木)
EU首脳会議(ブリュッセル、12月16日まで)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 1.7%、予想 0.9%)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 0.4%、予想 5.4%)
08:50 (日) 11月 通関貿易収支・季調前 (10月 -2兆1623億円、予想 -1兆6803億円)
08:50 (日) 11月 通関貿易収支・季調済 (10月 -2兆2992億円、予想 -1兆2182億円)
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 3.22万人、予想 1.70万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 3.4%、予想 3.4%)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -0.5%、予想 -3.9%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 5.0%、予想 3.7%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.7%)
16:00 (独) 11月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (10月 -0.6%)
21:00 (英) 英中銀(BOE) 政策金利 (現行 3.00%、予想 3.50%)
22:15 (欧) 欧州中銀(ECB) 政策金利 (現行 2.00%、予想 2.50%)

22:30 (米) 12月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (11月 4.5、予想 -0.3)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 -19.4、予想 -10.0)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.1万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 167.1万人、予想 165.0万人)
22:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 79.9%、予想 79.8%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る