ドル円、逆CPIショックの再来を受けて大暴落。本日は米FOMCがメインイベント
〇ドル円、米11月CPIの予想以上の伸び率鈍化に米国時間朝方に安値134.68まで急落
〇引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、135円台半ばで推移
〇ユーロドル、12月独ZEW景況感指数の好調、米CPI後の米金利低下に1.0672まで急伸
〇ドル円アジア時間の高値137.96から3円超の大暴落、一時200日線割り込み地合い極めて弱い
〇本日は明日未明結果公表の米FOMCとパウエル議長会見要注目
〇米FOMC通過後はドル売り・円買いが一段と強まるか
〇本日の予想レンジ:133.50ー136.50
海外時間のレビュー
13日(火)のドル円相場は逆CPIショック再来で大暴落。アジア時間に、高値137.96まで上値を伸ばすも、心理的節目138.00をバックに伸び悩むと、(1)注目された米11月消費者物価指数(結果7.1%、予想7.3%、前回7.7%、※前年比)および、米11月消費者物価コア指数(結果6.0%、予想6.1%、前回6.3%、※前年比)の伸び率鈍化や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急低下(逆CPIショック発生→米利上げペース鈍化期待再燃→米10年債利回りが3.61%から3.43%へ急低下→対主要通貨で米ドル急落)、(3)短期筋の大規模ロスカット(米CPIの持ち直しを見込んでいた米ドルロング勢の大規模ロスカット発生→心理的節目137.00、136.00、135.00を相次いで下方ブレイク)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値134.68まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前5時00分現在)では、135.50前後で推移しております。
13日(火)のユーロドル相場は急上昇。アジア時間早朝に安値1.0511まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ12月ZEW景況感指数(結果▲23.3、予想▲26.4)の市場予想を上回る結果や、(2)ドイツZEW研究所による「エネルギー市場の一時的な安定を受けて経済見通しが大幅に改善されている」とのポジティブな見解発表、(3)欧州株の堅調推移、(4)米11月消費者物価指数および米11月消費者物価コア指数の伸び率鈍化、(5)上記4を背景とした米金利急低下とそれに伴うドル売り圧力、(6)心理的節目1.0600突破に伴う仕掛け的なユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、6/9以来、約6ヵ月ぶり高値となる1.0672まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前5時00分現在)では、1.0632前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はアジア時間に記録した約2週間ぶり高値137.96をトップに反落に転じると、逆CPIショックをトリガーに一時134.68まで暴落しました(日通し高値から3円超の大暴落劇)。ローソク足が市場参加者に意識されていた200日移動平均線を下方ブレイクしたことや、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利上げペース鈍化期待(逆CPIショック発生→米実質金利上昇→オーバーキルリスクが高まる中、ターミナルレート引き上げ観測後退→米長期金利急低下→米ドル売り)や、(2)ポスト黒田体制下での緩和政策修正期待、(3)上記1、2を背景とした日米名目金利差縮小観測とそれに伴う円キャリートレードの逆流懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。事実、通貨オプション市場ではバニラ市場、エキゾ市場共にダウンサイドを織り込む動きが活発化しつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は日本時間明日早朝4時00分に公表される米FOMC(含むドットチャート)と、同4時30分から始まるパウエルFRB議長記者会見に注目が集まります。FFレートの50bp引き上げ(現行の3.75%ー4.00%の状態から4.25%ー4.50%へ利上げ)は既に織り込み済みであるため、市場参加者の関心ごとは、(1)ドットチャートで2023年のターミナルレートがどの水準に設定されるか?、(2)2024年や2025年のドットチャートの中央値がどの水準に設定されるか?、(3)パウエルFRB議長が記者会見でどのようなスタンスを見せるのか?の3点に集約されています。昨日発表された米CPIの顕著な低下を考慮すれば、(1)については、市場で予測されているような5.125%(9月時点の4.625%から50bp引き上げられる)といった水準感ではなく、4.875%(9月時点と比較して+25bp)程度に配置される公算が大きいと予測しております。
また、上記(2)については、2024年末、2025年末共に、9月時点の3.875%、2.875%という数字がそのまま据え置かれる可能性があると見ています。上記(3)については、市場の過度な織り込み(来年9月や12月の利下げ)を牽制する目的でややタカ派的なトーンを残す可能性がありますが、市場は既にパウエルFRB議長のこうしたバランス重視の発言を織り込んでいるため、然程反応することは無いと見ています。よって、今年最後の大イベントである米FOMC通過後はドル売り・円買いが一段と強まりそうです(年末に向けて心理的節目130円割れを試す展開を想定)。
本日の予想レンジ:133.50ー136.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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