ユーロ もみあいもややユーロ高の流れは続く(週報12月第2週)

先週のユーロドルは、一週間を振り返ってみると1.04台後半の買いと1.05台後半の売りに挟まれどちらにも動ききれない一週間となりました。

ユーロ もみあいもややユーロ高の流れは続く(週報12月第2週)

もみあいもややユーロ高の流れは続く

〇先週のユーロドル、1.04台後半の買いと1.05台後半の売りに挟まれどちらにも動ききれない一週間
〇15日に欧州の主要な3中銀(スイス、英、ECB)の金融政策発表
〇英中銀とECBの0.5%利上げはほぼ確実視、スイス中銀は0.75%の利上げとなる可能性が高い
〇今週も1.05の大台を挟んで若干底堅い動きがもっともありそうな動きだと考える
〇今週は1.0440レベルをサポート、1.0600レベルをレジスタンスとレンジ内でのもみあい継続の週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初の高値圏から下押しし1.0444レベルの下押し後に週末に向けて再び週初高値圏をトライするも試しきれずに反落と、一週間を振り返ってみると1.04台後半の買いと1.05台後半の売りに挟まれどちらにも動ききれない一週間となりました。週間値幅も151pipsに留まり、今週の金融政策ウィークを控えてポジションを傾けにくいという一週間になりました。

今週は最大の注目材料は14日FOMCとなりますが、FOMC後の見方についてはドル円週報に書きましたのでそちらをご覧ください。そして15日には今週の予定に書いた通りで、
17:30 スイス中銀政策金利発表
21:00 英中銀MPC結果発表
22:15 ECB理事会結果発表
17:30から22:15の間に欧州の主要な3中銀の金融政策発表がありますので、ユーロの週報ではこれら3中銀の動向について見ておきましょう。

・スイス中銀
スイス中銀の金融政策決定会合は四半期に1回と他の主要中銀に比べて半分の頻度となっていて、前回9月22日の会合では0.75%の利上げで+0.5%としました。当初は0.5%の利上げを考えていましたが、欧州のインフレが収まらないことから大幅な利上げに踏み切りました。
今回の会合では利上げ幅を縮小して0.5%の利上げがコンセンサスとなっていますが、他の中銀と異なり次回の会合は3月となるため、今回も0.75%の利上げが行われると考える参加者もいます。仮に0.75%の利上げとなった場合にはスイスフランが他の主要通貨に対して強含む動きが考えられます。

・英中銀
 英中銀の前回のMPCは11月3日で0.75%の利上げで3.0%となりましたが、MPCメンバー9人のうち2名が利上げ幅の縮小を主張していました。今後も引き締めに対して力強く対応としたものの12月1日に公表された英中銀の調査で、英企業は物価上昇圧力が弱まっているとの見方を示しました。
 こうしたことから、FRBに歩調を揃えて0.5%の利上げへと上げ幅が縮小するというのが現時点でのコンセンサスです。可能性は低そうですが、仮に0.75%利上げということになればポンドが他の主要通貨に対して買われる動きにつながりそうです。

・ECB
 欧州で最も注目度が高いのはECB理事会ですが、前回10月27日の理事会では0.75%の利上げで2.0%となりました。今回の理事会での追加利上げが示唆され、当初は0.5%と0.75%とで見方が分かれ、どちらかというと0.75%がコンセンサスでした。
 しかし、12月4日のフランス中銀総裁インタビューで0.5%の利上げとすべきだと発言したことで、ECBも利上げ幅を縮小し0.5%の利上げを行うと見られます。

こうして見ると主要3中銀のうち、英中銀とECBの0.5%利上げはほぼ確実視されますが、スイス中銀だけは3月まで会合が無いことから0.75%の利上げとなる可能性が思いのほか高いのではないかと考えられますが、その後に英中銀、ECBと続くため、大きくは動きにくいという面もありそうです。

さて、ユーロドルですが予想通りだとすると、先週のように横方向のもみあいが続きやすくなりますが、中期的なユーロ高(ドル安)トレンドはまだ続いていると見られます。テクニカルに見て行きましょう。

もみあいもややユーロ高の流れは続く

年初来高値と安値の半値戻しが1.0514となっていることもあって、現行水準は居心地が良い水準となっているようです。また年初来安値からのサポートラインと平行に引いた上昇チャンネルを上抜けた後は上側ラインをサポートとしながらも、さらにそれと平行に引いたラインがレジスタンスとなってくる可能性を先週指摘しました。

その後の動きを見てもそうした見方で問題無いように見えます。今週も1.05の大台を挟んで若干底堅い動きがもっともありそうな動きだと考えています。今週は1.0440レベルをサポートに、1.0600レベルをレジスタンスと最近のレンジ内でのもみあいを継続する週を見ておきます。

今週のコラム

今週はドルスイスフランの日足チャートを見ておきましょう。

もみあいもややユーロ高の流れは続く 2枚目の画像

週足を月ごとに青の四角で囲んであります。紫の四角は1年です。

ドルスイスは4月以来の水準にドル売り・スイスフラン買いが進んでいますが、全体的なドル売りの動きの動きに加え、スイス中銀だけは利上げ幅縮小に動かないのではないかという思惑がスイスフラン買いにつながっていると言えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月12日(月)
16:00 英国10月鉱工業生産、貿易収支

12月13日(火)
16:00 ドイツ11月CPI
16:00 英国11月失業率
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
19:30 英中銀金融安定報告書公表 ☆
22:30 米国11月CPI ☆

12月14日(水)
16:00 英国11月CPI ☆
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

12月15日(木)
16:45 フランス11月CPI
16:45 フランス12月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表 ☆
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
22:15 ECB理事会結果発表 ☆
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
**:** EUサミット(〜16日)

12月16日(金)
09:01 英国12月消費者信頼感
16:00 英国11月小売売上高
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月5日(月)
ユーロドルはユーロ円がドル円とともに上昇したことでNY市場までは上下しながらも高値圏でのもみあいが続き、NY市場が始まる頃に1.0595レベルの高値をつけました。NY市場では全体的なドル高の動きに追随しユーロ売りとなり1.0480レベルまで押して安値引けとなりました。

12月6日(火)
ユーロドルはNY市場後場までは1.05の大台を挟んで上下していましたが、1.05台での売りが徐々に増える流れとともに1.04台半ばに押して引けました。ただ1日のレンジは74pipsにとどまり、方向感ははっきりしないままでした。

12月7日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り発表されたユーロ圏7~9月期GDP確報値が予想よりも強かったことを受け、ユーロは対ドル、対円で上昇、NY市場朝方にはそれぞれ1.0550レベル、144.58レベルの高値をつけました。NY市場ではユーロ円がドル円とともに下げたことからユーロ円は行って来い、ユーロドルは1.05近辺に押して引けました。

12月8日(木)
ユーロドルは東京市場では小動き、欧州市場に入り上下して一時日中安値となる1.0490レベルをつけましたが、海外市場ではほぼ一貫したユーロ買いの動きとなり1.0565レベルまで上昇後高値圏での引けとなりました。ただ値幅は伴わず、一日のレンジは75pipsに留まりました。

12月9日(金)
ユーロドルは東京前場はドル円とともにドル売りの動きからユーロ買いが強まり、欧州市場序盤には1.0588レベルの高値をつけました。その後ユーロは対ドルだけでなく対円や他のクロスでも利食い売りが出たことで下げに転じ、NY市場では強いPPIを受けて1.0503レベルの安値をつけました。1.05割れではユーロ買いオーダーも見られ、引けにかけてはやや戻して引けました。

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